■ 米巨大銀行は解体した方が株主の為 ■
ブルームバーグの記事は興味深い。
「BOA解体は合理的、ユニバーサルバンクは時代遅れと投資家 」(2012.06.28 Bloomberg)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M6A89W6KLVR401.html
1) 米巨大銀行の株価は、不採算部門を沢山抱え込んだ為に低迷している
2) 投資家の利益の為には巨大銀行を解体すべき
リーマンショック以降「大きすぎて潰せない」と言われた
米強大銀行を解体せよとの発言は
JPモルガンの元CEOなど、金融界の中からもおきている様です。
バンクオブアメリカ、シティバンク、JPモルガン、ゴールドマンサックス、JPモルガン
などの巨大銀行が槍玉に上がっています。
■ 米銀は7月1日に「生前遺書」を政府に提出した ■
米銀は7月に銀行が破綻した場合の精算手続計画書を
7月1日までに政府に低提出する事になっています。
4000ページに及ぶ膨大な資料の様です。
前のアメリカ預金保険機構のベアー元総裁は、
この計画に基づいて巨大銀行は解体できるとインタビューに答えていますが、
カンサスシティー連銀総裁は、
グラススティーガル法を復活させて商業銀行と投資銀行を分離すべきだと主張しています。
■ ボルガールール対策ではないか? ■
リーマンショック時の緊急避難として
米投資銀行は商業銀行に合併したり、
商業銀行に看板を架け替えて
政府から救済されました。
しかし、商業銀行は政府からの規制を受ける為、
投資銀行部門を再び独立させようという狙いがあるものと思われます。
ボルガールールが投資銀行にどの様に適用されるのか
定かではありませんが、
少なくとも、商業銀行よりは規制は少ないと見ているのでしょう。
債権市場はリーマンショック時よりは持ち直していますから、
投資銀行が再び自立する環境が整ったとも言えます。
「大きすぎて潰せない銀行を解体する」と国民に思わせておいて、
その実は、銀行と投資家の利益を優先しているのでしょう。
■ 損失はどこへ隠されるのか? ■
グラススティーガル法の目的は
リスクの高い投資銀行業務の損失を
一般の預金者が被らないようにするという事でしょう。
その骨子に従えば、緊急非難の必要性が減ずれば、
商業銀行と投資銀行は分離した方がこの好ましいと言えます。
一方、グラススティーガル法を厳格に運用すると
アメリカの商業銀行は利益の少ない融資業務に押し込められてしまします。
さらに気になるのは、投資銀行の抱えているはずの
巨大な不良債権がどこに行くかです。
巨大銀行をいくつかに分割して、
不良債権をバットバンクに押し付ければ、
投資銀行はキレイな身になって再出発できます。
最も、多少身奇麗になった所で、
金融危機が再発すれば今度こそ
どの銀行も一旦は国営化されるしか生き残れないのでしょうが・・・。
もしかすると銀行解体の動きは、
優良資産だけを集めたスーパー・グット・バンクを設立して、
資産保全を図る動きなのかなとも、勘ぐってしまいます。
いずれにしても、「銀行が解体され、いい気味だ」などと思っていると
手痛いしっぺ返しを喰らうかもしれません。