ぴかりんの頭の中味

主に食べ歩きの記録。北海道室蘭市在住。

【本】脳内不安物質

2006年11月21日 21時37分02秒 | 読書記録2006
脳内不安物質 不安・恐怖症を起こす脳内物質をさぐる, 貝谷久宣, 講談社ブルーバックス B-1184, 1997年
・『不安障害』について、不安の種類、不安を引き起こす脳内物質とそのメカニズム、治療法について、系統立てて説明されているが、内容が薄く物足りない。表題になっている脳内不安物質としては、ノルアドレナリン、セロトニン、GABA、炭酸ガス、乳酸、カフェイン、コレチストキニン、女性ホルモンの八つを紹介。
・薬物の投与で人間の情動をコントロールできつつあるというのは、気味が悪いというかなんというか、複雑な気持ちになります。
・「この病的な不安状態と関係する症状や徴候を、専門的には「不安障害」と呼び、アメリカ精神医学会がまとめた「精神疾患の分類と診断の手引き(DSM-IV)」によれば、不安障害はパニック障害、全般性不安障害、社会恐怖、単一恐怖、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、および非定形性不安障害に分類されます。」p.22
・「パニック障害の患者さんではノルアドレナリン性神経細胞の活性がもともと高いうえ、そのブレーキ役のα2受容体の感受性が高くなっており、それに対応してノルアドレナリンを受けるβ受容体の感受性は低くなっていると考えることができます。不安症でも、全般性不安障害や社会恐怖の場合は、ノルアドレナリンが関係していると考えられています。」p.60
・「セロトニンは不安を引き起こすことにより、その人がもつ特有の病気、すなわちパニック発作や強迫症状を起こす"引き金"になるという考え方もできます。」p.63
・「しかし、カフェインはよいことばかりでなく、大量にとるとカフェイン中毒が生じます。この症状は強い不安感が特徴で、ときにはパニック発作とまったく区別がつかないことがあります。」p.75
・「最近考案された光フィードバック装置は、患者さんが特別な努力を払うことなしにα波の発生を助長します。これは、特定の周波数を持つ光で点滅刺激をすると、その周波数と等しい脳波が出現するという生理的な機能を利用したものです。」p.116
・「いわゆる精神療法の治療効果を客観的、科学的に証明した論文は見あたりません。筆者は30年間の臨床経験から、大部分の不安症の心理療法には現在のところ行動療法がベストだと考えています。」p.136 であれば『行動療法』を主題に書けばよかったのではないかと。それだと目新しさがなかったということかもしれませんが、読み物としては面白いものが書けたのではないかという気がします。
・「精神現象と脳機能との関係が少しずつ明らかになるとともに、脳内で機能する物質を与えることにより心の状態が変化し、逆に、心の持ち方を変えることにより脳内で機能する物質の動きが変わることがわかり始めています。これは、「新脳一如」と言ってもよいのではないでしょうか。このような脳科学の進歩を目の前にしたとき、不安症のような心の病気の治療戦略は、物質的な手段と心理的な手段とを同時に利用し、総合的に行っていくべきものであると筆者は考えているのです。」p.138
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする