(学校で教えてくれない経済学)
週明けのNY株式市場は、オバマ次期米大統領が、2年で5000億ドル(ドル92円換算:46兆円)の公共投資および減税含む景気刺激策を用意していると演説したと伝えられ、これを歓迎した買いが入り、NYダウは先週末比298ドル、3.5%上げ、8934ドルで取引を終了した。S&P500種平均3.8%,ハイテク株指標ナスダック4.1%それぞれ値上がりした。
GMを含む米自動車業界に対する年内倒産回避のためのつなぎ融資も好感され自動車株を押し上げたことも全般の地合いを好転させた。アルコア、USスチールなど素材関連株も大型公共投資増加で恩恵を受けるとして値上がりしたと今朝のWSJ紙は報じている。
NY原油先物相場(WTI)は、バレル3ドル戻し.43ドル台で取引された。ただ、OPECは、12月17日開催の総会で減産協議と伝えられるが、メンバー間の呼吸に乱れがあるのか、株式市場に見られるような熱狂は原油市場には感じられない。
NY外国為替市場では、ドルが対ユーロで売られ、一時、1ユーロ=1.2965ドルで取引された。ユーロが買われる材料はない。しかし、「短期的な赤字は覚悟して」次々打ち出される米国の景気刺激策によりドル紙幣が氾濫する。ドルは深追いできないと見たのだろう。
この日ユーロは対ドルで上げた。しかし、欧州景気の実態はむしろ米国以上に悪い。10月のドイツの鉱工業生産指数は季節調整済みで前月比2.1%減少した。10月のドイツ製造業受注高は9月8.3%減に続き6.1%減少したとドイツ経済省が発表した。
11月の英国の工場出荷価格は、4ヶ月連続で下げ、前月比0.9%値下がりしたと英統計局が発表した。英ポンドもこの日対ドルで小幅戻した。しかし、先週末3.0%から2.0%まで利下げした英国中央銀行だが追加利下げする可能性は消えていない。利下げは通貨安を招く。
今朝のWSJ紙によれば、オバマ新経済政策は、1951年代に打ち出したアイゼンハワー大統領以来の大型公共投資だが、ただ道路を作るのではない。増額5000億ドルの内の10%は、明細不明だが太陽発電、風力発電関連企業への融資、住宅ビル改装が盛り込まれている。
今回の景気刺激策を見ていると、米国政府は、破綻金融機関への救済一辺倒から、実態経済の回復に軸足を移してきた。米FRBは1.0%の政策金利を追加利下げの可能性は消えていないが、ゼロ金利目前で「下りシロ」の先が見えてきたからだろう。
問題は政策金利は下げたが、肝心の住宅ローン金利は目に見えた形で下がっていない。米国の30年物住宅ローン金利が現行の5.5% がせめて4.5%に下がることが必要だろう。英国もそれは同じで2%に政策金利を下げても住宅ローン金利は4.7%止まりである。
英国のBBCテレビ番組を見ていると、庶民感覚として、政策金利引き下げに連動して預金金利が引き下げられることを警戒している声が出ていた。ゼロ金利は日本は、自慢にならない先輩だが、弊害が非常に多いこともマスコミはもっと取り上げる必要があるだろう。
原油相場の戻りの鈍さについて、今朝のWSJ紙は、「OPECメンバーは、値段が上がっているときは自分のパイを増やすことだけ考える。今のように値下がりしているときは、一律減産に反対する。これでは原油相場は回復しないだろう。」と指摘していた。
総論賛成、各論反対は日本でも同じである。2009年はどうなるかではない。2009年をどう乗り切るか。自分自身の胸に手を当てて今こそ考え直すタイミングが来たようだ。(了)
週明けのNY株式市場は、オバマ次期米大統領が、2年で5000億ドル(ドル92円換算:46兆円)の公共投資および減税含む景気刺激策を用意していると演説したと伝えられ、これを歓迎した買いが入り、NYダウは先週末比298ドル、3.5%上げ、8934ドルで取引を終了した。S&P500種平均3.8%,ハイテク株指標ナスダック4.1%それぞれ値上がりした。
GMを含む米自動車業界に対する年内倒産回避のためのつなぎ融資も好感され自動車株を押し上げたことも全般の地合いを好転させた。アルコア、USスチールなど素材関連株も大型公共投資増加で恩恵を受けるとして値上がりしたと今朝のWSJ紙は報じている。
NY原油先物相場(WTI)は、バレル3ドル戻し.43ドル台で取引された。ただ、OPECは、12月17日開催の総会で減産協議と伝えられるが、メンバー間の呼吸に乱れがあるのか、株式市場に見られるような熱狂は原油市場には感じられない。
NY外国為替市場では、ドルが対ユーロで売られ、一時、1ユーロ=1.2965ドルで取引された。ユーロが買われる材料はない。しかし、「短期的な赤字は覚悟して」次々打ち出される米国の景気刺激策によりドル紙幣が氾濫する。ドルは深追いできないと見たのだろう。
この日ユーロは対ドルで上げた。しかし、欧州景気の実態はむしろ米国以上に悪い。10月のドイツの鉱工業生産指数は季節調整済みで前月比2.1%減少した。10月のドイツ製造業受注高は9月8.3%減に続き6.1%減少したとドイツ経済省が発表した。
11月の英国の工場出荷価格は、4ヶ月連続で下げ、前月比0.9%値下がりしたと英統計局が発表した。英ポンドもこの日対ドルで小幅戻した。しかし、先週末3.0%から2.0%まで利下げした英国中央銀行だが追加利下げする可能性は消えていない。利下げは通貨安を招く。
今朝のWSJ紙によれば、オバマ新経済政策は、1951年代に打ち出したアイゼンハワー大統領以来の大型公共投資だが、ただ道路を作るのではない。増額5000億ドルの内の10%は、明細不明だが太陽発電、風力発電関連企業への融資、住宅ビル改装が盛り込まれている。
今回の景気刺激策を見ていると、米国政府は、破綻金融機関への救済一辺倒から、実態経済の回復に軸足を移してきた。米FRBは1.0%の政策金利を追加利下げの可能性は消えていないが、ゼロ金利目前で「下りシロ」の先が見えてきたからだろう。
問題は政策金利は下げたが、肝心の住宅ローン金利は目に見えた形で下がっていない。米国の30年物住宅ローン金利が現行の5.5% がせめて4.5%に下がることが必要だろう。英国もそれは同じで2%に政策金利を下げても住宅ローン金利は4.7%止まりである。
英国のBBCテレビ番組を見ていると、庶民感覚として、政策金利引き下げに連動して預金金利が引き下げられることを警戒している声が出ていた。ゼロ金利は日本は、自慢にならない先輩だが、弊害が非常に多いこともマスコミはもっと取り上げる必要があるだろう。
原油相場の戻りの鈍さについて、今朝のWSJ紙は、「OPECメンバーは、値段が上がっているときは自分のパイを増やすことだけ考える。今のように値下がりしているときは、一律減産に反対する。これでは原油相場は回復しないだろう。」と指摘していた。
総論賛成、各論反対は日本でも同じである。2009年はどうなるかではない。2009年をどう乗り切るか。自分自身の胸に手を当てて今こそ考え直すタイミングが来たようだ。(了)