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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

格差の拡大がアメリカ社会のウィークポイント・・・アメリカの街をあなたは歩けるか?

2012-07-03 10:37:00 | 時事/金融危機
 





■ ロス暴動のきっかけとなった黒人がプールで死亡 ■

若い方は「ロス暴動」をご存知無いでしょう。

1992年4月から5月に発生した、
ロスアンゼルスでの黒人達の暴動です。

事の発端は、1991年3月3日、黒人男性ロドニー・キングが
レイクビューテラス付近でスピード違反を犯し
ロス市警の警官達が、彼に対して
殴る蹴るの暴行を働いた事でした。

裁判で警官たちが無罪になった事に腹を立てた黒人達が、
ロス市内で暴徒化し、手の付けられない状況になりました。
彼らは店を略奪し、車に放火し
鉄パイプを振り回せて暴れ周りました。

特に、韓国人商店が集中して狙われましたが、
事件の1年前、15歳の黒人少女を
韓国人の女性店主が強盗と間違えて射殺した事件の因縁が原因でした。

人種差別の激しいアメリカで、
黒人は白人より下に見られていますが、
黒人は自分達よりも韓国人を見下している事も
韓国人商店が襲撃されるい原因になりました。

このロス暴動のきっかけとなった男性ロドニー・キングが
自宅プールで死亡している所を発見されました。
http://www.cnn.co.jp/usa/30007017.html

事故死の様ですが、様々な憶測も読んでいます。

■ 人種格差が広がるアメリカ ■

アメリカで観光地以外の場所に足を踏み入れると
とてもピリピリした空気を味わいます。
特に、ロスのダウンタウン周辺は、
車から降りたら身の安全は保障されません。

だから地元の人達は、ハイウエイを目的の場所で降りて、
またその場所からハイウエイにのって移動します。

通り一つ隔てて、街の雰囲気が一変するアメリカでは、
ハイウェイの降口を間違えただけで、
大変恐い思いをします。
黒人街のど真ん中になど出た日には、
マジで焦ります。


よく私はブログでアメリカの最大の弱点は「暴動」だと書いています。
実際にロス暴動はささいな原因で発生しましたが、
それ以前に、人種間の格差や差別によって
黒人の間に不満が高ぶっていた事も大きな原因でした。


リーマンショック以降、多くの黒人やヒスパニック系の住民が
家を失い、職を失いました。

米国民の資産の減少を人種別に見た2011年7月のデータです。

白人 16%減少
黒人 53%減少
ヒスパニック 66%減少

白人が比較的資産を保全出来ているのに対して、
サブプライムローンの対象であった黒人やヒスパニック系は
大きく資産を減らしています。

失業の長期化がさらに彼らの不満を増長しています。
この不満がさらに高じ、なにかのキッカケで噴出すると
ロス暴動のような暴力が発生します。

■ 危機感を高めているアメリカ ■

今年の初めダラスの韓国人が経営するガソリンスタンドで
黒人牧師と韓国人店主がつまらない諍いを起しました。
黒人牧師が「国へ帰れ」と言った事を受けて
韓国人店主が「アフリカへ帰れ」とやり返した事で、
付近の黒人達が怒り出し、
抗議デモに発展しました。

これが暴動に発展する事を恐れた市当局や、
アメリカ韓国人総会、米国最大の黒人人権団体(全米有色人種地位向上協会=NAACP)の計らいで
この韓国人店主が、黒人向けのラジオで謝罪する事で
事態は沈静化した様です。

http://blog.livedoor.jp/surprisednews/archives/2884945.html

この様に、ほんのささいな一言からでも暴動に発展しかねないのが
現在のアメリカの置かれた状況です。

地方の財政も危機的情勢で、
教師、警官、消防士のリストラが相次ぎ、
市民サービスも滞り始めています。

今後、アメリカでは財政破綻を宣言する自治体が急増し
社会問題としてクローズアップされるでしょう。

■ 銃で自己防衛するアメリカ国民 ■

アメリカの社会に漂う不穏な空気に国民は敏感です。
アメリカではリーマンショック以降、
銃の売り上げが伸びています。

スミス&ウエッソンの売り上げが前年比27.7%も増えているそうです。
(ダーティーハリーの持ってる銃のメーカー)

その他、地下シェルターに食料を備蓄する為に、
スパムハムが売れ出すと、アメリカ人が危機を意識した証拠とされます。

■ 市街地で演習を行う米軍 ■

米軍が市街地で演習を始めているというYoutube画像も紹介されています。
これが、通常の演習なのか、それとも近い将来に備えた演習なのかは分かりませんが、



私の育った習志野市は自衛隊の街でしたから、
空挺師団を荷台に乗せたトラックなんて日常の光景ですし、
一昨年の暮れには、市街地のど真ん中の演習場で、
実弾訓練などが行われていましたから、
別にこの映像が特別とも思えませんが、
確かに後半のマイアミの演習は、周辺住民は驚くでしょう。

■  危機を煽る訳では無いが・・・ ■

危機を煽る訳ではありませんが、
アメリカという国には固有のカントリーリスクが存在する事は
頭の片隅に入れておく必要はあるかと思います。







リフレ派と反リフレ派の論争は神学論争化していないか?・・・本当は海外のリスクに目を向けるべきでは?

2012-07-03 07:21:00 | 時事/金融危機
 

■ マクロ経済という視点 ■

最近、「ひろのひとりごと」さんにお邪魔して、
皆さんに沢山の事を教わっています。

ひろさんのブログは実際のデータを使って
現在の経済の通説の間違いを明らかにするという
非常にアカデミックな経済ブログで、
そこに集う方達も博識です。

私などは経済の専門家では無いので、
皆さんに基礎から色々と教わっています。

今回、目からウロコだったのは、
私達はマクロ経済を語るつもりで、
実はミクロ経済の話をしているという事。

「物価」と一言で言っても、
マクロ経済的な物価は、物価の平均値で、
個々の品目の増減は一切意識しません。

但し生鮮食料費は物価変動が激しいので、
コれを除外したコアCPIを用いまる事が多い様です。

現在の様に投機的な原油高が発生する場合は、
原油価格も外したコアコアCPIを用いた方が
経済の実態を反映する場合もあります。

私達は日々の買い物で、ああ物の値段が高くなったとか、
ユニクロはなんでこんなに安いのだろうなどと感じますが、
例えば、衣料品の価格が安くなったとしても、
単価の高い車や家電品などの耐久消費材の価格が上がっていれば
消費者物価指数は結果としてはプラスになったりします。

■ マネタリーベースを増やせば物価は上昇する ■

現在の日本の経済論争の主流は、
緩和政策でマネタリーベースを増やせば
景気が回復すると主張するリフレ論者と、
資金需要が無いのだから
マネタリーベールを増やしても景気は回復しないという
反リフレ論者の対立でしょう。

実は双方の意見に経済原理的には対立点はありません。
マネタリーベースを増やせば、確かに多少の景気効果があります。

しかし現在の日本の最大の問題点は、
景気の先行感が悲観的なので、
設備投資などの意欲が薄く、
日銀が資金供給しても、銀行の日銀口座にブタ積になるか
日本国債購入に当てられて、ささやかな金利を稼ぐ結果となります。

要は、量的緩和は確かに効果はあるが、
現在の日本では景気を回復させる程の力は無い。


こう表現すれば、リフレ派と反リフレ派の対立は大方解消します。

■ デフレ下ではバラマキも必要 ■

「民間の資金需要が無い」というのは変えがたい事実なので、
それならば「政府支出を増やして、民間で不足する需要を作り出せば良い」
というのが、ひろさんのブログのテーマとなっています。


民間の資金需要が無い中でデフレを止めるには
「公共事業」で強引に需要を作り出すしか方法が無いと主張しています。

小泉改革の結果、「日本人は従来のバラマキ型政治こそが諸悪の根源」
という考え方に呪縛されています。

しかしその結果が地方経済の衰退であるならば、
逆説的には、「バラマキ」が経済を下支えしていた事を証明しています。

■ 「バラマキ」は非効率と主張する反リフレ派 ■

反リフレ派は「バラマキは不効率」と反論します。
民間投資に比べ公共投資は「乗数効果」が低く、
採算性に見合わない事業が増える。

民主党の掲げた「コンクリートから人へ」のスローガンは、
「人へ」を見せ玉にして、コンクリートを削減しました。
その結果、地方経済はらんなる衰退が余儀なくされましたが、
反リフレ派は、効率的でない公共投資は害だと主張します。

実は、ここにおいてもリフレ派と反リフレ派は
基本認識ではあまり差異がありません。

公共投資による景気浮揚効果は両者とも認めています。

ただリフレ派はデフレの現在は、緊急処置として財政を拡大させないと
日本は永遠にデフレを脱却出来ず、
長期的な税収の落ち込みは、財政赤字をさらに拡大させると主張します。

これに対して反リフレ派は、
現在の日本の財政赤字は限界に達しており
日本国債の需給バランスが崩れれば
国債暴落の危機が発生するので、
財政拡大など論外だと主張します。

高度成長期の公共投資は、
インフラが未整備な地域に道路や鉄道を作る事で、
確かに日本の経済発展に大きく貢献しました。

しかし、現在の整備新幹線や地方の高速道路は
採算性と言った意味からは、将来的に赤字が約束されています。
これは、財政赤字を生み続ける要因ともなるので、
反リフレ派の主張は一見正しく見えます。

しかし、一方で経済が成長に転じれば、
ソフトなインフレが発生し、
実質的な債務は減少する事も事実です。

但し、やはり着目すべきはこららの事業が
永続的にメンテナンスコストを要求する点です。
道路の補修や線路の整備に掛かるコストは
インフレ率にリンクして上昇しますから
トータルで考えれば、将来的にも財政赤字の要因となるでしょう。

ですから短期的にはリフレ派の主張は正しいと言えますが
長期的な視点からは、反リフレ派の主張にも一理あります。

■ いつまで国が負債に耐えられるか? ■

結局リフレ派と反リフレ派の最大の対立ポイントは
日本国債の暴落が起こりうるかという点に集約されます。

日本国債の暴落が発生しないのであれば
政府は国債をバンバンン発行して、
財政出動により景気を回復する事が出来ます。

リフレ派は、デフレの時代では需給ギャップが埋まるまでは
金利は上昇しないので、国債発行余力は大きいと主張します。

最悪、国債が暴落したとしても、
自国通貨建ての国債だから、
日銀が買い上げれば済む事だと主張します。

一方、反リフレ派は、国債市場は流動的で
いかに日本国債と言えども需給バランスが崩れれば
簡単に暴落が発生すると主張します。

国外の日本国債保有高が70兆円を超える現在、
海外勢の売り浴びせに対して、
国内の需要だけでは対抗できないという危険性も指摘します。

■ 原発議論に酷似してきた国債暴落議論 ■

日本国債の暴落危機は起こりうるので、
財政の均衡を図らなければ
急な国債金利の上昇も起こりえると主張る筆頭が日銀です。

日銀総裁自らが、金利上昇局面でに市場動向を警告しています。
これは確かに起こりうるリスクなので、
国家の命運を預かる財務省と日銀は、
危ない橋を渡る事を、極力避けようとします。

これは「低線量の放射線も危険かもしれない」という
原発における安全原理に近いものがあります。

「日本国債暴落は起こるかも知れないし、起こらないかもしれないが
 もし発生したら、国家の損失は莫大なので、リスクは犯せない」という立場です。

一方、リフレ派は国債暴落が発生する可能性は
経済学のデータに基づけば非常に低いので、
今は国債を増刷して、公共事業を拡大すべきだと主張します。

一般的にあは、前者は責任のある言動、
後者は無責任な言動の様に捉えられます。

本日の池田信夫氏は「責任倫理」と「心情倫理」という言葉を用いて両者を区分しています。
そして、両者の主張は双方証明されないので「神学論争」に近いものだと述べています。

「答えが分からないから、危ない橋は渡れない」というのが、
政府や日銀のスタンスでしょう。(表向きの)

原発稼動問題と正反対に、財政出動の拡大については
政府や日銀の方が、国民よりナーバスな立場を取っています。

私などは知識が乏しいので、
「ひろのびとりごと」さんで皆さんに教わると、
「そうだ!!その通りだ!!」と単純に納得しますが、
しかし暫くすると、国の財政に頼る経済は
やは継続性に欠けるのではと思ってしまいます。

私個人の中でも神学論争が無限ループしてしまいます。

■ 論争の視点が国内に向きすぎていないか? ■

私などは日本の危機は海外から到来すると信じています。
金融危機の第二派が必ず発生すると考えています。

ですから、日本の将来を現在の延長線として
想像する事すら出来なくなっています。
(単なる思い込みですが)

アメリカの状況を考えた場合、
バブル後の日本に酷似した状況に陥っています。
ただ、シャドーバンキングや怪しい金融商品によって
危機の規模があまりにも大きくなってしまっています。

そして日本とアメリカの決定的な違いは、
日本のバブル崩壊が国内の債権者と債務者の問題であったのに対して、
アメリカの債権者は、外国人が多いという点です。

日本はデフォルトしても国内の損失は解消しませんが、
アメリカはデフォルトして債務から開放される立場にあります。

ヨーロッパは日本同様にEUの域内での債権の持ち合いですから
ユーロ存続の為には、たとえギリシャであってもデフォルトは許しません。

アメリカは現在QE3の発動に躊躇しています。
これは、量的緩和が短期的な景気浮揚効果しか持たない事がバレつつあるからでしょう。
さらに、量的緩和で供給されてマネーは
明らかに原油市場に流入して、原油価格を高騰させています。
アメリカはガソリンに依存する国ですから、
ガソリン価格の高騰に国民は非常に敏感です。

アメリカの下層の国民にストレスを与えるのは、
食料とか、ガソリン価格の上昇です。
銃社会のアメリカで、暴動が一度発生すれば、
それは瞬時に全米に拡大するでしょう。

アメリカのリスクは巨大銀行に破綻によって始まるかも知れませんし、
国民の暴動によって始まるかも知れません。

リフレ論者と反リフレ論者が国内で論争を繰り広げている内に、
海外から危機が到来なんて事にならない様に、
このブログでは、やはり海外情勢を中心に
妄想しまくりたいと思っています。