岩田一輝先生,吉倉延亮先生らの症例報告がNeurol Clin Neurosci誌に掲載されました.糖尿病と神経疾患の既往がある80歳男性が,意識障害と全身のけいれん発作のために入院しました.頭部MRIでは両側嗅球と嗅覚伝導路に相当する脳実質に異常信号を認めました(図1).COVID-19 PCRは鼻腔ぬぐい液で陽性,脳脊髄液は陰性でした.CIVID-19脳炎と診断し,レムデシビルとステロイドパルス療法を行いました.意識レベルは回復し,認知機能も感染前のレベルまで改善しました.入院33日目に退院しましたが,嗅覚は改善せず,静脈性嗅覚機能検査にも無反応でした.
パンデミック初期にも嗅覚伝導路に沿った脳炎が報告されていますし(図2),マカクザルの感染実験でも鼻から入ったウイルスは嗅覚伝導路を介して眼窩前頭皮質まで伝播してしまうことがわかっています(図3)(眼窩前頭皮質はCOVID-19後に萎縮する部位として有名です).以上のようにオミクロン変異株の時代になっても脳に伝播しますし,後遺症を呈する方も少なくありません.
日本を除く先進国は2024年も高齢者等に対し年2回以上のワクチン接種を推奨していますが,なぜか日本では定期接種1回のみの助成となってしまいました.また感染を繰り返すとlong COVIDのリスクは増加するというエビデンスも確立しています.COVID-19から脳を守るため,とくに高齢者やなんらかの疾患を有する人は,感染予防とワクチン接種を継続すべきと思います.
ちなみに下図は,2024年の先進国における高齢者等に対する年間ワクチン接種推奨回数です.日本だけ1回で,その1回の助成は自己負担7,000円,ここに各自治体の補助がはいり,3,000円~5,000円程度になるそうです.ただしワクチン接種できる病院はかなり限られているようで,岐阜県ではないらしいです.
Iwata K, Yoshikura N, Kimura A, Shimohata T. Encephalitis mediated by the olfactory pathway can occur even during predominance of the Omicron mutant strain. Neurol Clin Neurosci. 2024;00:1-2.(doi.org/10.1111/ncn3.12836)
パンデミック初期にも嗅覚伝導路に沿った脳炎が報告されていますし(図2),マカクザルの感染実験でも鼻から入ったウイルスは嗅覚伝導路を介して眼窩前頭皮質まで伝播してしまうことがわかっています(図3)(眼窩前頭皮質はCOVID-19後に萎縮する部位として有名です).以上のようにオミクロン変異株の時代になっても脳に伝播しますし,後遺症を呈する方も少なくありません.
日本を除く先進国は2024年も高齢者等に対し年2回以上のワクチン接種を推奨していますが,なぜか日本では定期接種1回のみの助成となってしまいました.また感染を繰り返すとlong COVIDのリスクは増加するというエビデンスも確立しています.COVID-19から脳を守るため,とくに高齢者やなんらかの疾患を有する人は,感染予防とワクチン接種を継続すべきと思います.
ちなみに下図は,2024年の先進国における高齢者等に対する年間ワクチン接種推奨回数です.日本だけ1回で,その1回の助成は自己負担7,000円,ここに各自治体の補助がはいり,3,000円~5,000円程度になるそうです.ただしワクチン接種できる病院はかなり限られているようで,岐阜県ではないらしいです.
Iwata K, Yoshikura N, Kimura A, Shimohata T. Encephalitis mediated by the olfactory pathway can occur even during predominance of the Omicron mutant strain. Neurol Clin Neurosci. 2024;00:1-2.(doi.org/10.1111/ncn3.12836)