続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

🈞マグリット『宝石』

2019-01-04 07:09:49 | 美術ノート

   『宝石』

 木箱の蓋に男の頭部と鳥の頭部が乗っている。
 乗っているのか箱の中に連なる身体が隠れてるのかは不明である。故に箱の下部の長さ大きさも不明である。
 バックは薄紫のベタ…つまり時代を特定せず、過去・現在・未来の領域を行き来するものである。
 男も鳥も、しかと目を見開いているが、焦点が同じか否かは不明である。
 男も鳥も単に作り物(イメージ)であるのか、本物を描いたのかも不明である。

 これらの条件を踏まえて把手部分を押し上げた場合、どうなるのか。コトンと見えている頭部だけが倒れてしまうのか、箱の内部から身体が引きずり出されるのか・・・。

 開けることを躊躇せざるを得ない箱であり、開けてはならない箱だと換言してもいい。
 ちなみに、この画の中に宝石らしきものは見あたらない、にもかかわらず『宝石』であるとタイトルしている。
 宝石とは硬く美しく耐久性があり、希少ゆえに珍重される物である。

 不条理を展開させると、条理が生まれる。この思考回路を目に見える対象として、切れ切れの時空に収め答えを導きだすという手法。

『宝石』とは破壊を由としない美しく永遠性のある真理であり、悟りは困難を極める謎である。


(写真は国立新美術館『マグリッㇳ』展/図録より)


『城』3100。

2019-01-04 06:52:27 | カフカ覚書

ですから、いいかげんに把手から手をはなして、どこかに腰をおかけなさい。狭くて申し訳ありませんが、このベッドのへりにでもすわっていただくのがなによりでしょう。


☆決定的に争うことなくと願いながら、しかしそもそもどこへ築いたのだろう。ここは明らかにに狭苦しい場所ですが、願った土地をあてがわれたことが何よりです。