『100粒の雨滴』
100粒、滂沱の雨、地上深くにはどれほどの雨が降り注いできたか見当もつかない。地層の変遷は地球の歴史であり億年の証明でもある。
台座は地表だろうか、すこし浮いているが、地表の下にも地層があり地表の上にも山としてせり上がった地層がある。
地球創世記からの地殻の変動には黙した物語(時空)がある。見えないが確実に存在しているであろう地表内部の混沌。単純に山に向かって見える景色ではない視覚を超えた身体感覚。
もちろん、地球の成り立ちにおける学習されたデータの集積は視覚を刺激するに違いない。
複合的な見地である。
地層から出ている鉄線は、水脈(雨)の質的変換としての具象化であり、水(海・川)が地層を形成することの暗示である。
見えた景色ではなく、データの集積を身体に感じる測量として時空を計測する、つまり作家自身が空間の変換器としての支点になり、『100粒の雨滴』という感想に至ったのだと思う。
写真は『若林奮ーVALLEYS』横須賀美術館より