Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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トランスレーショナル・リサーチの実践 ―産官学 若手研究者がリーダーシップを発揮する時―

2015年12月11日 | 医学と医療
米国研究製薬工業協会(PhRMA)が実施する「第3回ヤングサイエンティスト・シンポジウム」のお手伝いをさせていただいた.本会では,トランスレーショナル・リサーチ(TR)に関わる産官学の若手研究者たちが,異なる立場の参加者と現状の課題解決に向けたディスカッションを行うことを目的とした.
第1部での産官学を代表する3名の先生のご講演を拝聴後,第2部ではワークショップが行われた.アカデミア(大学等)研究者,製薬企業,知財や研究支援などに関わる多彩なメンバーが,4つのグループに分かれて,「企業ニーズとアカデミア・シーズのミスマッチについて」「TRに求められる人材とは?」というテーマについて議論した.第3部では各グループからの発表が行われ,さらに議論が行われた.以下,私なりにまとめてみたい.

1)アカデミアの問題点
人材の評価基準の見直しが必要(論文ばかりが評価され,特許は成果が出るまでに時間がかかる割に評価されにくい)
知財に関する意識が乏しい者が多く,すぐに学会・論文発表してしまう.
知財に関しても,地方では難しく,また地方でなくてもライフサイエンスに詳しい担当者がいるとは限らない
知財を維持する資金に乏しい
創薬・医療機器開発のロードマップがイメージできない
拠点病院でないと環境整備が困難で,産学連携までたどり着かない
ビジネスモデルや企業導出がわからない

2)企業の問題点
アカデミアとの共同研究は権利関係が複雑で非効率になりやすいので敬遠しがち.
アカデミア側がある程度,しっかりしたデータを揃えないと話し合いにならない.
臨床情報入手,生体由来の検体入手が困難

3)両者の問題点
産学の意見交換がうまくいってない(マッチングが難しく,かつ地方だと情報が乏しい)
特許を出すタイミングにミスマッチがある(アカデミアは大学院生の学位取得の問題などもあり早急に出願することが多いが,企業は十分な検討後,出現することを好む)
創薬シーズに対するイメージがそもそも異なる(アカデミアは,治療方法のアイデア自体を指すことがあるが,企業は低分子化合物などのモノそのものを考えている)

4)対策
アカデミア研究者の教育(Research & Development,知財など)
TRについて幅広い知識をもつイノベーションリーダーを育て,そのもとでOn-the-Job Trainingを行う
特許出願・権利化のインセンティブ(業績として評価する,AMED審査での優遇)
産学の話し合いの場を早期から増やす
患者団体との関係構築(米国に倣った寄付後の税制優遇:ただし日本は寄付に関して違った文化を持っているとの指摘もあり)
良いシステムを作ったところは,他にも積極的に示す
いきなり産学連携するのは難しい場合も多く,その場合,ベンチャーと組んでデータを強化したあとに,企業と組むことも考える

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