原点を画策する。
存在とは何か、存在を客観視する眼差し。
~のように見える、という不確定性には実証がない。物理的根拠、物的証拠は博物館に保存されているかもしれないが、唯一確かな連鎖の秘密は性行為にあり、想像に難くない。どこから人類になったのかは、火を用いた時点ということになっている。
ガス燈を掲げる裸婦は明らかに文明を知る人であり、活力(エネルギーの高い状態)ある人である。にもかかわらず礼節の欠片もないあられもない姿態は行為の後であり、男性の存在は見えないが有ることは確実である。
『与えられたとせよ(1)落ちる水(2)照明用ガス』・・・水と気体(空気/熱エネルギー)の既存は生命存在の条件である。遡る時空の曖昧さを除去できないが、『与えられたとせよ(1)落ちる水(2)照明用ガス』は絶対条件としての線引きである。
元始、原始・・・人類の始まりへのエール、覗き見られる光景のおぞましさ、即ち人類の根幹をなすおぞましさであり本能であって否定は論外である。
「わたくしとは何か」わたくしとはすべからく男女の営みによって誕生するもので冷静には凝視できないが、小さな穴から客観的に覗き見る光景こそがわたくしの今在る根拠(秘密)である。
覗くという一点集中の景色は、問いであり答えである。
写真は『DUCHAMP』ジャニス・ミンク(www.taschen.com)より