習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

真紅組team DOLLS『8人の女たち』

2016-12-18 02:09:12 | 演劇
フランソワ・オゾン監督の『8人の女たち』はアンサンブルが素晴らしい作品で面白かったが、それを真紅組がどう作るのか、興味津々。諏訪さんはいつものように手堅い演出で、華やかで軽妙なタッチの味のある作品に仕立てた。映画はあまりオゾンらしい作品ではなく、毒気が足りないと思ったが、このお話は芝居として作ると、このくらいの噓臭さが程よい。 犯人探しよりも、女たちのそれぞれの思惑が交錯した女たちの確執(で . . . 本文を読む
コメント

『私の少女時代』

2016-12-14 22:00:32 | 映画
東京では今劇場公開中なのだが、大阪地区はまだみたいだ。1年前の夏、台湾に行ったとき、ちょうど公開中で大ヒットしていた。その時、見ようと思ったけど、当然字幕がないので、もう少しわかりやすそうな映画を、と日和ってしまい、他の映画を見てしまった。(エディ・ポン主演の自転車レースの映画を見た)どうせすぐ日本でも公開されると踏んだのだが、なかなかうまくいかない。今年になって妻が台湾でDVDを買ってきたから、 . . . 本文を読む
コメント

『ガール・オン・ザ・トレイン』

2016-12-14 21:58:45 | 映画
予告編を見た時、そそられた。そこに何が広がるのか、興味をかき立てられる、そんな作品だった。電車の窓から見た風景。そこにあるさまざまな人たちの営み。通勤の一瞬だけ、よぎる彼らの生活の一コマが毎日積み重なり、そこに親近感を抱く。まるで関係のない人なのに、旧知の仲のような想い。そんな妄想が心の中に広がる。もし、そこで自分が暮らしていたならどういう世界があっただろうか、なんて考えると、楽しい。きっとミステ . . . 本文を読む
コメント

劇団往来『アクトレス』

2016-12-14 21:54:07 | 演劇
展覧会のAの田中守幸さんが昨年亡くなられた。その追悼公演を往来がするのは当然のことだろう。往来が田中作品を取り上げて上演し、座付き作家のように上演していた時期の作品はほぼ全部見ている。鈴木さんだけではなく、田中さん自身も何本も演出を担当されたはずだ。田中さんの劇団での公演と往来での公演の違いは明らかでそこが面白かった。田中さん自身もその差を意識して作品作りをしたのではないか。それはとても充実した時 . . . 本文を読む
コメント

Intro『ブルーマウンテン号の卵と間違い探し』

2016-12-14 21:50:43 | 演劇
札幌から来た劇団Introの芝居は、どこの劇団にも似ていない。だからといって特別なことをしているわけではない。いたって「ふつう」の芝居だ。だが、ここでいう「ふつう」というのが彼女たちの(というか、作、演出を手掛けるイトウワカナさんの、というべきか)「特別」なのかもしれない。 家庭劇である。家族は父と母、おばあちゃんと二人の息子、上の息子の嫁、という6人。どこにでもありそうで、今はないような家 . . . 本文を読む
コメント

喫茶モグル『ハルカチカ』

2016-12-14 21:48:09 | 演劇
とてもいい。ひとりよがりすれすれのところで、なんとか成り立っている。その危うさが素晴らしい。これは自分勝手で、わがままな芝居だ。それを若さの特権だ、なんて僕は言わない。なぜなら、彼らは切実だからだ。そんなふうにしか語れないものに、正直に向きあう。その誠実さがこの作品の魅力だ。でも、そこを、この作り手の甘え、と切り捨てる人もいるかもしれない。でも、そんな批評は気にしなくていい。自分が信じたものをしっ . . . 本文を読む
コメント

Iaku『車窓から、世界の』

2016-12-14 21:43:12 | 演劇
とても重い話をさらりと見せている。さらりと見せることで、重い問題をその重さのまま見せきることに成功した。これは簡単そうに見えて実は一番難しいスタンスなのだ。そんなこと重々承知の上でそこにチャレンジしている。脚本を書いた横山拓也さんは、実に丁寧にこの切り口からお話を展開する。それをいつものパートナーである演出の上田一軒さんが力むことなく、ふつうに抑えたさりげなさで見せる。これはそんなコンビネーション . . . 本文を読む
コメント

『ボクの妻と結婚してください』

2016-12-14 21:35:13 | 映画
織田裕二の新作である。先日の福山雅治の新作に続いてこちらも興行的に苦戦している。今、スターが主演する映画は、従来のように、それだけで簡単にヒットするという図式が崩れている。それは日本映画だけではなく外国映画でも同じだ。トム・クルーズでもダメなのである。『ジャック・リーチャー』があれだけ面白かったにもかかわらず。 そんな中で、織田裕二も興行的には惨敗した。しかし、そんなこととは裏腹に作品は実に . . . 本文を読む
コメント

『五日物語』

2016-12-09 00:00:57 | 映画
この残酷な童話世界に導かれ、思いもしない唖然とする展開には、茫然として、でも、目の前の風景に目を奪われる。もう僕たちはスクリーンに釘付けだ。この先、このとんでもないお話はいったいどうなっていくのか、先が気になって仕方がない。ありえないような展開も自由自在。もうあれよあれよと、言う間にどんどんこの世界の中に取り込まれていく。だけど、映画は3つのエピソードが同時進行するから、今見ていたお話は途中のまま . . . 本文を読む
コメント

モンキーレンチ『スクルージ』

2016-12-08 23:59:33 | 演劇
はるやまなかおのプロデュース作品。3年振りの再演となる。作、演出はGフォレスタの丸尾拓。初演は見逃したので今回が初見となる。はるやまさんのスクルージは見なくても、ピッタリなキャスティングだとわかる。で、実際に見ても、想像通りで、なんだか笑ってしまった。 ディケンズの『クリスマスキャロル』をあまりに原作に忠実になぞっていて驚く。少しくらい改変して、オリジナルな要素を入れてもいいんじゃないか、と . . . 本文を読む
コメント

虚空旅団『誰故草』

2016-12-08 23:58:04 | 演劇
2年半を経ての再演である。OMS戯曲賞の大賞受賞を受けての凱旋公演となる。初演と同じウイングで上演された。僕は今回で2回目になるから、余裕をもって客観的に見ることができたが、最初に見た時には描かれる現実の怖さが前面に出すぎて、いま世界では何が起きているのかばかりが気になり、目の前の彼女たちの姿がちゃんと目に入ってなかったのではないか、と反省したけど、そうじゃなかったな、と気づく。 高橋恵さん . . . 本文を読む
コメント

『シークレット・オブ・モンスター』

2016-12-03 15:14:21 | 映画
「これだけ」さりげない見せ方をして、ラストでいきなり「あれだけ」を見せて終わり、というのは、ちょっと大胆すぎないか? これでは、何が何だかわからないというクレームもきっと出たはずだ。現に今日も何人かの観客が途中で劇場から退出していた。そんな不親切な映画である。だが、この緊張感の持続はただ事ではない。見終えた時にはぐったりとした。疲れる。でも、これは凄いというしかない。 少年期の3つのエピソー . . . 本文を読む
コメント

『聖の青春』

2016-12-03 15:08:04 | 映画
この単純なタイトルそのままで、とてもシンプルな映画だ。主人公の聖(松山ケンイチ)が、ただ、将棋をするだけの映画。病気に蝕まれて、あとわずかな命しかない。文字通り身を削り、羽生名人(東出昌大)に挑む3度の戦いが描かれる。2度目の戦いがクライマックスなのだが、そこで終わらないのがこの映画の身上。クライマックスの戦いが映画の後半のスタートくらいに設定されてあるようなのだ。始まってまだ1時間少し(体感時間 . . . 本文を読む
コメント

『幸福のアリバイ picture』

2016-12-03 05:16:00 | 映画
まさかここまでダメな映画だとは思いもしなかった。今の時代にこういう映画が存在することにも驚く。プログラムピクチャー全盛時代にはよくあったタイプのコメディで、70年代なら無視するだけで済んだ映画だろう。職人監督がやっつけ仕事としてこなしたような安易な企画。だが、今の時代そういうものはもう求められないし、そんな余裕はないはず。なのに、こうしてそんな映画が生まれた。まぁ、これはちょっとした奇跡なのかもし . . . 本文を読む
コメント

『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』

2016-12-03 05:06:06 | 映画
「ハリー・ポッター」シリーズの新作なのだが、ハリーはもう出てこない。これは別の新しいシリーズ第1弾ということらしい。主人公はハリーから同じホグワーツ魔法学校出身の魔法使いスキャマンダーに変わる。魔法学校の話ではなく、現実の世界へと飛び出す。今回の舞台は1920年代のニューヨーク。 この映画の凄さは、舞台となるニューヨークの街並み。その圧倒的な空間を舞台にした冒険のお話。主人公が彼のカバンから . . . 本文を読む
コメント