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左側通行?右側通行?・・・通行方向に見るイギリスの影響

2012-07-19 04:34:00 | 時事/金融危機
 




■ アジアの国々では車は左側通行が多い ■

先日マレーシアに行ったら、歩行者用信号がほとんど無い。
じゃあどうやって道を渡るのかと思えば、
みんな、てんで勝手に車道を横断してゆきます。

ところがこれが神業に近い。
決して交通量は少なくありませんが、
皆さん、見事なタイミングで道を渡り始め、
悠々と歩いたままで、反対側に辿り付きます。
決して、途中から走るような事はありません。

私もチャレンジしてみましたが、
途中から引き返したり、
途中から走ったりと、
なかなか、マレーシアの人達みたいに
優雅に道を渡り切る事は出来ませんでした。

ところで、マレーシアの車は日本と同じ左側通行です。
シンガポールも左側通行です。

これは、宗主国であったイギリスが左側通行だったからです。

■ 左側通行は神の定めしもの ■

左側通行の歴史は、ヨーロッパの中世にまで遡れる様です。
理由は様々の説がある様ですが、
馬車の御者が鞭を右手に持っていたから、
右側に開放スペースが必要であったという説が有力です。

さらには、右手で剣や槍を扱う場合、
対向する敵に対処する場合は、
自然と道の左側に身を寄せて防御姿勢を取るという説もあります。
これはヨーロッパにおける左側通行の起源説の一つですが、
日本の武士も彼方を左腰に差していたので、
日本でも、左側通行が主流でした。

ヨーロッパでは「左側通行は神の定めし掟である」という、
有無を言わさぬ理由が主張される事もあった様です。

■ ナポレオンは軍を右側通行させて勝利を収めた ■

半ば、自然発生的に定着していた左側通行に、
一石を投じたのはナポレオンだと言われています。

通常、左側通行する軍の右側面を急襲するのに、
自軍を右側通行させるとメリットがあるからだと説明されている様ですが、
戦時に各軍が、道の片側に寄って行軍するとも考えられず・・・・
多分、ナポレオンが極度のオレ様だったので、
従来の左側と通行を嫌っただけだと思えます。

又、ロベス・ピエールがキリスト教の定めた左側通行を否定して、
右側通行を採用したという説もあります。

いずれにせよ、ナポレオンに制服されたヨーロッパの国々では
右側通行が定着し、
征服を免れたイギリスは左側通行が残りました。
スウェーデンでも左側通行でしたが、戦後に右側通行に変わります。

■ 6頭、8頭立て馬車の出現が、アメリカで右側通行を定着させた? ■

アメリカでは6頭、8頭立て馬車の
最後尾の左側の馬に御者が乗る事が一般化します。
大型馬車同士が行きかう時に、
馬車同士がぶつからないように、
しっかり馬車の左側が見える為だという説があります。

しかし、これも先に右側通行というルールが決まっていて、
御者が左側の馬に乗っていた可能性もあります。

■ イギリスの植民地は左側通行 ■

上の地図は世界の右側通行と左側通行をまともたものだそうです。
青が左側通行の国。
赤が右側通行の国。
ピンクが左側通行から、右側通行に変更した国です。

青の分布は、大英帝国の影響権と一致している事にお気づきでしょう。
植民地化に伴って、道路の通行方法もイギリス方式が採用されたのです。

カナダは現在では右側通行ですが、
かつては左側通行でした。
アメリカと陸続きな事から、右側通行に変更されたのです。

■ 日本は英国領? ■

明治維新に当たり日本はヨーロッパを真似て国を整備します。
道路の通行方向がこの時イギリスを手本に整備されたのか、
それとも日本の伝統に従って、左側通行が採用されたのかは定かではありません。

しかし、戦後アメリカが日本を占領しても、
右側通行を押し付ける事が無かった事は意外でもあります。
信号などのインフラが、既に整っていたからかも知れませんが、
アメリカが統治下に置いた沖縄では右側通行となりました。
(本土復帰で左側通行に戻っています)

■ 世界の政治地図に見えて来た・・・ ■

上の地図を漫然と眺めていると、
どうも世界の政治地図の様に見えてきます。

ヨーロッパにおけるイギリスの孤立性と、
アジアに対するイギリスの影響力がはっきりと伺えます。

現在でこそEUという枠組みでヨーロッパとして纏められていますが、
実はイギリスは現在もヨーロッパとは一線を画しています。

かつて、何百年と大陸ヨーロッパと戦争を続けた国、イギリスは、
実はヨーロッパの一員では無いのかなとも思えて来ます。

Liboe問題でイギリス中央銀行とバークレイズが攻撃される背景には、
ヨーロッパとイギリスの確執があるのかも知れません。

さらには、イギリスから一度は独立を勝ち得た後に、
イギリスの金融資本家達に再占領されたアメリカの怨念も感じずには居られません。

■ イギリス ロスチャイルド家の衰退を目の当たりにしているのかも知れない ■

先日、英ロスチャイルド家当主のジェイコブロスチャイルドと、
アメリカのデビット・ロイックフェラーの資本提携が話題となりました。

「ロスチャイルドとロックフェラーの歴史的和解」と報じる向きもありますが、
ジェイコブ・ロスチャイルドは英ロスチャイルドの財産と権力を
彼の父親から、継承する事は出来ませんでした。

現在、イギリスのロスチャイルドの支配者はフランス家の党首、
ダビット・ロスチャイルドです。

ジェイコブとデビット・ロックフェラーの提携は、
負け組み連合と呼べるのも知れません。

■ アジアに手を伸ばすアメリカ ■

アジア諸国は、資本的にはイギリスの影響下です。
文化的にも、イギリスの臭いを色濃く残します。

しかし、TPPの動きを見ると、
アメリカはアジアにイギリスの利権に素手を突っ込んでかき混ぜるつもりの様です。

田中宇氏の主張の様に、アメリカのネオコンが、
米英派に敵対する隠れ多極主義者であるならば、
この動きも納得が行きます。

第二次世界大戦後、アメリカを影で操ってきたイギリスの
利益と支配の源泉が、FRBの発行するドルである事を考えると、
現在はイギリスが大陸ヨーロッパに侵食され、
子飼いのアメリカに裏切られる過程なのかも知れません。

金融危機の本質を、戦後も続いた大英帝国の崩壊と読み解けば、

何となく、合理性がある様に思えて来ます。

50年後、100年後には、
上の地図から青い地域が無くなるのかも・・・。