『宝石』
木箱の蓋に男の頭部と鳥の頭部が乗っている。
乗っているのか箱の中に連なる身体が隠れてるのかは不明である。故に箱の下部の長さ大きさも不明である。
バックは薄紫のベタ…つまり時代を特定せず、過去・現在・未来の領域を行き来するものである。
男も鳥も、しかと目を見開いているが、焦点が同じか否かは不明である。
男も鳥も単に作り物(イメージ)であるのか、本物を描いたのかも不明である。
これらの条件を踏まえて把手部分を押し上げた場合、どうなるのか。コトンと見えている頭部だけが倒れてしまうのか、箱の内部から身体が引きずり出されるのか・・・。
開けることを躊躇せざるを得ない箱であり、開けてはならない箱だと換言してもいい。
ちなみに、この画の中に宝石らしきものは見あたらない、にもかかわらず『宝石』であるとタイトルしている。
宝石とは硬く美しく耐久性があり、希少ゆえに珍重される物である。
不条理を展開させると、条理が生まれる。この思考回路を目に見える対象として、切れ切れの時空に収め答えを導きだすという手法。
『宝石』とは破壊を由としない美しく永遠性のある真理であり、悟りは困難を極める謎である。
(写真は国立新美術館『マグリッㇳ』展/図録より)
「どうだい、此処は面白いかい。」
「面白いねえ。」象がからだを斜めにして、眼を細くして返事した。
☆詞(言葉)の諸(もろもろ)を綿(細く長く続けて)吐く。
赦(罪や過ちを許す)言(言葉)を済(救い)に変える字である。
ですから、いいかげんに把手から手をはなして、どこかに腰をおかけなさい。狭くて申し訳ありませんが、このベッドのへりにでもすわっていただくのがなによりでしょう。
☆決定的に争うことなくと願いながら、しかしそもそもどこへ築いたのだろう。ここは明らかにに狭苦しい場所ですが、願った土地をあてがわれたことが何よりです。