続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

鈴木しづ子(私的解釈)肉感に。

2021-08-13 07:05:48 | 鈴木しづ子

   肉感に浸りひたるや熟れ柘榴

 熟れ柘榴、それこそかっと割れたる柘榴を目の前に置くと、戸惑ってしまう。
 種を包む赤いゼリー状の液体、流れるでもなく留まって透き通るような真紅。数多の種が真紅をまとって割れた固い皮の中で凝縮している、どこから、どうやって口に入れたものやら判断が付きかねる柘榴の実である。
 指で押しつぶせば赤い汁が滴る、その感触はどこか肉感的である。指でもてあそぶ赤い汁をまとった小さな粒、口に入れれば少し淋しく物足りない。一度にたくさん含めば息が詰まる。
 赤い実を露にした熟れ柘榴は、肉と血の小さな風景。手に持ち、浸っていると、自身の中の血が騒いでくる。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿