人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

「頑張れベアー!」・・・ゴールドマンをぶっとばせ

2012-03-16 18:35:00 | 時事/金融危機
 



■ この人が出てくると応援したくなる ■

「頑張れベアーズ」ではありません、
前連邦預金保険公社FDIC総裁、シーラ・ベアーであります。

http://d.hatena.ne.jp/himaginary/20090811/mr_bailoutより引用

<引用開始>

「シーラ・ベアは最低だ。まあ、それは今に始まったことではないが、それでもウェッセルの本は、ベアが本当に不愉快な規制当局者であることを改めて納得させてくれる。彼女はバーナンキ、ガイトナー、そしてポールソンの金融システムを救おうとする努力を、あらゆる機会を捉えて駄目にしようとした。それ以前に彼女は、ワシントンミューチュアルの債券保有者にパニックの真っ最中に巨額の損失を蒙ることを強いるという途轍もないミスをしでかした。他の規制当局者が、すべての救済計画から彼女を締め出そうと躍起になったのも無理はない。彼女の銀行での業務経験はなんと合計0年であり、彼女は一つのことしか気にしていない:彼女のイメージだ。この歩く列車事故がFDICから去るのは早ければ早いほど良い。」

<引用終わり>

前連邦預金保険公社FDIC総裁であたシーラ・ベアー氏は、
どうやら大変「煙たい」存在の様です。

リーマンショックで破綻する地方銀行を、
粛々と処理していった彼女には強い意志の様な物を感じました。
ブッシュ政権からオバマ政権と、彼女はFDICを率いて孤軍奮闘しました。

そして彼女の頑な姿勢は、多分金融業界を甘やかす勢力からは邪魔に写るのでしょう。

一方で彼女を賞賛する声もありました。

<上記ブログより引用>

「シーラ・ベアはウェルズからワコビア買収のより良い提案を引き出したが、その前にはシティと有利な交渉を進めていた。
彼女はワコビアとワシントンミューチュアルの債券保有者に損させることを厭わなかった。
彼女はガイトナー/ポールソンの救済の努力に反対し、PPIPを葬った。
彼女は銀行での業務経験が0年である。
私に言わせれば、神よ彼女を祝福したまえ、それはまさに我々が規制当局者に必要とする資質だ。米国民よりは債券保有者に損を負わせる意志。米国の銀行業界を助成するのではなく、規制しようとする意志。気骨。>」

<引用終わり>

という事で何が言いたいかと言うと、
私は彼女の勇ましいお姿が大好きなんです。
・・・ただそれだけ。

■ ゴールドマンサックスに噛み付いたベアー ■

FDIC総裁を退いた後、あまり噂を聞かないな・・そう思っていたらこんな記事が。

「米ゴールドマンの資本還元拡大は禁止を-前FDIC総裁」(Bloomberg 2012.03.16)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M0YRHH6JTSE901.html

<引用開始>

3月16日(ブルームバーグ):米投資銀行ゴールドマン・サックス・グループは米連邦準備制度理事会(FRB)のストレステスト(健全性審査)でレバレッジが過剰であることが示されたため、増配や自社株買い戻しを禁止されるべきだと、ベアー前連邦預金保険公社(FDIC)総裁は指摘した。

FRBが今週発表したストレステストの結果によれば、ストレステストのシナリオでは金融機関4社のレバレッジ・レシオが4%を下回った。そのうちシティグループとメットライフの2社はFRBから増配や自社株買い戻しを禁じられたが、残りの2社であるゴールドマンとモルガン・スタンレーは資本計画の承認を受けた。

ベアー氏は15日のインタビューで「レバレッジ比率を4%割れの水準に押し下げるような配分は承認されるべきではない」と述べ、「レバレッジが1対25なら、危機に陥れば、これらの銀行は取り付け騒ぎに見舞われるだろう」と語った。

同氏は昨年7月のFDIC総裁退任前に、レバレッジ比率が国内外の銀行規制でより重視されるよう働き掛けていた。同氏の主張は当初はバーゼル銀行監督委員会に受け入れられたものの、欧州連合(EU)がその後難色を示してきた。

レバレッジが高いと資産価格の少しの変化でも資本が吹き飛び支払い不能になる恐れがある。FRBはストレステストでレバレッジ比率の基準を米国の法律で最低限とされる3%とした。ゴールドマンとモルガン・スタンレー、シティグループは3%のグループに入っていた。

2008年のベアー・スターンズとリーマン・ブラザーズ・ホールディングスの経営破綻の際に両行の単純なレバレッジは1対33強(レバレッジ比率で3%未満)だった。ベアー氏によると、市場の混乱時に投資家が注目するのはリスクベースの資本指標ではなく、レバレッジ比率だと指摘した。

<引用終わり>

良くぞ言ってくれました。
スカっとします。


■ ゴールドマン帝国に立ち込める暗雲 ■

最近ゴールドマンの旗色が悪いようです。
業績も振るわないようですが、
要職の社員が次々に退社しているという噂です。

そして昨日はワシントンポスト紙が、元ゴールドマン社員の投稿を掲載しました。

「米ゴールドマン退社社員が経営陣を批判、NYT紙に寄稿」(ロイター 2012.03.15)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE82E00220120315?feedType=RSS&feedName=topNews

<引用開始>

[ロンドン/ニューヨーク 14日 ロイター] 米金融大手ゴールドマン・サックス(GS.N: 株価, 企業情報, レポート)を退社する社員が、14日付のニューヨーク・タイムズ紙に経営陣を批判する手記を寄稿した。同社の社員が新聞紙上で経営陣を批判するのは極めて異例。

寄稿したのは同社の株式デリバティブ部門に勤務していたグレッグ・スミス氏。

同氏は手記のなかで、ゴールドマンが「かつてないほど有害で破壊的になっている」と指摘。「容赦なく顧客を食い物にする姿を見て気分が悪くなる。この1年で5人のマネジングディレクターが自分の顧客を『muppet(操り人形、英国では「愚か者」を意味する俗語)』呼ばわりしていた」と批判した。

ゴールドマンは短い声明を発表し「今回表明された見解は、当社の経営手法を反映したものではなく、同意できない。顧客が成功しなければ当社の成功もないというのが当社の見解だ。当社の行動の根幹にはこの根本的な事実がある」と反論した。

金融規制改革法の成立に尽力したバーニー・フランク下院議員はロイターに対し、金融規制改革に反対している金融業界に「大きな影響」があるだろうと指摘。「ゴールドマン・サックスなどは、顧客と経済全体にどのような貢献をしているのか説明する責任がある」と述べた。

この日のゴールドマン株は3.3%安で終了した。

スミス氏のゴールドマンでの肩書きはエグゼクティブ・ディレクターだったが、同社には約1万2000人のバイスプレジデント、エグゼクティブ・ディレクターがおり、従業員約3万3000人の36%がスミス氏と同様の肩書きを持っている。

スミス氏のコメントは取れていない。

<引用終わり>

この記事は世界中で注目されています。

リーマンショック後も一人勝状態にあったゴールドマンに対て
急に風当たりが強くなってきた様に思えます。

この事が何を意味するのか?
シティーバンクもストレステストに不合格だった様ですし、
アメリカの金融界で何か大きな変化が起きているのでしょうか?

JPモルガンあたりへの非難が高まれば、
何となく傾向が見えそうです。

そして、アメリカの国民銀行のバンカメが擁護され、
バンカメにメリルリンチやカントリーワイドを押し付けた
ガイトナーやバーナンキの責任追求が始まれば、
ちょっと面白い事になるかも知れません。


この様な事態に発展すれば、一部で噂される
デービット・ロックフェラー(シティーバンク)や
ジェイ・ロックフェラー(ゴールドマンサックス)の失脚の情報も
信じられる様になるかも知れません。


真相は闇の中ですが、ゴールドマンの動向に要注意です。



<追記>2012.03.18

出ましたね。
今度はJPモルガンの現役社員から
米国商品先物取引委員会(CFTC)へ、内部告発!
但し、CFTCのホームページからは直ぐに削除された様です。

http://americankabuki.blogspot.jp/2012/03/jp-morgan-chase-whistleblower-tells.html

「ゴールドマンサックス同様詐欺的な手法が行なわれている」
「1兆ドル以上のデリバティブを隠し、ギリシャ危機による金融崩壊を恐れている」
「バランスシート上の負債が調査対象になっていないのはおかしい」
「私は正直に全従業員に上記の内容を告発し、弁護士と連絡を取ります」

ってな内容の様です。

・・・なんだかなー。
何かが起きていそうだけれど、フェラ組の悪あがきという線もあるし・・・。



<追加版>市場の真実の姿・・・ダウの出来高が激減している  

2012-03-16 18:21:00 | 時事/金融危機
 

■ ダウ平均13000ドル回復の裏で激減する出来高 ■


ケンミレ株式情報より
http://www.miller.co.jp/chart.cgi?code=0200&div=I

アメリカではダウ平均が13000ドル台を回復したと大喜びです。
そこでダウ工業株化のチャートを見てみましょう。

確かに株価は2008年のリーマンショック前に戻りつつあります。

問題は出来高です。
出来高が株価の上昇と反比例するかの如く日に日に落ち込んでいるのです。
(但しグラフの最後は今週なので、週半ばの出来高合計なので、
 最終的にはもう少し高い出来高になるでしょう)

1) ダウ工業株の出来高が顕著に減っている

2) 株価はウナギ上り

3) 市場参加者が減っている中で一部の買いが価格を吊り上げている

株をやられている方は当然ご存知かと思いますが、
これから、高い相場に釣られて出来高が持ち直すのか、
それとも、最後の上昇相場で皆さん売り逃げて、
そして誰も居なくなるのか・・・・。

アメリカはQE3待望論が出るほどに、資金が逼迫してきています。
それでは、ダウを押し上げているのは誰か?
昨年末から大量供給された、ヨーロッパの資金なのか?



<追記>

■ 高頻度取引(HFT)を差し引くと出来高は恐ろしく低い? ■

ここで一つ気になるのが、「HFT=ハイ・フリックエンシー・トレーディング」の存在です。

現在、大手の証券会社やアメリカのかつての大手投資銀行は
コンピュータープログラムによるアルゴリズム取引を取り入れています。

これは、取引所のメインサーバーの中に自社のプログラムを常駐させ、
売り買いの情報をいち早く察知して、
誰かの取引の間に自動的的に自分の売り買いを何回も介入させるシステムです。

投資銀行はほとんど、自動でこの取引を大量に行います。
これは一般投資家にしてみれば詐欺の様な行為ですが、
證券取引所事態が、自身のサーバーの中に彼らの領域を確保しているのですから
いわば取引所公認の詐欺行為と言えます。
昔で言えば「場立ち」の證券マンが、売り買い情報を取引所で盗み見ている様な行為です。

ところでHFTが何故許されるかと言えば、
取引金額が格段に増えるからだと予想されます。
證券取引所の利益は売買手数料ですすから、
取引回数は多い方が、利益が上がります。

一方、HFTは證券取引の出来高に影響を与えます。
売り買いが高速で繰り返されるのですから、
当然「出来高」はかなり水増しされるはずです。

そうした視点で上のグラフの出来高を見てみると、
NYダウの出来高はHFTによって水増しされていると思われ、
その影響を除けば、市場にまともばプレーヤーは
ほとんど残っていないのではないかと危惧されます。

東京證券取引所も同様なシステムを取りれ、
巨額の投資をして回線を高速かしました。
そうしなければ外人投資家達が東京市場から去ってしまうからです。

現在では国内の證券会社もこれに対抗する為に、
東証との回線にスピードを目安に事務所の場所を決めています。

この様に、金融市場は既にまともな状態では無く、
自動取引のプログラムが狂ったように売買を返す場となっています。

■ 暴落を引き起こすアルゴリズム取引 ■

リーマンショック後、ディーラーの入力ミスで大量の売りが発生し、
各社のFHTのシステムがそれに過剰に反応し、
NY市場が暴落するという事件がありした。

これをきっかけとして、FHTが過剰に反応しすぎた場合は、
自動的に取引を抑制して暴落を防ぐ
サーキット・ブレーカーなるシステムが導入されました。

ただそれは、大幅な暴落が発生した場合で、
100ドル、200ドルの下げに対しては発動しないようです。
ですから、世界経済に不安要因が生まれ、
リスク回避から株式市場から資金が流出するきっかけが発生すれば、
100ドル、200ドルは一気に暴落します。

それ以上は暴落しない様にプログラムされているのでしょうから、
株価は底を打った様に見え、
またぞろ、買いが入って、株価は徐々に上昇し始めますが、
これをアルゴリズム取引が感知して、大量の買いを入れるので、
株価は直ぐに持ち直した様に見えます。

・・・ところで本当の危機が発生した時はどうなるのでしょうか?

各社売り逃げて、自社が逃げ遅れるなどという事は考えられませんから、
多分、サーキット・ブレーカーは本当の暴落局面では機能しないのではないでしょうか。
LAST EXITなるスイッチをポンと押すと、
サーキットブレーカーが解除されるという、
一種ヤーターマン的なイメージが脳裏に浮かんで来ます・・・。

あるいは、暴落させも禁じられた異様な世界が
現在の株式市場なのかも知れません・・・。