ぴかりんの頭の中味

主に食べ歩きの記録。北海道室蘭市在住。

【本】大転換思考のすすめ

2006年09月08日 19時48分30秒 | 読書記録2006
大転換思考のすすめ 成功する企業、活躍する人材, 畑村洋太郎・山田眞次郎, 講談社現代新書 1660, 2003年
・いわゆる『パラダイム・シフトもの』というか『自己啓発もの』というか、そんな内容です。この系統の本を読んでいつも思うのは、「私はこの本を読んで、大成功しました!」なんて人が実際にいるんだろうか、ということです。みんながみんな大成功するっていうのもまた困るでしょうけど。
・「経済学の専門家は社会の変化をお金で見る習慣がついています。お金で見ることももちろん大切なことですが、いまのようにデフレでものの値段がどんどん下がる時代では、物量の変化で見る視点ももたないと、ものごとの本質は捉えられないのです。」p.21
・「ひとつの技術があるレベルのところにまで到達すると、あたかも胞子が広がっていくように技術を育ててきたところとはちがうところに広がっていきます。それがもともと技術が持っている特性なのです。」p.34
・「あるひとつの産業なり企業は、萌芽期、発展期、成熟期を経て必ず衰退期へと向かいます。その周期はだいたい30年だという話を先ほどしましたが、これは避けることのできない宿命のようなものです。」p.35
・「自分たちが変わらなければいまの状況が変化しないのに、悪いのはまわりのせいで、自分たちはいまのままでいいと考えてしまうのです。」p.40
・「もともと日本は、成熟したあるひとつの産業のなかでしのぎを削っている企業の数が多すぎるのです。海外の企業との戦いならまだしも、国内にいくつもの会社があって嫌でも競争しなければならない状況にあるというのはほかの国ではあまりみられません。」p.48
・「ですから21世紀の新・産業革命を主導できる最短位置にいるのは、最高レベルのインフラが国内に存在している日本だと私は確信しているのです。」p.78
・「クラゲには脳はないので、泳ぐ方向は誰かが命令で決めているのではなく、体を構成する細胞たちの総意によって動いているということではないでしょうか。」p.91 たしかに脳はないのだろうけど、、、例え話とはいえなんとなく釈然としない記述。
・「学生にはそのときいちばん景気がよく見える業種に就職したがる傾向がありますが、その一方で、成熟した産業の会社というのは将来の経営判断をまちがえることが多いからです。」p.106
・「つまり生活水準を下げないで生きるためには、自分自身のものの考え方、仕事の方法を変える必要があるし、ものの考え方、仕事の方法が変わらなければ、生活水準が変わってしまうのです。」p.108
・「はじめに「○○したい」という意志、これが何よりも重要なのです。もちらん、トライしてもはじめは失敗ばかりです。ところが、「木に登りたい」という意志を持ち続けることで、その豚は失敗しながらあれこれと工夫を始めます。どうすれば登れるのか、どうやったときに自分は落ちたのかをあれこれ試しながら考え、最終的に木登りの能力を獲得していくのです。」p.113
・「人間の脳に可塑性というものがあります。ある能力を持った部分が欠落すると、本来は別の役割を果たしていたまったくちがう場所が動きだし、最終的にその機能を代わりに果たし始めるというものです。」p.113 "シナプス可塑性"と"脳機能の代替性"がゴッチャになってますよ~
・「地頭というのもなかなか定義が難しい言葉で、とてもひと言で説明することはできません。それでも「地頭のいい人」というのは、ある現象の理解が早く、しかもその現象を見て、それとちがうものにも応用できる上位概念レベル、すなわち一般化した知識として現象を理解できる人がそうだということができるでしょう。また、他の人が気づかない要素をピックアップできたり、普通の人が気になって、引っかかってしまう問題を簡単にスキップして本質的な答えに行き着くことができるなど、ある種の"鈍感さ"を持ち合わせている人だといえます。」p.121
・「これからの時代をリードしていくのは、こうした訓練を通じてさまざまなパターンのシナリオを自分のなかに取り込み、正しい思考のショートカット(短絡)をいわば直観的に行いながら速く正確に答えが出せる人なのです。」p.123
・「私はいま働く人たちにいちばん求められているのは、「逆演算能力」と「課題設定能力」だと考えています。」p.123
・「私は子供の頃、蚊帳のなかでセミの幼虫が羽化するのを見て、うかつにも手を出して伸張を始めた羽に触ってしまったことがあります。その瞬間、羽はそれ以上広がらなくなり、あとは紙をまるめたようなくしゃくしゃの状態のままで、そのセミは一生飛べなくなってしまいました。それを見てから、いちばん大事な成長期には絶対に触ってはいけないと考えるようになりました。人の成長も同じことだと思います。」p.139
・「興味深いのは、そういう人にかぎって主語を使わずに話をする傾向にあるということです。「あれこれやってみたけどだめでした」というときに、無意識のうちに「自分が」という言葉を省いて一般論にすり替えて責任逃れをしているのです。これは比較的学歴の高い、自分のことをそこそこ賢いと思っている人によく見られる傾向です。」p.148
・「それは目標をどこに置くかでその人の人生はある程度決まってしまうということです。」p.150
・「しかし、90点を92点にすることにどれほどの意味があるのでしょうか。じつは日本の製造業は、いまでもそうした努力をしようとしています。」p.153
・「もともと日本の社会は、外部の人との頻繁な交流が少なく、人間関係が密で固定化されているという特徴があります。」p.156
・「じつは、日本でも世界に出て戦えるだけの競争力を持つ企業はこの「見せない」「しゃべらない」「触らせない」の三つの考え方をすでに実践しています。」p.163
・「いざというときに戦うための準備として、すべてを文書化し、だれがなにをやっていたかを日頃から記録して残す必要があるように思います。」p.167
・「たとえば、日本ではオペラが好きという人はまだ少数派です。この種の公演を劇場に直接足を運んで見てみると、テレビのときとはまったくちがう感動を覚えます。このような生きている人が生きている人になにかのエネルギーを与えることがひとつの産業の形として成長するのではないでしょうか。」p.178
・「従来の技術にITを融合させて新しい仕組みをつくることで、市場競争力を生み出すことは、ほかの業界でも行われています。たとえばオンライン書店のアマゾン・ドット・コム、文具通販のアスクル、アパレルのユニクロ、ファーストフードの吉野家、証券会社の松井証券などは、それぞれの分野の代表例としてあげられるでしょう。」p.191
・「私はものづくりの現場に見を置く人間として、MTとITの融合にこそ、日本のものづくりの未来が隠されていると確信しています。」p.191
・「ひとつの産業や企業が成長して衰退に向かう期間はだいたい30年という話は、この本の中でも再三しましたが、そうするとほとんどの人は、望むと望まざるとにかかわらず、一度は自分を守ってくれる傘から出ることになります。どうせそうなら自分から積極的に飛び出していくほうがよいし、実際に成功の可能性も広がります。だからこそ「変わる」ことは大切なのです。」p.196

《チェック本》フレデリック・フォーサイス『オデッサ・ファイル』
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