今朝のWSJ紙に米国株は先週一週間で9%値を戻して2008年年間で33%下げに止まっている。ところが先週末時点で、米国と同じ33%下げの英国を除けば、中国65%筆頭にインド55%、日本44%、韓国43%、ブラジル42%、ドイツ42%と米国以外の株式市場では、米国以上に値下がりしていると紹介している。
今回の記事をまとめたJoanna Slater記者は、米国以外の国は最近こそ景気鈍化の兆候を見せているが、2002年から2007年に掛けて米国以上の成長を続けていた。株価がそれを反映していた。そのため海外の株が売りの対象にされたと解説している。
米国の投資家は、国内で発生した巨額の損失を外国株及び債券を売って穴埋めした。米財務省データによれば、7~9月期間、米国の投資家は、外国の株及び債券を920億ドル売り越しているとスレーター記者はWSJ紙で紹介している。
一方、「文藝春秋」最新号(12月号)が「世界同時不況」を取り上げた。その中で、「なぜ日本の株が下げたのか」について、水野和夫氏(三菱UFJ証券チーフエコノミスト)は、「アメリカが金融に依存していたと同様、あるいはそれ以上に日本経済は輸出産業に深く依存していた。日本企業の利益の源泉は北米輸出にあった。それが崩れた。」と解説している。
日本の株式市場は、取引の半分以上がからだの大きな外人が風呂に入っていたようなものだ。彼等が風呂から上がればどうなるか。一目瞭然である。外人依存の体質が裏目に出た。
ただ、米国では、年金ファンドが海外の株式により多くの資金を投資していた。そのため多額の被害を被った。特に、日本円を例外として、海外の通貨が対ドルで軒並み暴落した結果、米年金ファンドの被害を一層大きくさせたとレスター記者は解説している。
海外株価は下げたが、企業の収益は株価の下落ほど落ちていない。そのため株価収益率は(PER)が極端に低くなっており外国株に割安感がある。ただ、米国企業は直ちに収益悪化が表面化してくるが、海外企業は遅れて業績悪が出てくると指摘していた。
日本では個人は株に投資しているひとは米国と比べて少ない。株暴落で直撃弾を受けたひともそれほど多くない。ただ、投資信託や外貨預金で大損したという話は喫茶店でも聞く。
CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)といい、取引そのものを保証する債券が暴落した結果、巨額の損が金融機関に今後、出てくるかもしれない。大学や年金ファンドがレバリッジという金融派生商品で巨額の損を出しているという記事が日本の新聞に出ていた。
「文藝春秋」に戻れば、水野和夫氏は、「今回の金融バブルの崩壊によって、アメリカと言う国は二度と立ち上がれないほどのダメージを負ったと考えております」と話している。アメリカがだめなら中国があるといえない。中国こそ米国頼りに輸出で飯を食ってきた。
日本がとってきた「ゼロ金利政策」について、ミスター円こと榊原英資氏は「ゼロ金利政策が円安バブルを生んだ。それが崩壊した。」と持論を展開している。竹村俊平氏(慶應大学教授)は、「1931年の世界恐慌でも、金融危機が深刻化したきっかけは、豪州で預金資産の7割を集めていたクレジット・アンシュタット銀行がつぶれたことだった。今回の金融恐慌では、リーマンブラザーズ破綻でそれが一気に爆発した。」と指摘した。実に興味深い。
日本人は「経済学」の話を嫌うが、経済とからだの健康は同じだと認識して欲しい。(了)
今回の記事をまとめたJoanna Slater記者は、米国以外の国は最近こそ景気鈍化の兆候を見せているが、2002年から2007年に掛けて米国以上の成長を続けていた。株価がそれを反映していた。そのため海外の株が売りの対象にされたと解説している。
米国の投資家は、国内で発生した巨額の損失を外国株及び債券を売って穴埋めした。米財務省データによれば、7~9月期間、米国の投資家は、外国の株及び債券を920億ドル売り越しているとスレーター記者はWSJ紙で紹介している。
一方、「文藝春秋」最新号(12月号)が「世界同時不況」を取り上げた。その中で、「なぜ日本の株が下げたのか」について、水野和夫氏(三菱UFJ証券チーフエコノミスト)は、「アメリカが金融に依存していたと同様、あるいはそれ以上に日本経済は輸出産業に深く依存していた。日本企業の利益の源泉は北米輸出にあった。それが崩れた。」と解説している。
日本の株式市場は、取引の半分以上がからだの大きな外人が風呂に入っていたようなものだ。彼等が風呂から上がればどうなるか。一目瞭然である。外人依存の体質が裏目に出た。
ただ、米国では、年金ファンドが海外の株式により多くの資金を投資していた。そのため多額の被害を被った。特に、日本円を例外として、海外の通貨が対ドルで軒並み暴落した結果、米年金ファンドの被害を一層大きくさせたとレスター記者は解説している。
海外株価は下げたが、企業の収益は株価の下落ほど落ちていない。そのため株価収益率は(PER)が極端に低くなっており外国株に割安感がある。ただ、米国企業は直ちに収益悪化が表面化してくるが、海外企業は遅れて業績悪が出てくると指摘していた。
日本では個人は株に投資しているひとは米国と比べて少ない。株暴落で直撃弾を受けたひともそれほど多くない。ただ、投資信託や外貨預金で大損したという話は喫茶店でも聞く。
CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)といい、取引そのものを保証する債券が暴落した結果、巨額の損が金融機関に今後、出てくるかもしれない。大学や年金ファンドがレバリッジという金融派生商品で巨額の損を出しているという記事が日本の新聞に出ていた。
「文藝春秋」に戻れば、水野和夫氏は、「今回の金融バブルの崩壊によって、アメリカと言う国は二度と立ち上がれないほどのダメージを負ったと考えております」と話している。アメリカがだめなら中国があるといえない。中国こそ米国頼りに輸出で飯を食ってきた。
日本がとってきた「ゼロ金利政策」について、ミスター円こと榊原英資氏は「ゼロ金利政策が円安バブルを生んだ。それが崩壊した。」と持論を展開している。竹村俊平氏(慶應大学教授)は、「1931年の世界恐慌でも、金融危機が深刻化したきっかけは、豪州で預金資産の7割を集めていたクレジット・アンシュタット銀行がつぶれたことだった。今回の金融恐慌では、リーマンブラザーズ破綻でそれが一気に爆発した。」と指摘した。実に興味深い。
日本人は「経済学」の話を嫌うが、経済とからだの健康は同じだと認識して欲しい。(了)