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ホワイトハウスが自動車業界救済に乗り出し、NYダウ64ドル高(学校で教えてくれない経済学)

2008-12-13 13:52:54 | 経済学
 12月12日付けのWSJ紙は、ホワイトハウスが、米自動車業界救済策に対する考え方をシフトさせる兆候を見せたと報じている。
 30数年前の話だが、日米繊維交渉のときワシントンに駐在していた。東京からは決まり文句のように、アメリカはどのように考えているのか知らせろと言って来た。もうひとつの決まり文句は、アメリカの新聞にどのように出ているかと、鸚鵡返しで聞いてきた。
アメリカはひとつだが、ホワイトハウス、議会、業界それぞれ見方も立場も違う。それぞれが違うというものの見方の前提が日本からの質問に常になかった。一般論であるが、日本人は、日本と同じようにアメリカ人も物事を考えるものだと思い込む傾向が強い。
ホワイトハウスは、7000億ドル(約64兆円)の金融安定化法案に基づく資金を金融対策以外に使うことに消極的だった。下院で可決した自動車業界救済法案が上院で否決されたあと放置すれば米国経済全体に被害が拡大するとしてホワイトハウスは方針を変更した。
今朝の米BBCテレビを見ていると、上院が否決したあと、「死刑判決が出た」と騒ぐデトロイト市民の声を紹介していた。ビッグ3の内フォードは支援受け入れを拒否している。GM、クライスラーは支援がなければ破産するとして、破産問題専門の弁護士を雇用した。
12月12日、NY株式市場は、前日比200ドル以上下げてはじまった。ホワイトハウスが金融安定化法案も活用かとのニュースが流れた後、持ち直し前日比64ドル高い8,629ドルで取引を終了した。ハイテク株指数のナスダックも32ポイント上げ1,540で終了した。
NY原油(WTI)先物市場は、3ドル以上急落していたが、ホワイトハウスの動きをみて持ち直し、前日比1.70ドル安の46.28ドルで取引を終了した。ドル安で買われていた金相場は、ドルと株が持ち直したことから5日ぶり反落、前日比6ドル安い818ドルで終了した。
東京市場で前日、対円でドルが一時、1ドル=88円台まで売られたが、ホワイトハウスの動きを受けて、ドルは買い戻され1ドル=91.07ドルで取引された。ただ、12月15~16日開催の米FOMCの会合で政策金利が0.5%下げ必至の見方からドル安基調は続きそうだ。
上院での米自動車業界救済法案では、給与を少なくとも日本企業並みに引き下げろと共和党が主張して紛糾、深夜に及ぶ12時間かけた討議も不調に終った。ホワイトハウス声明を聞いて、UAW(米自動車労組)のゲッテルフィンガー委員長は、「グレートニュースだ。しかし、具体的中身がはっきりしない。」と警戒を露にしていると今朝のWSJ紙は伝えている。
WSJ紙によれば、GMとクライスラーは、政府の資金注入がなければ年内に破産すると声明文を発表している。フォードは総額340億ドルの中長期的支援は政府に要請しているが、総額で140億ドルの今回の短期のつなぎ融資は拒否している。
オバマ次期米大統領は、上院で自動車業界救済法案が否決されたあと、「長期的リストラ策は絶対条件だが、短期的救済に向けて、政府と議会は業界救済に向けて方策を見つけ出して欲しい。」との声明を出したとWSJ紙は紹介している。
日米繊維交渉では、ATMI(米繊維製造業者協会)が米南部の票田を持ち、共和党候補ニクソンに圧力をかけて日本政府と密約を成功させ日本他4ヶ国からの繊維輸入規制を勝ち取った。時代が変わりいま米民主党票田の中核であるUAWの基盤が揺さぶられている。(了)

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