続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

『ポラーノの広場』162。

2013-11-27 06:51:38 | 宮沢賢治
「はい。」テーモはおじぎをしてそれからそっとファゼーロに云じました。
「ファゼーロ、何だって出て来たんだ。早く失せろ。帰ったら立てないくらゐ引っぱたくからさう思へ。」
 ファゼーロはまた後退りしました。


☆運(めぐり合わせ)は化(形、性質を変えて別のものになる)で推しはかる。
 記(書きしるす)の双(二つ)の質(中身)が基(根本)であるという律(きまり)が隠れている。
 死の講(話)は他意(もう一つの他の考え)である。

『城』1457。

2013-11-27 06:16:02 | カフカ覚書
 ところが、お内儀は、突然耳をそばだて、じっと聞き入るように空を見つめた。Kも、ふりむいたが、なにも特別な物音は聞えなかった。ほかの人たちも、なにも聞えない様子であった。しかし、お内儀は、爪さきだちで中庭に通じる臆のドアのところまで大股で走っていくと、鍵穴からのぞいたが、やがて眼を大きく見開き、顔を紅潮させてほかの連中のほうをむいて、こちらへ来るようにと指で合図をした。

 大きく/grossn→Glosse/辛辣な批評。
 鍵穴/Schlusselloch→Schluss loch/終(決定)、牢屋(巣穴、窮屈な場所)。

☆言葉はじっと聞き入り、すっかり無心になり、一心に耳を傾けた。Kもふりむいたが、特別でないように思った。しかし、言葉はハロー(死の入口)の皮肉な基準から企み(計画)は辛辣な批評で継続され、終(死)の牢屋(窮屈な場所)を覗いてみると、原則を強め、死の方を向き、受け止めるように手招きをした。

普通の人。

2013-11-26 06:43:51 | 日常
「たとえば桜や梅やタンポポを見て『きれいだな、かわいいな』と思うのが、普通の人(植物愛好家)です。けれど葉の下に隠れている花や地面の下まで掘り返そうとするような(好奇心を燃やす人)は、普通でない・・・(探求の人/専門家)人です」と古山さんは言った。
 手のひらを返して(あなたは、なるほど普通の人ではない)と返したら、(いえ、いえ)と手のひらを左右に振って笑った。

「高校時代、遡るともっと小さい子供のころから野山を巡って遊んでいました」と言ったことがある。「母はなんでも自由にさせてくれましたから」と。
 つまり「植物好きは物心付いたときからであって、幸いそれが許せる職場でもありました」とも補足した。


 わたしだって物心付いたときから草の芽吹きや花に酔うほどに心を動かされていた。ただ「あの草の名は?」(わかんない)「あの樹に咲く花は?」(わかんない)分からないことだらけで不足なく年月を経てきた。
 植物の名を問い、季節や植生・成り立ちに到るまでの関心を持てなかった。世界は大きく広いのに、その扉を開けてみようともしなかった悔い。


 だから、普通の人。(なるほどね)

 何時だったか博物館の先生は仰った。「あなた方の年齢なら、お孫さんに教えてあげるつもりで関心を持って頑張ってください」
 
《普通の人+α》の人を目指していこう!

『ポラーノの広場』161。

2013-11-26 06:31:10 | 宮沢賢治
「ポラーノの広場もな、お気の毒だがデステゥパーゴさまのもんだよ。」テーモがしづかに云ひました。そのとき山猫博士が云ひました。
「よし、よし、まあすきなら水をやっておけ。しかしどうも水を呑むやつらが来るとポラーノの広場も少ししらっぱっくれるね。」


☆黄壌(冥府)を記(書きしるす)。
 独りで運/めぐらせている。
 太陽の等(平等)を吐く(言う)詞(ことば)を、運/めぐらせ、遂げている。
 推しはかると、曇る苦しみ、荒(すさんだ)情(きもち)が、消えていく。

『城』1456。

2013-11-26 06:13:11 | カフカ覚書
しかし、なんの意味もない好奇心ともったいぶったしぐさにすぎず、橋屋のお内儀でさえ、眉をしかめて、ばかにしたような様子をしてみせた。

 眉/Auenbrauen→Organ brauen/機関、企み。

☆それは単になんの意味もない好奇心と自慢にすぎず、言葉は機関の企みを非難した。

渡辺豊重《鬼》

2013-11-25 07:10:53 | 美術ノート
 2010年 神奈川県立近代美術館で催された『渡辺豊重展』のポスター。

 金地に黒の彩色・・・それきりである。
 金はつまり光、黒は闇。存在と無、あるいは昼と夜、栄華と暗澹・・・。しかし画面は混沌としたものでなく、単純明快闊達。黄金色と黒との対比は等分を意識したものと思う。

《鬼》「鬼と遊ぶ」というサブテーマ。
 作家の対峙している精神の闇。金(光)と黒(闇)とのせめぎ合いの抽象化・・・。
 一般に点を三つ描けば人の顔を想起させ、棒を二本描けば、それは手であり足を想起させる。この場合どうしても、直立した足を思い起こさせる。闇の形は身体中に溢れんばかりの秘めた活力(あるいは妄想)の形を成し、踏ん張ったような足は明らかに挑んでいる、否、躊躇している。作品に遮蔽された内面の形は多面性を孕んでいる

 画面を支配する黒の強い形は偶然を模した意図ある形であり、(作家の中の)鬼という他者の存在であると同時に、鬼という得体の知れない魔物が棲んでいる自分でもあるのではないか。。

 この形・・・自然界のどの形であってもならない有り得べからざる形を求めての黒は、どうしても作家に辿り着くような気がする。

 しかし、『このものは自分(わたくし)ではない、断じて!』「だから、つまり《鬼》なのです」
 作家の静かなる激闘を感じる作品である。

『ポラーノの広場』160。

2013-11-25 06:57:40 | 宮沢賢治
 もう行きがかりで仕方ないと私は思ってはっきり云ひました。
「つめくさのあかり、わっはっは。」テーモはわらひだしました。デスティパーゴも笑ひました。みんなもそのあとについてわらひました。


☆講(はなし)で試みる法(仏の道)。
 詞(ことば)で、旨(考え)を運/めぐらせている。

『城』1455。

2013-11-25 06:37:50 | カフカ覚書
「城の人たちは、もっと上等のやつももってるぜ」
「そうかもしれません。でも、ここじゃ、置いていません」
 ペーピは、そう言うと、それ以上Kを相手にしないで、もう一度紳士のところへ行って、何かサーヴィスをしようとしたが、紳士は、なにも所望しなかった。それで、紳士のうしろをたえず弧をえがいて歩きまわりながら、いかにもうやうやしげに紳士の肩ごしに書類をのぞきこもうとした。

 もっと上等/besseren・・・改心する。
 のぞく/Blick・・・洞察する。

☆大群(大勢の死んだ人たち)は改心していると、Kは言った。「そうかもしれません」とペーピ(身分証明)は言い「でもできません」そういうと、Kの調停(解決)のために再び大群(死んだ人々)のところへいき尽力しようとしたが、彼らは何も必要としなかった。自身の肩越しに彼方の先祖を洞察し、敬意をこめて(この書いた物)を投げ出した。

飯沢耕太郎先生の授業。

2013-11-24 06:39:58 | 美術ノート
 コラージュ・・・やったことはないけど、好奇心で受講。
 ロシア・アヴァンギャルドなるものを聞いたことがない。ソヴィエト・モダニズムもご同様。(不勉強を強調して逆に恥ずかしい)

 開催中の展覧会「ユートピアを求めて」を、先生の説明を交えて、ロシア革命前の自由な発想によるポスターなどを見て廻った。
 人(特に名の知れた政治家)は、それだけで物語るし、大群・群衆は「力」となって画面に無言の叫びを上げている。赤の結束は自由を攻撃し、宇宙全体を同心円(平等、近似)の中で理想化するという強い意志がデザインという形を借りて鑑賞者を促している。
 過ぎ去った時代を象徴し、時代の証しとして残っている作品群(松本瑠樹コレクション)である。

 教室(講堂)に戻ると先生は、
「まず、中心(土台)になるものを(画面に)置きます。それから写真(その他)のパーツを切り抜いて付けたり重ねたりしながら構成していきます、その際、色数は絞り込んだほうが意図が明確になります。」と、ご自分の制作なさったものを参考に掲げての教示。

(わかんないけど・・・とりあえず何かやってみなくちゃ)

 飯沢先生は楽しげにご自分の作品制作に没頭。教えるのも作るのも愉快といった感じ。

 講評の時間になり一つ一つの作品を批評。「やりすぎて失敗してしまいましたね」というわたしの凡作以下の作品はともかく、全体の参加者の評価は高くて先生もご満悦。
 わたしたちと同じ席に着いたご夫婦の評は高く認められ、その行程の一部始終を見ていたわたしも納得。平面の中の空間を眼で測りながら対比させ置いていく呼吸・・・素敵でした。

 飯沢先生の作品は、どこかしらユーモアがあって見る位置の遠近で作品が変化し、求心的であると同時に拡散の揺れをも感じうる楽しい作品。
 コラージュという手法を教えていただいて、お得感(主婦の感想)、満足度の高い講座。籾山学芸員さん、是枝学芸員さん、ありがとうございました。


『ポラーノの広場』159。

2013-11-24 06:31:45 | 宮沢賢治
「いやデスティパーゴさまは人に水をごちそうはなさいませんよ。」テーモが云ひました。
「ごちそうにならうといふんではないんです。野原のまんなかでつめくさのあかりを数へて来たポラーノの広場で、わたくしは乾いて水が呑みたいのです。」


☆認/見分け、推しはかるように運/めぐらせている也。
 現われる講(はなし)の帖(書付)は割(二つに裂ける)
 推しはからないと、曇/よく見えない。