Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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The Advance of Neurology

2021年09月12日 | 医学と医療
3年生の脳神経内科学の集中講義の準備をしています.学生に見せている絵があります.「The Advance of Neurology(1954)」という壁画です(上図).カナダのモントリオール神経学研究所・病院(通称Neuro)を訪問したときに写真に収めました.1階の会議室に入り実物を見たときには,その大きさと威厳に息を飲みました.神経学の歴史の中で最も著名な人物が描かれています.右からヒポクラテス,ジャン・マルタン・シャルコーがいますし,アロイス・アルツハイマー,クロード・ベルナール,ハーヴェイ・クッシング,ヴィルヘルム・エルブ,カミロ・ゴルジ,ジョン・ヒューリングス・ジャクソン,コンスタンティン・フォン・モナコフ,フランツ・ニッスル,イワン・パブロフ,さらにサンティアゴ・ラモン・イ・カハールがいます.地元の有名人としてはウイリアム・オスラーがいますし,カナダ神経学の創始者,ホムンクルス(脳のこびと)で有名なワイルダー・ペンフィールドが大きく手を広げ,さらに左下でおそらく側頭葉切除手術をしています.そのとなりで脳波を読むのはてんかん研究で有名な同僚,ハーバート・ジャスパーです.

この壁画を描いたのはメアリー・ファイラーという研究所の元看護師で,本人は背中を見せた看護師として,また患者としても登場していると言われています.論文によると,原画(下図)では患者は裸の姿で描かれていましたが,ペンフィールドは礼儀正しい服装で描き直すように主張し,しぶしぶ修正したそうです.ペンフィールドによる外科治療の追跡調査を行い,さらに脳炎に名前を残し,所長のあとを継いだのがラスムッセンです.この絵を見ると,連綿と続く神経学の歴史の延長線上に自分たちがいるのだなと思います.
Agency and Architecture in Medical Murals by Mary Filer and Marian Dale Scott. In book: Design and Agency. January 2020








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