定年退職したら田舎でのんびり、などと憧れている人は多いようだが、実際は煩わしいことも多く適応できる人と駄目な人がはっきりと分かれる。薪ストーブの火を見つめながらゆったり過ごす、などというのは幻想と言っていいだろう。大金持ちでもあればいくらでも可能だが。
まず住む場所が一番の問題となる。例えば環境だけを見て、広々として雄大な山が見えて、しかも近くに(車が基本)買い物できるスーパーなどがあるという条件で決めるとする。周りに家が無くても、そういうところは元々のなり地区に属す。するとどうなるかというと、その地区の自治会に加入するようにと働きかけられる。義務ではないので加入しなくても構わない。しかし、そうなると自分の家のゴミをどうするかと言う問題が出てくる。ゴミステーションは自治会単位で管理するから。と言っても、そこに捨ててはいけないというルールは無く、その地区に住んでいれば捨てて良いのだ。ところが管理している自治会としては面白くない。感情的には、自治会に属してもいない家のゴミを何故こちらが管理しなくてはいけないのだという気持ちになる。当然お互いにぎくしゃくしてくる。自治会が拒否した例もあるが、法的には自治会の方が不利であって拒否は出来ないということらしい。
このように、周りの人との関係がスムーズでないと、日々のストレスはかなり多く、結果のんびりしようと思った生活の間逆の環境となり、最終的には耐えられずに引き払うこととなる。そんな例は結構多いようだ。つまり、適応できる人と言うのは、地域のコミュニティーに溶け込める人と言うことになる。地区のお祭りだ役だと、煩わしいことができる人でないと難しいということなのだ。唯、そういうのがいやな人でも問題なく住める環境のところもある。それは大手が開発した別荘地である。そこであれば、開発会社が、煩わしいことは一括管理してくれるので、住んでる人がいろんなことで煩わされることは無い。
そんな人間関係の問題をクリアーしても、更なる日日の暮らしの問題はいくつもある。薪ストーブはいいが、その薪はどうするか。一冬の量を用意するのはかなりの重労働。煙突掃除も大変。そしてその寒さ(住む所を高原などにした場合)。外に出るのも億劫で、一日テレビをぼーっと見るだけの生活(脳に刺激がない)、殆んど引きこもりだ。はっきり言って、テレビが無くても過ごせる何かを持ってない人は、田舎生活はやらない方が良い。勿論レジャー施設がどうのこうのという人は論外である。一般的に環境が良いと言われるところは、自然環境がいいところだろうから、その自然を本当に楽しめるかどうかはかなりのポイントである。兎に角、一番過酷な環境となる冬を体験して住めるかどうかを判断するべきだろう。