図はNeurology誌のClinical reasoning(臨床推論)のものです.症例はインドの16歳女子で,早期発症運動失調(early-onset ataxia, EOA)です.10歳頃から不安定歩行となり,14歳で感音性難聴が出現,また無月経で,高ゴナドトロピン性性腺機能低下症と診断されました.画像検査で小脳萎縮を認め,また末梢神経障害を合併し,生検では髄鞘形成障害性神経障害が示唆されました.小脳性運動失調,感音性難聴,高ゴナドトロピン性性腺機能低下症からPerrault(ペロー)症候群が疑われ,次世代シークエンサーによるエクソーム解析にて,HSD17B4遺伝子のホモ接合性変異が確認されました.
Perrault 症候群は1951年に報告された常染色体潜性遺伝の疾患で,主症状として感音難聴と原発性無月経を呈するほか,運動失調や眼球運動障害,認知機能障害などさまざまな神経症候を認めます.原因遺伝子は複数あり,HSD17B4, HARS2, CLPP, LARS2,TWNK, ERAL1, RMND1, GGPS1, PRORP, YARS, PEX6が報告されています.
この論文で感動したのは図のサンバースト・チャートです.運動失調,感音性難聴,末梢神経障害,高ゴナドトロピン性性腺機能低下症を特徴とする疾患群が視覚的に整理されています.図の中心の運動失調からスタートし,症候,つぎに発症年齢を組み合わせて,一番外側に鑑別診断が記載されています.鑑別診断の枠のグラデーションはその色に相当する症候も認めうるという意味です.一目で代表的鑑別診断が分かるとても便利な図だと思いました.
Chadha D, et al. Clinical Reasoning: Clinical Manifestations and Diagnostic Challenges in a 16-Year-Old With Early-Onset Ataxia. Neurology. 2025 Jan 28;104(2):e210253.(doi.org/10.1212/WNL.0000000000210253)
Perrault 症候群は1951年に報告された常染色体潜性遺伝の疾患で,主症状として感音難聴と原発性無月経を呈するほか,運動失調や眼球運動障害,認知機能障害などさまざまな神経症候を認めます.原因遺伝子は複数あり,HSD17B4, HARS2, CLPP, LARS2,TWNK, ERAL1, RMND1, GGPS1, PRORP, YARS, PEX6が報告されています.
この論文で感動したのは図のサンバースト・チャートです.運動失調,感音性難聴,末梢神経障害,高ゴナドトロピン性性腺機能低下症を特徴とする疾患群が視覚的に整理されています.図の中心の運動失調からスタートし,症候,つぎに発症年齢を組み合わせて,一番外側に鑑別診断が記載されています.鑑別診断の枠のグラデーションはその色に相当する症候も認めうるという意味です.一目で代表的鑑別診断が分かるとても便利な図だと思いました.
Chadha D, et al. Clinical Reasoning: Clinical Manifestations and Diagnostic Challenges in a 16-Year-Old With Early-Onset Ataxia. Neurology. 2025 Jan 28;104(2):e210253.(doi.org/10.1212/WNL.0000000000210253)