米FRBが、9月18日、短期の目標金利であるFFレートを、0.5%引き下げ、年4.75%と決めたあと、NY株式市場は急騰、NYダウは335ドル、2.51%、S&P500種平均株価2.89%、ハイテク株指数ナスダックは2.71%それぞれ値上がりして取引を終了した。
今朝のCNNのテレビを見ていると、怒るものなしの状態である。FOMCは声明文の中で、利下げは、昨今の金融不安が、景気全体に与える悪影響を回避ためであると明言した。株式市場は、サブプライムローン問題を材料に、ここ数ヶ月、文字通り鬱状態で、ふさぎこんでいた。それが、再利下げ期待から、NYダウ14,000ドル復活まで口にし始めた。
一方、NY原油先物市場は、利下げにより、石油ガソリンの需要がさらに増えるとの期待感とOPECが追加増産を見送るとの観測を受けて値を上げ、バレル82.02ドルで取引された。NY原油は、過去70年代と80年代で史上最高値をつけたが、インフレ率を勘案すると101ドルに見合うと、これまた先高感を煽っている。
NY金先物相場も、27年ぶりの高値を更新した。一時、オンス733ドルで取引された。エタノールに火をつけられたトウモロコシは最高値更新後低迷しているが、トウモロコシに火をつけられた小麦、大豆の方は、むしろ火勢を強め、新高値を更新している。一年半前はブッシエル4ドルの大豆は、9ドル70セントまで値上がりしている。
コーヒー相場も旱魃を材料にポンド1.25ドルへ、9年ぶりの高値をつけた。原油、大豆に限らず、日本は原料をほぼ100%輸入に頼っている。ドル建て価格の上昇に追い討ちをかけるように、円が安くなっているから、大好きな豆腐も日本人の口に入り難くなるだろう。
最近の為替相場は金利差に連動している。NY為替先物市場は、米FFレートの利下げを受けて、対ユーロでドルが売られ、過去最安値の1ユーロ=1.3971ドルで取引された。ところが、0.5%の利下げのドルが、対円では買われて、1ドル=116.12円前後まで値上がりした。日銀は9月19日の政策決定会議で、利上げを見送るから、対ドルで円は買えない。
借金漬けの米国人は、利下げに特に敏感に反応する。一方、日本では郵便貯金の定期で年0.2%である。一端深海に沈み込むとなかなか浮上できない。1.0%まで下げたFFレートを0.25%ずつ階段を上っていたから0.5%下げられた。ゼロ同然の金利では下げようもない。
敬老の日に、日本人の一人当たり個人資産が1,555万に増えたと出ていた。お金はあくまで道具である。金槌がなければクギは打てないが、道具だけでは生きられない。お金は経済(からだ)全体を流れる血液でもある。お金をきれいに使って豊かな人生を送りたい。(了)
胡蝶蘭
江嵜企画代表・Ken