■ オメデトウ!!新城(あらしろ)選手 ■
「自転車=ツール・ド・フランス第4ステージ、新城が敢闘賞」(ロイター 2012.07.06
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPTYE86400B20120705
日本では馴染みの薄い自転車のロードレースですが、
ヨーロッパではF1やサッカーに匹敵する人気スポーツです。
その最高峰のレースの一つがツールド・フランスです。
(wikipediaより)
毎年7月に開催され、
23日間で、距離3300Kmあまり、
アルプスの山を越える標高差2200mの過酷なレースです。
フランス国内のみならず、イギリス、ベルギー、イタリア、スペインなどを
自転車の大集団が駆け抜けて行きます。
■ 敢闘賞って何? ■
ところでタイムを競う自転車レースで敢闘賞って何?
自転車レースは風との戦いです。
平均時速40Kmでは、エネルギーのほとんどが
空気との摩擦に消費されます。
ですから、単独で走る選手や、集団の先頭の選手が
最も風の影響を受けます。
上の写真はトレインと呼ばれる形態ですが、
チームのz全員が一列になって走行する事で、
先頭意外の選手は、風の影響を受けにくくなります。
自動車レースのスリップ・ストリームと同様の効果です。
ただ、先頭の選手は風の抵抗で疲労困ぱいしますから、
先頭を交替で変わりながらレースを進め、
ゴール直前になってから、
それまで一度も先頭に立たずに体力を温存していた
チームのエースが猛ダッシュ(アタック)を仕掛け、
1位でゴールする事を目指します。
トレインの他に集団で走行するシーンも多く見られます。
集団で走行しても風の影響が避けられるからです。
上の写真はツールドフランスでの新城選手(第5ステージ)ですが、
リラックスして談笑しながら走っています。
トレインや集団は省エネなレース展開ですが、
それだけでは、レースはゴール直前まで
全く見所も無く、最後のスプリントで勝負が決まってしまいます。
そこで、レース序盤から、積極的に飛び出す(アタックをかける)選手が必要になります。
普通、数人の選手がアタックをかけて先頭集団を形成し、
こちらも、先頭をある程度交替しながら、
後続集団を引き離します。
タイム差で10分くらい離れる事もあるでしょう。
もしそのまま、先頭集団が逃げ切ると1位ゴールを奪われるので、
後続集団はレース終盤にかけて次第にスピードを上げてゆきます。
先頭集団は数人で先頭を交替しながら走りますが、
風の影響を受け続けるので、
次第に失速して、レース終盤で後続集団に吸収されます。
ただ、勝ちの少ないチームなどは
二人や三人を先頭集団に入れて、
逃げ切りを狙うケースもあります。
マラソンのペースメーカーの様に、
最初から勝負を捨てている訳では無いのが見所になります。
この、レースのスパイスとも言えるアタックを
果敢に仕掛けた選手に送られるのが敢闘賞です。
ツールドフランスは22ステージ程度ありますから、
毎日、誰かが敢闘賞を獲得します。
■ 自転車レースを知りたいならば、「茄子・アンダルシアの夏」を見るべし ■
まあ、言葉で書いても自転車レースの魅力は1万分の一も伝わりません。
新城選手のインタビューとハイライトシーンがあったので紹介します。
http://www.youtube.com/embed/sR6VhXgDVc0
ところで、自転車レースを知る上で最適の教材があります。
「茄子・アンダルシアの夏」とい劇場アニメです。
原作は黒田硫黄の「茄子」という短編漫画集の1作です。
スペインの自転車レーサーぺぺ・ベネンヘリは
チーム・パオパオに所属しています。
チームは今期勝ち星が無いので、
スペインのアンダルシアを舞台にしたステージで、
パオパオビールはチームのエースと、ぺぺにアタックを仕掛けさせ
そのまま逃げ切る作戦に出ます。
アンダルシアの大地は暑く、そして強風が吹きぬけます。
その過酷な条件の中で、ぺぺを含む数人が集団を抜け出します。
実はこの日はぺぺの兄の結婚式の日でもあります。
結婚式を終えた人々は、ぺぺを応援する為に
レースコース脇の酒場に集まっています。
実はぺぺの兄の花嫁は、ぺぺの昔の恋人でした。
兄の兵役の時に、ぺぺに自転車を取られましたが、
ぺぺの兵役に時に、兄に恋人を盗られたのです。
だから、ぺぺは故郷を出て行く為に
自転車レースに身を置きます。
そんなぺぺに故郷の風景は複雑な思いを抱かせます。
さて、先頭集団が酒場の前を通過する時、
ぺぺのチームのエースが落車するというアクシデントが発生します。
もうぺぺが優勝を狙うしか手が無くなります。
暑く照りつけるアンダルシアの太陽の下、
ぺぺの単独行が始まります。
後ろからは集団が迫りますが、
街のコーナーを熟知したぺぺには地の利があります。
ゴール前100m、各チームのエースが飛び出します。
時速60Kmを超える争いで、一位でゴールに飛び込むのは!!
この後はTSUTAYAへGO!!
原作の黒田硫黄は、竹宮恵子をして「天才」と言わしめる
現代日本漫画界の鬼才です。
「茄子」は茄子だけが共通する短編漫画集です。
インテリだけど、田舎の農家に転職する男が育てる茄子。
学校の屋上で茄子育てられているだけしか茄子が出てこない話。
そして、ぺぺベネンヘリの自転車レースの話。
この話での茄子は、地元の名産が茄子の漬物というだけの繋がり。
とにかく、どこかにちょっとでも茄子が出ていればOKという短編集が「茄子」です。
ところが、この「茄子」という短編集は、
「くらもちふさこ」の「駅から5分」の様に、
全然別の話の登場人物達が、
ある所で接点を持ったりします。
まあどの話も短編としても一級品で、
現代日本漫画を語る上で、黒田硫黄は外す事の出来ない作家です。
(絵柄的に受け付けない人も多いでしょうが)
とりあえず、以前の記事をもう一度紹介しておきます。
<再録シリーズ>「茄子・スーツケースの渡り鳥」・・・昔のジブリはここにある
http://green.ap.teacup.com/pekepon/685.html