Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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ワクチン接種の効果を高める方法 -接種前後の十分な睡眠と前回と同じ側に接種する-

2023年03月15日 | COVID-19
COVID-19のワクチン接種は完全に重症化予防を目的としたものになり,年1回ないし2回になります.具体的には,65歳以上,もしくは64歳までで基礎疾患を有する方および医療従事者等は5~8月に春夏接種を受けますが,それ以外の方は9月以降に秋冬接種を受けることになります.ワクチン接種回数が減りますので,ワクチンによる免疫反応をできるだけ高めたいと思います.2つほどワクチン効果を高める論文を見かけました.

ひとつめは睡眠です.健康な成人において,ワクチン接種(インフルエンザや肝炎ウイルスワクチン)前後の睡眠時間と免疫反応の関係を調べたメタ解析です.客観的に評価された短時間睡眠(6時間未満)の人は,免疫反応が顕著に低下するそうです(計304名;全体effect size = 0.79).接種前後の数日間は十分な睡眠時間を確保することが免疫反応を高め,長期間持続させる可能性がありお勧めです.
Curr Biol. 33;998-1005. 2023




ふたつめは接種する腕のサイドです.ファイザーワクチン接種の2回目を,1回目と同側,もしくは対側を選択した場合に免疫反応に差があるのか調べた論文です.303人を対象とし,2回目の接種を同側(147名)または対側(156名)に振り分けました.この結果,対側にワクチン接種した場合,同側に接種した場合と比較して,ウイルス中和活性やスパイク特異的CD8 T細胞レベルは有意に低いことが分かりました(p=0.023および0.004).つまり初回接種に刺激されたのと同じリンパ節を2回目も刺激すると,ブースト効果が高いようです.よく眠ることと,前回と同じ側に接種することが良さそうです.
Lancet preprint.

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