■ Liborの不正問題が追及されている ■
Libor(London Interbank offered rate)という
私達に馴染みの薄いイギリスの銀行間取引市場(インターバンク)の金利の問題で、
イギリスのバークレイ銀行や、ドイツバンク、
さらには三菱東京UFJや、その他の世界の主要銀行が
アメリカのFRBや商品先物取引委員会(CFTC)や議会に追及されています。
日本ではほとんど報道されていませんが、
欧米ではこの不正問題をメディアが大きく取り上げています。
Liborはイギリスで営業する16の銀行が、
銀行間金利の相場をバークレイ銀行に申告して、
バークレー銀行がそれを集計するという
言わば、銀行間金利の目安のようなものだそうです。
申告された金利の内、上下4行の金利を外して、
残り8行の金利を、加重平均して算出されます。
リーマンショック時に、Liborが不当に低く操作され事が問題とされています。
これはリーマンショックでリスクが高くなったのと、
ドルの流動性が欠如して金利に上昇圧力が加わったのですが、
金利が上昇すると各銀行の信用リスクが高まったと判断されます。
そこで今回問題となっている多くの銀行が、
実際の相場よりも低い金利をバークレー銀行に申告した様です。
■ 各中央銀行も承知していた不正 ■
今回の不正には中央銀行も絡んでいた様で、
イングランド銀行もFRBも操作対象になっています。
むしろイギリスの中央銀行が率先して金利操作を指示していた疑い持たれています。
リーマンショック直後に銀行が連鎖倒産していたら、
金融危機は、世界経済の崩壊に繋がったかも知れない状況を鑑みれば、
これは当然の処置もと思われます。
WSJ誌は2008年にはこの問題を既に報道しており、
その直後にLiborの金利は大きく上昇しています。
■ 「あたりまえ」に行われていた不正 ■
私などは金融業界は不正が当たり前と思っていましたから、
今さらこんな問題を蒸し返して、
アメリカは何を企んでいるのだろう?と先ず考えてしまいます。
グッチーさんのブログによれば、
LIBIDの金利の不正操作などは
20年も前から日常的に行われているそうです。
それどころか、CDSやCDOなどのでも、
仲間内で操作が行われ、
それぞれ持ちつ、持たれつで利益を上げている様です。
■ アメリカは銀行をイジメて何をしたいのか? ■
今回、やり玉に挙がっているのはイギリスのバークレイズや
ドイツ銀行などですが、
不正に絡んで名前が挙がっているのは、
ヨーロッパの銀行のみならず、
アメリカの大銀行も軒並み名前が上がっています。
商品先物取引委員会(CFTC)や米国議会は、
何故今頃になってこの問題を取り上げて、
銀行にプレッシャーを与えているのでしょうか?
大統領選で「オバマが銀行の不正を正した」と宣伝するには、
オバマが前面に出て来る様子は見られません。
何故、中央銀行にまで捜査が拡大され、
その情報がリークされるのか?
ボルガールールの施行に向けて、
銀行の首根っこを押さえておきたいのか?
■ 不合理な事件こそ、重大であるという直観 ■
合理的な解釈が難しい事件の裏では
必ずや、人の意思が強く働いています。
それを世間では「陰謀」と呼びますが
「陰謀」というレッテルが張られて瞬間に、
思考停止する様に人々は洗脳されています。
「陰謀」の奥に蠢く、怪しく黒く光る人の意思を
私はどうしても覗いて見たくなります。
歴史の教科書は「偶然」に支配されていますが、
実際の社会は「必然」の産物です。
米国が銀行業界全体の公然のタブーを追及するのは、
単に1兆円にも及ぶと言われている賠償金を得る為なのか、
それとも、金融不安を故意に作り出す為なのか、
それとも、米国がヨーロッパから真の独立を勝ち取る為の戦いなのか?
いずれにしても、重大事件ほど真相はいつも闇の中に葬り去れらます。
同時代に生きていながら、時代の真の姿が見えない焦燥感が、
こんな「陰謀論ブログ」を書かせるのです。
<追記>
色々な解説記事が出回っていますが、
私が見た中では田中宇氏の有料ブログが一番分かり易かったです。
田中氏も、何故今頃になってこの問題がクローズアップされるかに注目しています。
田中氏の持論であるアメリカ国内の多極主義者による
米英覇権体制への攻撃と分析しています。
英国金融回はLiborの金利を低く誘導する事で、
利益を確保しているフシがあるそうです。
「LIBORの歪曲は「過ち」などでなく、
自由化された金融システムの「特色」なのだという皮肉な指摘も出ている。」
という一文に、この問題の本質が見え隠れします。
金融の自由化とは、八百長の解禁であったと金融界は受け取っているのでしょう。