大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

誤訳怪訳日本の神話・48『天孫降臨』

2021-07-04 13:57:06 | 評論

訳日本の神話・48
『天孫降臨』  

 

 

 これは決定事項です!

 

 アメノヲシホミミの鼻先ににビシっと指を突きつけたアマテラスの決心は巌のようです……ちょっと古い(^_^;)。

 前世紀の終わりごろ……今から30年ほど昔の1989年ごろ。

 参院選で社会党が大勝!

 女性党首が高らかに宣言しました。

 山は動いた!

 自民党一党支配の時代が音を立てて崩れ去り、これからは社会党を中心にした左翼リベラリズムの時代が始まるぞ!

 あの時の土井たか子女史に似ています。

 平塚雷鳥が『青鞜』の発刊において宣言した言葉。

 元始、女性は太陽であった!

 

 アマテラスの決意は、この二つの宣言を足して百倍にしたような力と意味があったでしょう。

 

 ニニギノミコトには、万全の準備とお供を付けてやります。

 その準備とお供の発表で、いかに自分の決心が硬いかということを息子のアメノヲシホミミを始めとする神々と、中つ国の国つ神や人間たちに示します。

「まずは、アメノウズメ!」

 アメノウズメは、アマテラスが天岩戸に隠れた時に、18禁の即興ダンスを踊って、アマテラスを引きずり出すのに貢献した女神です。

 天性のダンスパフォーマーで、今でも芸能の神さまとして親しまれ、崇められている女神です。

 ウズメが気を引き、小さく開けられた岩戸を力任せにこじ開けたタヂカラオ。

 もう一人の力持ちのアメノイハトワケも付けてやりました。

 高天原一番の知恵者で、天の岩戸解放作戦を立案し、中つ国進出作戦をアマテラスに教示してきたオモヒカネ。

 その他にも、いろんな神さまが中つ国派遣団のメンバーになっていきます。

 

 アメノコヤネにフトタマ、イシコリドメには鏡を持たせ、タマノヤには勾玉を持たせます。

 そして、スサノオが八岐大蛇(ヤマタノオロチ)の尻尾から取り出した草薙剣を留めに付けてやります。

 この時の鏡と勾玉と剣が『三種の神器』となって、今に伝えられ、天皇の力の源になっています。

 

 この時、ニニギノミコトに付き添って中つ国に派遣された神々が、後に日本の有力豪族の始祖になっていきます。

 アメノオシヒ(大伴氏) アメツクメ(久米氏) アメノコヤネ(中臣氏) フトタマ(忌部氏) 等々……

 

 改めて強調しますが、代表であり天孫であるニニギノミコトは、まだ子供です。

 付けられた神々は、高天原の新旧取り混ぜてのオールスターと言っていい神々です。

 その多くは、天の岩戸事件で大きな力を発揮した者たちです。

 

 権威としての天皇が頂点に君臨し、力や才能の有る者たちが、実際の政治、軍事の力を発揮し、実際の責任をとっていくという、日本という国の原型があるような気がします。

 

 次回は、この天孫降臨にまつわるラブロマンスに触れてみたいと思います。

 

 ※ 神さまの名前は長くてややこしいので、~ノミコトという表現は略しました(^_^;) 神さま、ごめんなさい。

 

 

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鳴かぬなら 信長転生記 14『今度は茶道部』

2021-07-04 10:16:27 | ノベル2

ら 信長転生記

14『今度は茶道部』   

 

 

 今日の昼飯は『エビフライ定食』だ。

 

 信玄は安定の『ほうとうランチ』、謙信は求道的『越後蕎麦定食』と変わり映えがしない。

 食い物なんて所詮は嗜好だ。他人がとやかく言うものではないがな。

「信長、おまえが食っているのはなんだ?」

 箸でエビフライを挟むと、信玄が聞いてきた。信玄は生涯海を見たことのないオッサンなのでエビフライを見たことが無いのかもしれん。

「エビフライだが。文句あるのか?」

「あるぞ」

「なんだ?」

「そいつは『エビフリャー』であろうが。尾張の住人なら、そう発音するぞ」

「いつの話だ」

「あはは、信長、これは信玄なりの親愛の情の表現よ。受け流してやって」

「信玄こそ、毎日ほうとうを食っていたら塩分取り過ぎであろうが」

「取り過ぎたら謙信にくれてやる」

「ん?」

「今のは『敵に塩を送る』に引っかけた洒落でしょ。笑ってやって」

「ふん」

「いま、鼻で笑ったな」

「俺の笑い方は、こうなんだ」

「いや、信長の笑い方はちがうだろ」

「どう違う?」

「キャハ キャハハハハハ……鳥が鳴くように甲高い。フロイスが書いておっただろ」

「知らん」

「二人とも、お互いをイジリながら食べられるようになったんだ(⌒∇⌒)」

 ワハハハ キャハハハ

「ところで、今日の部活なんだけど」

「お茶の次なら、お花であろうが」

「是非に及ばず」

「それは、俺のキャッチコピーだぞ」

 

 というわけで、今日の天下布部の活動は華道部に向かった。

 

『 華道部』

 上1/4が無駄に空いた看板の和室に入る。

「いらっしゃいませ、体験入部ですね」

 時節柄か、大きなマスクをした一年生部員が迎えてくれる。

「ああ、連絡しておいた天下布部だが、よろしく頼む」

「では、どうぞ奥にお進みください。お履き物は、わたしが整えますので……」

 上履きを揃えてくれる一年生の横を通る。

 こいつ……どこかで見たような?

「邪魔をする」

 他の者なら、ひどく厚かましく無作法に見えるのだが、信玄がやると、権威八分に二分の可笑しみがある。

 信玄が元来持っている英雄の磊落さと、女子高生になった柔らかさか。

 女子高生らしさというものも一口では言えない。

 謙信は、二分の鋭さ、一分の厳しさ、五分の清楚さ、残りの二分は得体のしれない何かが薄い妖気の膜のようになって、独特の美しさを発散している。

「どうぞ、そのお花机の周囲にお座りください」

 花を活ける手を休めて、ボブカットの三年生がにじるようにして、こちらを向く。

「部長の池坊専慶です」

「天下布部部長の武田信玄。こちらの二人は部員の上杉謙信と織田信長だ」

 紹介を受け、軽く頭を下げて池坊と正対する。

 

 え、千利休?

 

 それは、先日、足を向けたばかりの茶道部部長の千利休であったぞ。

 

☆ 主な登場人物

  •  織田 信長       本能寺の変で打ち取られて転生してきた
  •  熱田敦子(熱田大神)  信長担当の尾張の神さま
  •  織田 市        信長の妹(兄を嫌っているので従姉妹の設定になる)
  •  平手 美姫       信長のクラス担任
  •  武田 信玄       同級生
  •  上杉 謙信       同級生

 

 

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ライトノベルベスト『ル-ジュの伝言 2021』

2021-07-04 06:56:39 | ライトノベルベスト

イトノベルベスト

『ル-ジュの伝言 2022』 




「なに考えてんのよ! あんたってサイテー、サイテーよ!」

 語尾が震えているのが自分でも分かった……。

 ヤツが俯いて肩を落としているのも分かったけど、怒りが収まらず、わたしはロビーを出て、ビルの玄関も飛び出した。

 インフォメーションの冴子がビックリした顔をしていたけど、気の利いた言葉も浮かばなかったので、そのまま外に出た。

 自販機でコーラを買って一気飲みした。

 まず、涙が出てきた。それを拭うと派手なゲップが出た。

 営業二課長が怪訝な顔をして、ロビーに入っていったが、顔を背けて拗ねたようなお辞儀をするのがやっとだった。

 涙がこぼれないように上を向いたら、また派手なゲップが出た。

 ……ゲップといっしょに、あの情けない男も消えて無くなればいいと思った。

「ほら……」

 目の上にハンカチが落ちてきた。

 気がつくと、冴子が怖い顔をして立っている。

「冴子、仕事は?」

「ちょっと早いけど美優さんが替わってくれた。今から昼休み」

 ビルの横、遺跡保存を兼ねた小公園に向かった。

「よりにもよって、こんなもの渡すのよ……エイッ!」

 わたしは、それをゴミ箱に投げ入れるところだった。

「ダメ、ボツでもうちの製品なんだから、社員が、そんなことしちゃダメよ!」

 冴子は、わたしの手からルージュを取り上げた。

 一呼吸して、やっと気持ちを飲み込んで、冴子のサンドイッチを一つ奪って口に放り込んだ。

「……もっと食べていいんだよ。笑子」

「ごめん、ただの勢い。食欲なんかない……」

「太田君は、研究職なんだから、分かってあげなきゃ……と、モトカノとしては思う」

「だって、わたしのこと好きなんだったら、大阪なんか行く!?」

「行かなきゃ、研究職でいられなくなるのよ」

「いいじゃん、会社にはいられるんだから。総務でも営繕でもいいじゃん」

「太田君には、化粧品の研究しかないのよ」

「モトカノが言うか!?」

「わたしとは錯覚だったの。同期入社で、心細くって、グチのこぼしあいとか、慰めあいにはよかったけどね。互いにそういう相手じゃないって分かったから。だから、太田くんがほんとに愛したのは笑子が初めて。笑子が愛したのもカレが初めて。でしょ?」

「……冴子に言われると、なんだかね」

「この際言っとくけど、カレとはAまで。で、その時点で、合わないなって別れたの。アウトレットみたいに思わないでよね」

「冴子!」

「なによ」

「ご、ごめん」

 危うくケンカになりそうだったので、話題を変えて昼休みは終わった。

 アフターファイブ、冴子はガールズバーに付き合ってくれた。

 冴子とカレの付き合いについて聞いた。別れるとは言え、冴子のお下がりであることはプライドが許さない。

「だから、カレとはそう言う関係まではいってないの。もうう……」

 そう言いながら、冴子は時分のバッグに手を突っこんだ。

「なに?」 

「あの、ルージュ……ああ、これこれ」

「こんな出来損ないに一億円も投資させたのよ、で、開発部長までは渋々だったけど、重役会議じゃ総スカン。試供品もさんざんな評判で、モデルのモミさんたちは『リカちゃん人形に合いそう』あれって愛想づかしのしゃれよ。それをあいつったら……」

「ハハハ、誉め言葉だと思って、その気になっちゃって……」

「ちょっと見せていただけます?」

 チーフバーテンダーのさくらさんが寄ってきた。

「う~ん、悪くないですね。楽しいときのカクテルにいい色ですよ。お試しになりました?」

「そんな、プロが鼻も引っかけなかったしろもんですよ」

 さくらさんは、ペーパーナプキンにルージュで、横棒を引いた。

「う~ん、ルージュも自信を無くしてますね……ゼン ザラベ」

 瞬間、ルージュの横棒が、ネット通販のロゴマークのよう……緩く笑った口のように見えた。

「なんですか、それ?」

「ドイツ語で、チチンプイプイ。はい」

 さくらさんは、わたしにルージュを返し、わたしも、それを自然に受け取った。もっとも、そのとき冴子はスマホに出ていて、受け取りようもなかったんだけど。

「ちょっと課長から呼び出し。なんだか明日は出張になりそう」

 その足で冴子は会社に戻り、わたしは一人で名前だけマンションのアパートに戻った。

 バッグをソファーに投げ出すと、なにやら小物達がこぼれだしたが、投げやりなわたしは、着ている物を一枚ずつ脱ぎ散らかして、シャワーだけ浴びて、パジャマに着替え、久々に心療内科でもらっていた眠剤を飲んでベッドに潜り込んだ。

 すぐに眠りはやってきたが、目覚めもすぐにやってきた。

 先月の休日出勤の代休だったので、ゆっくり寝たかったんだけど、冴子の着メロで目が覚めた。

「くそ、なんだよ、こんな朝から……もしもし。わたし代休なんだけど」

『寝てる場合か、あたしね、トラボルトの世話係で京都へ行くの!』

「なに、それ?」

『新製品のプロモのロケ、関西支社の大貫さんがやってたんだけど、盲腸で入院しちゃってさ。で、トラちゃん直々のご指名で、あたしがすることになったの。先月の記者会見で、あたしが通訳やらお相手したの覚えていてくれちゃっててさ。今から十時の新幹線。その気があったら見送りに来て……東京でなくていい、近所のA駅でいいからさ。なんだったら色紙とかもっといで。サインもらってきてあげる。あ痛て!』

「どうかした?」

『ハハ、転んじゃった、じゃあね。イテテ……』

 冴子は賑やかにに喋って、電話を切った。

「脳天気なやつ……フワ~」

 アクビをすると、今転んだ冴子の姿が、すごくリアルに頭に浮かんだ。美人なわりに、ズッコケる三枚目さは、社内でも有名で、日頃はズッコケる心配のない、インフォメーションのカウンターにいる。

 普段でもおかしいのに、今朝のトラちゃんで舞い上がったズッコケはなかなかの見物だったろうなと、笑いがこみ上げてくる。

 その笑顔のまま、洗面所にいこうとして、瞬間、自分の顔がドレッサーに映った。ハッとして、もう一度ドレッサーに顔を映す。

「これ、わたし……」

 ビックリするほどチャーミングな笑顔が、そこには写っていた……よく見るとスッピンの顔にルージュだけが引かれている。

 寝る前にメイクは落としたはずなのに……それに、そのルージュは、例の失敗作。でも朝日が差し込むワンル-ムの中のわたしを変えていた。バスルームに行ってみた。

『あなたの笑顔を、キラキラに』

 バスルームの鏡には、ルージュで、そう書かれていた。

 ルージュを探したけど、キャップしか見あたらなかった。そして鏡に目を移すと、隅の方に書いてあった。

『駅に急いで』

 わたしはパジャマを脱ぐと、夕べ脱いだものを逆順で身につけて部屋を飛び出した。

 いつもの駅への道を行こうとしたら、ルージュで、パン屋さんの窓に書かれた、それが目に入った。

『こっち→』

 わたしは、ルージュの示す方に急いだ。

『こっち→』は、あちこちに書かれていた。振り返った犬のオデコに書かれていたのには、笑っちゃったけど、なにか確信めいたものが心に浮かんでいた。

 ルージュに会える、会わなくっちゃ!

 やがて、その道は、わたしのアパートから、だいぶ離れたカレのアパートの近所だと分かった。

 美容院の角を曲がると窓に、こう書いてあった。

『カレは、あなたの笑顔を美しくしたくて、わたしを作りました→』

 そして矢印の先の彼方に、カレの背中が見えた。

 やっと分かった。

 カレは、わたしの笑顔を輝かせたいために、それを目標にして、このルージュを開発したんだ。

 だから今風なぶっきらぼうや、斜に構えた笑顔には、このルージュは合わないんだ。女性が=わたしが心から楽しそうに笑ったときに、一番生えるルージュなんだ。そして、男が女にルージュを送るときの口紅言葉は『少しずつ取り戻したい』だ。

 わたしは、カレの番号を削除したことを後悔した。でも、走れば間に合うかも……。

 ホームに着いたとき、ちょうど電車が出て行くところだった。

 カレは二両前のドアのところに立っていた。声を限りに叫んだけど、届かなかった。もっと早く気づいていれば……。

 そのとき、女性専用車両にいる冴子と目が合った。わたしはスマホを出して指差した。

――先頭車両にカレがいる。愛してる――

 電車の最後尾が見えなくなるまで、わたしは見送った。そして、ホームに目を落とすと、使い切られたルージュの本体が落ちていた。

 だれが撮ったのか、その朝の様子が動画サイトに投稿されていた。あちこちに書かれたルージュの伝言。懸命に走るわたし。笑っているわたし。電車を見送るわたし。

『笑顔と懸命なあなたに似合います。わたしはボツという名のルージュです』

 この動画をもとにして、CMが撮影され、このルージュは、わが美生堂化粧品の大ヒットになった。

 わたしとカレがどうなったか、それは……わたしとルージュの、ひ・み・つ。

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コッペリア・43『栞と颯太のゴールデンウィーク④』

2021-07-04 06:23:06 | 小説6

・43

『栞のゴールデンウィーク④』  

       


        

――昭和の日って、なんだったけ……?――

 そんなことをボンヤリ考えながら颯太は、顔を洗い終わって歯磨きをしている。

 颯太は、長年……と言っていい年月の中で、休日も、いつものように目が覚める。

 なぜかと言うと、颯太の人の好さであり、以前勤めていた大阪のエゲツナサでもある。颯太は、大阪時代の半分以上は常勤講師だった。一年契約という点では非常勤講師と同じであるが、常勤講師になると、担任業務以外は本職と変わらない仕事の量と質である。

 颯太は、いつもやり手の少ないクラブの顧問や副顧問を引き受けていた。

 やり手が少ないというのは、対外試合が多い運動部で、その習い性が身についてしまったのである。

 99%人間になった栞は、まだ休日の惰眠をむさぼっている。

「昭和の日って……」

「みどりの日よ。その前は天皇誕生日」

 開け放した窓の外から、セラさんの声がした。

「おはよう、今朝はえらく早いね」

「ママからケータイで起こされちゃって、で、今ここに立っているわけ」

「ん……話が見えてこないなあ」

「だからね……」

 そう言った時には、お隣の気安さ、玄関の中にまで入ってきているセラさん。

「これよ、これ……」

 セラさんは、スマホの画面を示しながら、早く見ろと催促している。

「え……これ、関西の周遊券じゃないか?」

「うん、ママがお仲間といっしょに行くはずだったんだけどね。偉い常連さんからお声がかかって、そっちを優先しなくちゃいけないんで、お鉢がまわってきたってわけ。三人分あんのよね」

「ということは……?」

「イクイク、イク~!!」

 いつの間に起きだしたのか、クシャクシャの髪のまま、栞が飛んできた。

「あら、栞ちゃん、かわいいパジャマね」

「あ、大家さんのお孫さんのお下がりだから」

 栞と颯太は、同じ神楽坂高校の先生と生徒なので、名目上というか戸籍上は大家の鈴木爺ちゃんの孫ということになっていて、栞が人形であることを知っている数少ない人間だ。

「すごい、有馬温泉と嵯峨野のお泊り。乗らない手はないね」

 これで連休後半の予定が決まった。

 青木穂乃果が、ブログで学校を糾弾する記事を載せていた。

「やっぱ、分かってないんだな……」

 昨日の感触では、穂乃果は、もうやめると感じていた。

 姉の穂奈美が入ってきたときの様子で典型的なシスターコンプレックスだと思った。まして、お父さんは現職の都議会議員。意識的なのか無意識なのかは分からなかったが、穂乃果なりに背一杯なんだろうと思った。

「もう、好きなようにやらせるしかないわね」

 一瞬、そう思って、パソコンの画面を関西の名所案内に切り替える栞であった。

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