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迷走する日の丸家電・・・SONYの再生は成るのか?

2012-03-26 10:24:00 | 時事/金融危機
 

■ 苦戦を強いられるSONYと日の丸家電 ■

「世界のSONY」の凋落がこんなにも早いとは誰も予想しなかったでしょう。
SONYの将来を占う記事がロイターに掲載されていたので紹介します。

「特別リポート:ソニー盛衰の時、平井新社長が担う「ゲーム」の結末は」
(2012.03.26 ロイター)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE82P00F20120326?pageNumber=1&virtualBrandChannel=0

プレイステーションの生みの親、久多良木健氏から見たSONYをめぐる情勢の記事です。
ストリンガー氏が退いた後に、ソニーのCEO引き継ぐのは平井一夫氏です。
平井氏はソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)出身ですから、
言わばゲーム分野から初のSONYの社長が誕生した訳です。

■ SONYはアップルになれたはずなのに・・・ ■







SONYの迷走の始まりは、出井氏が打ち出したカンパニー制でしょう。
消費が高度化して、消費動向が読めなくなる時代に、
事業ごとの経営判断を高速化して、より素早く環境変化に適応するという
カンパニー制や事業部の独立採算制は当時の流行の経営手法でした。

ところが、SONYのみならず日本ではこの手法は全く機能しませんでした。
カンパニー制の良い所は、不採算部門の切り捨てが可能な事です。

ところが日本型の経営形態では、不採算部門の切り捨ては出来ず、
結局、不採算部門同士を統合したり、採算が取れている部門と統合させて
気が付けば、旧来の経営形態に逆戻りしていました。

SONYにおこるカンパニー制の失敗の顕著な例がHDレコーダー/DVDプレーヤーでしょう。

当時SONYは家電系の「スゴ録」を担当するホームストレージカンパニーのDVD事業部、
「PSX」や「ブルーレイレコーダ」の企画開発などを行なっている
BBNCのブロードバンドシステムカンパニーに分かれて、
同じカテゴリーの「HDレコーダー/DVDプレーヤー」を開発していました。

さらには、ホームサーバーと称する「コクーン」なる商品も開発し、
同じカテゴリーで、まったくデザインも操作感も異なる商品群を乱立させていました。

これは非常に非効率で、この分野でSONYは立ち遅れ、
事業部を統合して「スゴ録」を商品としては残しました。

実はSONYはここで大きな間違いを犯しています。
「スゴ録」は他社と全く差別化出来ない商品でした。
ところが「PSX」はデザインもSONYらしく、
さらにプレイステーションのゲームもプレイ出来たのです。

さらに「コクーン」先鋭的で、「チャンネル・サーバー」という概念を提唱していました。
基本的にはHDレコーダーーなのですが、学習機能を備え、
ユーザーの録画する番組の傾向を学習して、
関連番組を自動録画するという機能を有していました。

私はデザインで「PSX]を購入しましたが、
録画機能などの操作感がゲームの様に感覚的に操作出来、
まさに今のアップルのiPodやiPhonのインターフェースを辿れば、
実はSONYのPSXでは無かったと思います。

一方、実家は「スゴ録」を使用していますが、
こちらの操作は、従来の家電品に操作感で、非常にSONYらしくありませでした。

ところが、SONYはこれらの商品から、一番SONYらしさの薄い「スゴ録」を選択しました。
家電量店で従来のユーザーにアピールするのが「スゴ録」だったからです。

結果的には「スゴ録」はそれなりのヒット商品になったので、
短期的にはSONYの利益に貢献しましたが、
それとは引き換えに、SONYはappleになる道を自ら捨てたとも言えます。


■ スマートTVの時代が来る? ■

日本の家電各社は次はスマートTVの時代が来ると読んでいる様です。
appleやgoogleもスマートTVに興味を示しているので、
ことさら、スマートTVが次世代家電の決定版の様に言われています。

しかし、スマートTVとはいった何なのでしょうか?

インターネットに接続できるTVなら実用化されていますが、
そもそも画像が荒いインターネットのコンテンツを大きなTVで見る必要性はありません。
むしろ、スマートフォンを皆さんが活用している様に、小さな端末の方が便利です。
さらに、家にPCがあれば、わざわざ操作性に劣るTVで
インターネットを楽しむ必要性はありません。

それではオンデマンド放送に対応したTVという事でしょうか?
これなら、今のTVに一枚基盤を装着するだけで事足りますから、
韓国製や中国製に市場は席巻されるでしょう。

スマートハウスのコントロールセンターとしてTVを活用するという考え方もあります。
しかし、家中の消費電力をTV画面で確認しても嬉しくありません。
さらに全ての家電をホームネットワークに接続するメリットがあまり思いつきません。

20年程前に「トロン住宅」というのが六本木にありました。
東大の坂村教授の提唱するOSのトロンで家電を集中管理するというショールームです。
それから20年、トロンは家電用のOSとして定着しましたが、
トロン住宅の様な流れはには向かっていません・・・。

日本の様な狭い住宅では、必要性が薄いからです。
確かに出先から携帯でお風呂が湧けば便利です。
しかし、風呂の栓が抜けている場合もありますし、
昨日の残り湯が残っている場合もあります。

携帯からご飯を炊こうにも、洗米してセットしてなければ炊けません。
せいぜい、電気の消し忘れが無くなるとか、
エアコンを帰宅前の付けて、帰ったら適温の部屋が待っている程度しか思い浮かびません。

生活とは以外とドロクサイ作業の連続で、
超便利な家電品が存在しても、料理には下ごしらえが必要で、
自動化には限界があります。
むしろ、料理は手間を掛ける事に喜びがあるのであって、
手間を惜しむならスーパーかコンビニかデパートの惣菜コーナーで十分です。

そもそも、HDレコーダーの録画設定だって大変なのに、
家電とTVをリンクする設定をして、さらにそれぞれを操作を覚えるのは面倒です。

さらに、TV自体が衰退の一途を辿っています。
我が家はTVが無いので家族全員のコミニュケーションが増えましたし、
つまらないニュースに突っ込みを入れるストレスが減りました。

■ ホームサーバーとしての apple TV ■

スマートTVをホームサーバーと位置付けるならば、
その先鞭を付けたのは、SONYのコクーンでしょう。
しかしコクーンは早すぎたのか、市場に受け入れられる事はありませんでした。

appleもこの分野は地道に商品開発をしていて、
appleTVという映像サーバーを昔から発売しています。
PCベースの映像コンテンツをサーバーにアップして家族で共有する様なイメージでしょう。
さらに、iTunseのデータを他の部屋から再生出来る無線機器の
AirMacExpressなる商品も存在します。




■ guogle画像検索から家電各社を眺めてみる ■

google画像検索は時代の縮図です。
キーワードに対する画像情報が抽出させれ事により、
感覚的にキーワードを取り巻く環境を把握する事が可能です。

それでは、世界の家電各社の画像検索結果上位を見てみましょう。




SONYはロゴとカメラ、テレビ、ゲーム機、ヘッドホン、ラジカセが表示されます。
一見、様々な商品がラインナップされて良い傾向に様に思えますが、
SONYとしての代表的商品が存在しない事を端的に表しているとも言えます。



appleはロゴが抽出されます。
iPhonやiPadで無い事に驚きを覚えますが、
要はブランド自体に魅力を感じてるといいう事の顕れでしょうか?



AMSONGは圧倒的に携帯端末が抽出されました。
日本の家電メーカーはサムソンのTVに負けたと悔しがりますが、
サムソンの主力商品は携帯電話だという事が良く分かります。

TVは一度買えば、10年近く使いますが、携帯電話は2年から3年で買い替えます。
商品の回転率を考慮すれば、耐久商品でありながら値崩れしたテレビ市場は
既に全く魅力を失った市場と言えます。
一方で、携帯端末でリードを奪われた日本の家電メーカーの復活の道は閉ざされています。



韓国の2番手メーカーのLGは、テレビも表示されますが、
ほとんど携帯電話が抽出されました。
ロゴが多く抽出された事も特筆されます。
多分、ブランドイメージを拡散する為の戦略の顕れなのかも知れません。



家電が衰退したアメリカのGEはどうでしょう。
ジェットエンジンがドーンと現れます。
意外だったのはGEブランドのデジカメが存在している事。
多分OEMなのでしょう。

家電産業が国内で成り立たなくなったアメリカの姿は
日本の将来像に近いかも知れません。
この姿はSONYでは無く、日立の姿ですね。
家電から撤退して、インフラ系の危機に集中する日立や東芝の選択は正しいのでしょう。
日立はGE系列でした・・・。



日本では補聴器メカーと思われているドイツのSIMENSは、
ドイツでは揺るぐ事の無い、総合電機メーカーです。
鉄道や環境関連まで扱い、日立やGEに近い会社ですが、
googleでは意外にも携帯電話が沢山抽出されています。



さてもう一つのヨーロッパの家電の雄、オランダのPHILIPSはどうでしょうか?
オー、SONYそっくりの商品攻勢が抽出されました。
・・・という事は、SONYの将来はPHILIPSを見れば占えるという事でしょうか?
SONYブランドの電気シェバーが登場する日も近いのか??




最後に往年のSONYファンとしては、こうなって欲しかったという例。
デンマークのオーディオメーカーB&O(バング&オルフセン)です。
音なんて二の次、三の次・・・。
音も音楽の楽しみ方も含めて、デザインされています。

これこそが、「成熟」なのですが、SONYはあまりにも大きくなり過ぎました。

SONYと日の丸家電に未来はあるのか?
多分、価格競争からは各社逃げたいはずですが、
あまりにも巨大になり過ぎた為に、
日銭を稼ぐ為に既存ジャンルを捨てきれないというジレンマに陥っています。

尤も、appleだって倒産の危機がありました。
スティーブン・ジョブスを呼び戻していなければ、
appleはとっくに市場から消えていたはずです。

消費者は非常に移り気です。
しかし、スマホの猿と化した息子を見るにつけ、
こいつ等が今更TVやPCに回帰するとはどうも思えません・・・。

家電メーカーもそこ等へんは分かっていながらも、
バッサリとTV事業から撤退は出来ずに、
退却戦で消耗していくのが目に見えています。

TV偏重の著しいシャープの株価が全てを物語っているのでしょう。