肉感に浸りひたるや熟れ柘榴
熟れ柘榴、それこそかっと割れたる柘榴を目の前に置くと、戸惑ってしまう。
種を包む赤いゼリー状の液体、流れるでもなく留まって透き通るような真紅。数多の種が真紅をまとって割れた固い皮の中で凝縮している、どこから、どうやって口に入れたものやら判断が付きかねる柘榴の実である。
指で押しつぶせば赤い汁が滴る、その感触はどこか肉感的である。指でもてあそぶ赤い汁をまとった小さな粒、口に入れれば少し淋しく物足りない。一度にたくさん含めば息が詰まる。
赤い実を露にした熟れ柘榴は、肉と血の小さな風景。手に持ち、浸っていると、自身の中の血が騒いでくる。
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