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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

リビア情勢に酷似してきたシリア・・・各国大使館閉鎖

2012-03-08 05:42:00 | 時事/金融危機
 

■ シリア情勢がリビアに似てきた ■

シリアではイギリス大使館とフランス大使館が閉鎖され、
中国は労働者を引き揚げるそうです。

なんだか着々と内戦へ向けての準備が進められています。
というよりも、既に内戦状態なのですが。

■ リビアでは油田地帯のベンガジが独立? ■

「リビア東部・ベンガジが「自治宣言」 暫定政府は猛反発」2012.03.08ロイター
http://www.asahi.com/international/update/0307/TKY201203070469.html

<引用開始>

リビアからの報道によると、東部ベンガジで6日、部族の幹部や地域の有力者ら約3千人が集まり、中部シルト以東エジプト国境までの地域について「自治の確立」を宣言した。暫定大統領にあたる国民評議会のアブドルジャリル議長は猛反発し、自治権を認める可能性は低い。地域対立が激化する可能性がある。

 リビア東部は、石油資源が集中する一方でカダフィ政権時代に社会基盤の整備が遅れてきた。多くの住民が「差別されている」と感じ、ベンガジは反カダフィ派の拠点となった。6日の会合では、東部の古名から名付けた「キレナイカ暫定評議会」の発足を宣言し、「連邦制度の導入を求める」としている。

 アブドルジャリル議長はこの動きを「リビアの革命をほかの国に広げたくないアラブ圏の陰謀」と批判した。同議長も東部ベイダの出身だ。

<引用終わり>

油田地帯の切り取りとも思える動きが出てきています。

欧米の中東政治の要は、アラビアのロレンスの時代から
部族間対立を上手く利用することです。

リビアは100を越える部族社会をカダフィーが強権(狂犬?)で支配していました。
その枷が外れれば、当然部族間の対立が表面化してきます。
しして、欧米がそこに上手く付け入って、利権を獲得してゆくのです。

リビアの内戦を主導したのはアルカイーダだったとも言われています。
市民の武装蜂起と報道されても、その裏はドロドロの陰謀渦巻く世界です。


■ シリアは内戦状態にある ■

リビアではアサド政権に軍の一部が反抗して、
内戦状態に発展しています。

これは「市民の反乱」では無く「軍の反乱」です。

ところが国際社会は、民間人の犠牲者の数をたれ流し、
「政府が市民を弾圧している」と報道します。
リビアの例を見ても、どこまでが市民で、どこまでがテロリストで、
どこまでが反乱軍なのか、他国からは良く分かりません。

■ シリアの背後に居るイランとロシア、配下に居るヒズボラとハマス ■

シリア問題がリビアより少し複雑なのは、
シリアの背後にイランとロシアが居る事です。

ロシアはシリアに軍港を構え、
中東戦略の足がかりにしています。
プーチンは表向きは、欧米諸国のシリア干渉を排除すると言っています。

イランもシリアとは浅からぬ仲です。
イランのヒズボラやハマスの支援は、シリア経由で行われています。

中東情勢はイランに注目が集まりますが、
本当の狙いは、シリアやイエメン、バーレンの体制崩壊と、
最終目標はサウジアラビアの体制崩壊でしょう。

現在の中東の混乱の根本的原因は、
中東における、石油利権の組み換えにあります。

アメリカ(フェラ組)からその他の国への
利権の組み換えが起きていると見ています。

■ アサド政権が崩壊すると、イスラエルが困る ■

シリアでアサド政権が倒れると困るのはイスラエルです。
ゴラン高原でシリアで国境を接するイスラエルは、
ゴラン高原の安定が需要な課題です。

アサド政権時代はゴラン高原は安定していました。
政権が崩壊した後、イスラム急進派がゴラン高原から
イスラエルにチョッカイを出さないか、
イスラエルは、戦々恐々とした日々を過ごす事になります。

中東情勢はダイナミックに動いています。
目が離せません。

FRBの16兆ドルはマネタリーベースに反映されている・・・不正融資とは言いがたいのだけれど

2012-03-08 03:48:00 | 時事/金融危機
 

下記の記事には大きな間違いがあります。
アメリカのマネタリーベースにはFRBの銀行融資は含まれません。
さらにFRBの銀行への貸し出し16兆ドルは
1年間に短期融資で複数回融資「ノベ」の貸し出し量で、
実質は1兆ドル程度だそうです。
さらに、これらの資金はきちんと返済されている様です。

不確かな情報を拡散してしまった事を、お詫びいたします。
 


■ FRBの16兆ドルはマネタリーベースに反映さえれている ■



FRBの16兆ドルの低利(無利息?)融資は、
額があまりに大きいので、ビックリしましたが、
よく考えたら、アメリカはサブプライム危機後、
マネタリーベースを3倍に膨張させていますので、
16兆ドル以上をばら撒いても、おかしくは無いですね。

という事でアメリカのマネタリーベースの推移を見てみます。
2007年前が約8兆円で推移してきましたが、
2007年から急拡大して、2010年末には約20兆ドルになっています。

先日の16兆円のFRBの融資からアメリカ分を抜き出すと
約10兆ドルになり、TARPなどで増刷された分を足せば
FRBがデータを偽っていたという事では無いようです。

さらにグラフを見ると、QE2の実施時期にも急拡大しており
この額もQE2の額の6000億ドルを大きく上回っています。

■ QE1、QE2と言って報道される額は一部である ■

アメリカのマネタリーべースがサブプライム以前と比べて
3倍という情報は私も知っています。

ところがQE1が約1.7兆ドル、QE2が6000億ドルという数字が
一般的に報道されるので、16兆ドルという数字との間に違和感を感じて
FRBの不正融資かと、思わず勘ぐってしまいました。

QE1やQE2はFRBが債券などを買い入れて、
自身のバランスシートを肥大化させながら市場に資金を提供する額で、
その他に通常の資金供給を行っている額が16兆円(世界全体)という事の様です。

アメリカの発表するマエンタリーベースはM2で、
海外のドルを含むM3では無いので
16兆ドルの内、10兆ドルがアメリア国内でのドルの増加分となるのでしょう。

ロンポールが議会のFRBを査察する様に要求して、
その結果提出された数字なので色眼鏡で見てしまいますが、
要はサブプライム危機以降、FRBは米ドルをジャンジャン供給しているという事です。

■ QE3が待ち望まれる訳 ■

アメリカの金融界ではQE3の実施が待ち望まれています。
これも、QE3の額として報道されるのは、
FRBが国債や債券を市場から買い上げる額だけで、
その裏ではそれを何倍も上回る資金供給が行われるのです。

ですからQEに合わせて、金融市場や商品市場の価格が上昇するのは当たり前です。
一方、異常なのは、それらの市場がQEが終了すると下落する事で、
結局数兆ドルという資金供給でも景気を活性化できていない事に問題があります。

■ ドル安は当たり前 ■

ユーロは昨年12月以来、マネタリーベースを急拡大させています。
それでも、マネタリーベースの増加量ではドルの圧勝です。

日銀は例によって口ではインフレターゲットと言っていますが、
資金供給量は50兆円そこそこです。

ですから、ドルは円やユーロに比べて供給量が圧倒的に多いので、
1/2や1/3に減価してもおかしくは無いのです。

「超円高」と言われていますが、
75円で「円安」だと言って差し障り無いでしょう。
マネタリーベースから見たドルの価値は、1ドル50円でも不思議では無いのです。

それが80円台という事はやはり「腐ってもドル」という事でしょうか?

■ 通貨安に取り付かれる世界 ■


特にアメリカは輸出では無く、
海外資産による所得収支で生きている国です。

強いドルの時代に投資した回収は、
弱いドルで行えば、為替差益が拡大します。

この様に通貨安の要求は、海外資産を大量に保有する国では常に発生します。
イギリスが良い前例でしょう。

1940年には1ポンド=4ドル3セントでした。
現在は1ポンド=1.6ドル程度です。

ポンドは下落するドルに対しても40%に切り下がっています。

■ 円高で海外資産に投資して円安で設ける ■

日本が貿易赤字に陥った事は記憶に新しいと思います。
貿易黒字を溜め込んだ日本円が高くなる事は避けがたい事です。

しかし、これは輸出産業の空洞化を招き、
貿易収支はある時点で赤字に転換する事も避けがたい事実です。

これはかつてアメリカやイギリスが辿って来た道です。
彼らはポンドやドルが強かった時代に海外投資しています。
そして、現在、自国通貨安を利用して、
回収額で為替差益を発生させています。

■ 対外債務国にはインフレの誘惑が付きまとう ■

さらにアメリカなど対外債務国はインフレの誘惑も付きまといます。

アメリカ国債や、自国内の債券を商品化して世界に売り歩いています。
当然、返済額は少ない方が良い。

そこで借金返済が相対的に楽になるインフレを望む傾向があります。

「弱い通貨が国益?」かとも思いますが、
「機軸通貨」だからこそ、自国通貨安やインフレを利益に変化できます。

ところが、この政策を普通の国がやると、通貨安に歯止めが掛からなくなります。
アルゼンチンやジンバブエが良い例でしょう。

アメリカとアルゼンチンの間には、
「機軸通貨」という大きな違いが存在するのです。