突然、そうだそうだとT君は私を控え室に案内した。何事かと部屋に入るとそこには「オニヤンマ」の姿が。T君曰く「突然店に飛び込んできたんですよ、もう力尽きた老体じゃないですか?」、しかし一見して、それは羽化直後の若い「オニヤンマ」のようであった。飛翔力がまだ弱く、店内に突入してしまったのだろう。T君としては、ここで野垂れ死には可哀想だと思い、取り敢えず控え室で休ませていたのだが、結果的にはそれは飢え死にさせることになる。そこで、自分の手に捕まらせて店内に戻りまずは記念撮影(写真はT君に撮ってもらう)。そしてそのまま外に出て、鉢植えの木の葉に移そうとしていた時羽をぶるぶる振るわせ始めた。T君に今飛ぶ準備をしてるんだよ、と言ったか言わないうちに「オニヤンマ」はすんなり大空に向かって飛んでいった。たまたま来たからいいようなもの、もし来なかったらあのまま部屋に閉じ込め死んでいる可能性があった。まずは、めでたしめでたしであった。
帰りはまた湖畔の道を通った。この時期の風物詩「ウチワヤンマ」がところどころに止まっている。昔は、諏訪湖といえばウチワヤンマと言われるくらい(自分が勝手に言ってるのだが)物凄く多かった。個人的な諏訪湖の夏の原風景は、ウチワヤンマがいる風景なのだ。
そして、一般的な諏訪湖の夏の風物詩と言えばこちらの方。場所取りは禁止である。