ACE阻害剤は血中substance-P濃度を上昇させることで,誤嚥性肺炎を減少させる可能性が指摘されている.しかし,他の降圧剤との比較を行ったデータはなく,さらに非アジア系人種では誤嚥性肺炎の予防効果がなかったとする報告もある(Am J Respir Crit Care Med 169; 1041-1045, 2005).今回,本邦より,ACE阻害剤の効果を他の降圧剤と比較した研究が報告された(多施設共同研究).
対象は脳梗塞発症後6ヶ月以上経過している患者で,1999年以降,35ヶ月以上,prospectiveに経過観察を行った1190名(!)とした(寝たきりの患者は除いている).これらの患者をACE阻害剤使用群,Ca拮抗剤使用群,利尿剤使用群,コントロール(高血圧なし)群の4群に分類し,肺炎の発症頻度を比較した.解析はlog-rank prosedureとCox’s proportional hazards modelを使用している.結果として,各群で年齢,性差,脳梗塞重症度(NIHSS),罹病期間に有意差はなし.肺炎合併頻度については,ACE阻害剤使用群2.8%(12/430),Ca拮抗剤使用群8.8%(36/409),利尿剤使用群8.3%(29/351),コントロール群8.8%(14/160)であった.ACE阻害剤使用群はコントロールと比較し,有意に発症頻度は低下していた(ハザード比0.30, 95%CI 0.14-0.66, p = 0.0013).
以上の結果は,ACE阻害剤は脳梗塞後患者における肺炎予防効果を改めて支持するものと言えよう.今後,高血圧を合併しない患者の治療や,ACE阻害剤以外に血中substance-P濃度を上昇させる方法はないのかなどの検討も必要のように思われる.
Neurology 64, 573-574, 2005
対象は脳梗塞発症後6ヶ月以上経過している患者で,1999年以降,35ヶ月以上,prospectiveに経過観察を行った1190名(!)とした(寝たきりの患者は除いている).これらの患者をACE阻害剤使用群,Ca拮抗剤使用群,利尿剤使用群,コントロール(高血圧なし)群の4群に分類し,肺炎の発症頻度を比較した.解析はlog-rank prosedureとCox’s proportional hazards modelを使用している.結果として,各群で年齢,性差,脳梗塞重症度(NIHSS),罹病期間に有意差はなし.肺炎合併頻度については,ACE阻害剤使用群2.8%(12/430),Ca拮抗剤使用群8.8%(36/409),利尿剤使用群8.3%(29/351),コントロール群8.8%(14/160)であった.ACE阻害剤使用群はコントロールと比較し,有意に発症頻度は低下していた(ハザード比0.30, 95%CI 0.14-0.66, p = 0.0013).
以上の結果は,ACE阻害剤は脳梗塞後患者における肺炎予防効果を改めて支持するものと言えよう.今後,高血圧を合併しない患者の治療や,ACE阻害剤以外に血中substance-P濃度を上昇させる方法はないのかなどの検討も必要のように思われる.
Neurology 64, 573-574, 2005
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