Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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注目すべき3つのキーワード@第63回日本神経学会学術大会第1日目

2022年05月19日 | 医学と医療
脳神経内科をめぐる社会的なホットトピックスをキーワードで考えるシンポジウムを,座長の桑原宏哉先生(東京医歯大),萩原悠太先生(聖マリアンナ大)とともに企画しました.3つのキーワードとは,①COVID時代のバーンアウト,②治療と仕事の両立支援,③厚生労働行政参画になります.

①は,まず私が基礎知識とこれまでの当学会の取り組みについて紹介したあと,東京都で実質的なコロナ専門病院になった荏原病院耳鼻咽喉科の木村早合香先生にご講演をいただきました.パンデミック禍,未経験の困難に直面する先生方の戸惑いとバーンアウトのリアルな状況,そして調査と分析により結論を見出していく過程がとても良く分かる素晴らしいご講演でした.教訓は「自分の仕事に自己決定権や意義を感じられる状況を作ること」「コロナのような経験も複数施設で分担すれば医療者の使命感ややりがいにも繋がりうるが,施設を絞って無期限で行えば容易にバーンアウトする」ということです.

②の「治療と仕事の両立支援」は厚労省による制度の説明,聖マリアンナ大や脳卒中領域(橋本洋一郎先生:熊本市民病院)における先進的な取り組みの紹介でした.非常に重要な知識です.ぜひ厚労省HPをぜご覧ください.

③は厚労省への出向,つまり医系技官を体験した桑原宏哉先生,石上晃子先生(国立循環器病研究センター)によるご講演です.脳神経内科医のキャリアの一つとして魅力的に感じると同時に,これから認知症・脳卒中・神経難病が激増する超高齢社会を見据えて,脳神経内科が積極的に政策決定に関わっていく必要性を感じました.

最後に上記のような社会的・倫理的に共有すべき知識は,米国神経学会のようにプレナリー(全員参加シンポジウム)にするか,オンデマンドにして脳神経内科医全体の共通認識にする必要性を感じました.私もメンバーのキャリア形成促進委員会では,まず学術大会とは別に,バーンアウトとキャリア形成に関わるウェビナーを開始することにしました.あらためて告知しますので,ぜひご参加ください.


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