市から無料入場券を配付されたので、早速、それを使い諏訪市美術館に行ってきた。建物は昔に建てられた和風建築で、今見るとちょっと変な魅力がある。収蔵品は少なく広くも無いので、普段観に行くことは滅多にない。丁度今はある写真家の特別展をやっていて、かつ無料券があるので行く気になったのだ。それにしても外は寒かった、が、中も本格的な暖房設備がないのか、石油ストーブをがんがん焚いていても、それがおっつかないくらいに冷え冷え。取り敢えず二階の写真展を観る。地元縁の若手写真家(高木こづえ)の作品で、観るのは初めて(元々写真展というものには滅多にいかない)。しかし、何だかぱっとしないものばかりだった(デジタル処理をしている)。
そして一階に戻り、常設の彫刻を観る。地元出身の細川宗英という人の作品で、単体でいくつか観たことがあるが、まとめた作品は今回が初めて。じっくり観たが、これがなかなか良いのだ。というか、日本の彫刻の中で良いと思った数少ない作品の一つであった。一見具象で一部崩れたような抽象。一般受けはしなさそうであるが、質は高いと思った。土偶を思わせるような土俗性が、うまい具合に抽象化されている。ただ問題は展示の仕方。これらの作品は本人から寄贈されたものである。折角貰ったものなのに、あまりに唯置いてあると言った展示の仕方で、倉庫に置いてあるのかというくらいの冷遇的な展示の仕方だった。よく地方に、地元出身の作家の美術館がある。殆んどは観る気の起きない作品なのだが、どれも建物は立派である。それを考えると、これだけの作品なのにあまりに勿体無いと思った。同じく地元の松澤宥氏の作品と合わせて専門の美術館でも作ったら(設計は同じく地元出身の藤森照信か伊藤豊雄)ユニークないいものが出来るのに、と思わず夢想してしまった。個性的な作品なのだが、公共施設にした場合、二人とも知名度がネックになるのである。
結論。地元の美術館としては細川宗英の彫刻と、岡谷の武井武雄の童画は必見である。