■ シリア情勢がリビアに似てきた ■
シリアではイギリス大使館とフランス大使館が閉鎖され、
中国は労働者を引き揚げるそうです。
なんだか着々と内戦へ向けての準備が進められています。
というよりも、既に内戦状態なのですが。
■ リビアでは油田地帯のベンガジが独立? ■
「リビア東部・ベンガジが「自治宣言」 暫定政府は猛反発」2012.03.08ロイター
http://www.asahi.com/international/update/0307/TKY201203070469.html
<引用開始>
リビアからの報道によると、東部ベンガジで6日、部族の幹部や地域の有力者ら約3千人が集まり、中部シルト以東エジプト国境までの地域について「自治の確立」を宣言した。暫定大統領にあたる国民評議会のアブドルジャリル議長は猛反発し、自治権を認める可能性は低い。地域対立が激化する可能性がある。
リビア東部は、石油資源が集中する一方でカダフィ政権時代に社会基盤の整備が遅れてきた。多くの住民が「差別されている」と感じ、ベンガジは反カダフィ派の拠点となった。6日の会合では、東部の古名から名付けた「キレナイカ暫定評議会」の発足を宣言し、「連邦制度の導入を求める」としている。
アブドルジャリル議長はこの動きを「リビアの革命をほかの国に広げたくないアラブ圏の陰謀」と批判した。同議長も東部ベイダの出身だ。
<引用終わり>
油田地帯の切り取りとも思える動きが出てきています。
欧米の中東政治の要は、アラビアのロレンスの時代から
部族間対立を上手く利用することです。
リビアは100を越える部族社会をカダフィーが強権(狂犬?)で支配していました。
その枷が外れれば、当然部族間の対立が表面化してきます。
しして、欧米がそこに上手く付け入って、利権を獲得してゆくのです。
リビアの内戦を主導したのはアルカイーダだったとも言われています。
市民の武装蜂起と報道されても、その裏はドロドロの陰謀渦巻く世界です。
■ シリアは内戦状態にある ■
リビアではアサド政権に軍の一部が反抗して、
内戦状態に発展しています。
これは「市民の反乱」では無く「軍の反乱」です。
ところが国際社会は、民間人の犠牲者の数をたれ流し、
「政府が市民を弾圧している」と報道します。
リビアの例を見ても、どこまでが市民で、どこまでがテロリストで、
どこまでが反乱軍なのか、他国からは良く分かりません。
■ シリアの背後に居るイランとロシア、配下に居るヒズボラとハマス ■
シリア問題がリビアより少し複雑なのは、
シリアの背後にイランとロシアが居る事です。
ロシアはシリアに軍港を構え、
中東戦略の足がかりにしています。
プーチンは表向きは、欧米諸国のシリア干渉を排除すると言っています。
イランもシリアとは浅からぬ仲です。
イランのヒズボラやハマスの支援は、シリア経由で行われています。
中東情勢はイランに注目が集まりますが、
本当の狙いは、シリアやイエメン、バーレンの体制崩壊と、
最終目標はサウジアラビアの体制崩壊でしょう。
現在の中東の混乱の根本的原因は、
中東における、石油利権の組み換えにあります。
アメリカ(フェラ組)からその他の国への
利権の組み換えが起きていると見ています。
■ アサド政権が崩壊すると、イスラエルが困る ■
シリアでアサド政権が倒れると困るのはイスラエルです。
ゴラン高原でシリアで国境を接するイスラエルは、
ゴラン高原の安定が需要な課題です。
アサド政権時代はゴラン高原は安定していました。
政権が崩壊した後、イスラム急進派がゴラン高原から
イスラエルにチョッカイを出さないか、
イスラエルは、戦々恐々とした日々を過ごす事になります。
中東情勢はダイナミックに動いています。
目が離せません。