クアトロでは、新春特別メニューとして、“タラバガニのピリ辛スパゲッティ”が販売されている。
そのパスタが運ばれると、皆が黙々とふんだんに使われたカニ脚の身をほぐす。
食す者には、しばしの沈黙の時が流れる。
やがて、そのタラバガニの身の甘みと旨みがピリ辛のトマトソースの辛味と酸味と一体となり、スパゲッティに絡み、食す者に至福の時を与える。
クアトロの父は、このパスタに賛辞の詩を捧げた
私は最上のカニのパスタを渇望する
この望みはとても抑えきれない欲求だ
この衝動からは、永遠に逃れられない
いっそうこの欲求の囚われての身となれ
私の慕情は囚われの檻から解き放たれ
私の切望してやまないこのパスタを信じ渇望する
私の罪はタラバのピリ辛スパゲッティそのものなのだ
そうして、欲望の虜となる
このパスタを食べると妖しげな欲望の虜となるであろうと謳っている。
クアトロでこのパスタを食べるには、心して挑むべし。