魔法少女マヂカ・051
大塚台公園秘密基地完成祝賀会は大盛況だった!
主役はわたしとブリンダだ。
なんといっても、先頭に立って、直接敵と戦うのは魔法少女なんだ。高機動車たる北斗は主力兵器である魔法少女のトランスポーターに過ぎないし、北斗のクルーたる調理研の三人も機能的には北斗運行のための制御システムに過ぎない。司令の来栖一佐と隊長の安倍先生も例外ではない、上位の制御システムのコアに過ぎない。
だから、目いっぱい楽しんでくれ!
口の周りをビールの泡だらけにしながら司令がサムズアップ! テーブルのみんなも盛大な拍手! スタッフのテディーベアたちも縫いぐるみとは思えない器用さでバックミュージックを奏でる。基地のクルーロボットならヒューマノイドがいいと思うんだけど「これには意味がある」と、司令が真顔で言う。
「それでは、これからの健闘を祈って、マヂカとブリンダに歌ってもらおう!」
有無を言わさずマイクを握らされ、ピンクレディー、ザ・ピーナッツ、海原千里真理、こまどり姉妹、などなどの曲を歌わされる。
なんで主役が熱唱させられるんだ!?
司令に抗議の視線を送ると『二人の連携に敬意を払い、磨きをかけ、基地のクルーみんなで連携、共感の素晴らしさを感得するためだ!』というテンションの高い思念が飛び込んでくる。
し、しかし、なんか違うと思うぞ!(;´Д`)? そーだそーだ!
『じゃ、これでどーだ!』
再び司令がサムズアップ!
すると、調理研の三人と、ケルベロス、ガーゴイルの使い魔コンビ、須藤公園の河童、江ノ島の八音さんまで加わってAKBとか乃木坂のノリになってきた。
「次はゲームだ!」
ホイッスルが鳴ると、瞬間でドッジボールに切り替わり、汗まみれになったところで、各科対抗ツイスターゲーム。手足の短いテディーたちは早々と脱落する。調理研の三人はクルーとしてのスキルはインストールされているが、魔法少女に匹敵するほどの体力はなく、汗みずくになった末にリタイア、これもブリンダとの最終決戦に持ち込まれる。
ラディカルビンゴ、ロシアンヌーレット(当たると、盛大に水が落ちてくる)、反重力バレーボールなどなど……。
どれをやっても、魔法少女の性で最後までがんばってしまう。
くそ、ついさっきまでアレキサンドル三世と死闘を繰り広げていたんだぞ……(;^_^A
心では文句たらたらなんだけど、弱みを見せるわけにもいかず(とくにブリンダ! ブリンダも同じだろうけど)、がんばってしまう。
笑顔が引きつり、やせ我慢に膝が笑いだした頃に締めのスピーチが行われた。
演壇に立ったのは『主賓』の紅白リボンを付けた緋縅の大鎧を身にまとった神田明神だ。
「平和主義をモットーにする神田明神でありまするがあ……今般の東アジアの状況を鑑みるにい……で、ありまするからにして……特務師団並びに魔法少女に寄せらるる期待は、本朝開闢以来の熱気をもってえ……」
長いスピーチだったが、どうやら、霊魔相手の戦いは、おまえたち魔法少女に丸投げするからガンバレ!
そういう内容で、祝賀会に出席した全員の拍手をもって歓迎されてしまった。
ど、どうする、ブリンダ!?
なんか言え!