気軽に楽しむ船の旅クルーズ
江嵜企画代表・Ken
『新しい旅のかたち、-気軽に楽しむ船の旅・クル―ズー』という演題で、大阪府立大学、工学研究科、池田良穂教授の話を、第3回大阪府立大学ホームカミングデ―記念講演会で聞いた。会場の様子をいつものようにスケッチした。
クル―ジングと聞くと、日本では一部の金持ちが、長い時間かけながら、世界を漫遊する。暇とお金を持て余している人がやることだというイメージが定着している。一番の難物は、男性はタキシード、女性はパーティードレスを用意しなければならないので大変だと思いこまれてしまっている。ところが世界では全く違う。最近ではジ―パン姿も見られる。孫と共に時間を過ごすこともできる気軽なレジャーとしても定着していると、池田教授は話を始めた。
面白かったのは、日本と世界の違いである。大型のクルージング用の客船が次々建造されている。ノルウエ―の造船所のドックに建造中の6隻の映像がプロジェクタ―に映しだされた。年々、大型化している。日本でも大型化しているがせいぜい600人どまり、世界では、6,800人乗せる世界一のクルーズ船が1,300億円かけて建造中である。これだけのお金をかけても10年でぺイする。何故か。売り上げの10~20%が利益という利益率が高いからだ。世界で7兆円産業と言われている、と話は続いた。
クル―ジングの経済効果については、客が寄港先で落とすお金がバカにならない。日本人はひとり2万、アメリカ人は1万だが、中国人は4万とけた外れに多い。船だと限度なしに買い込む事が出来るからと、中国人のクル―ジングが最近急増している。上海・韓国クル―ズは1日1万円の料金でクルーズが出来る。横浜、博多で乗り、4泊5日他10泊11日のコースといろいろある。ただ、日本人は韓国人や中国人が多いので嫌がる。日本人をメインにしたメニューもできるようになった。
日本人のクル―ジングは夜10時前になると自分の部屋にこもる。手持無沙汰のバーテンが一人淋しく立っている。ところが世界では2時、3時まで起きているなど、それぞれのスタイルで旅を楽しむ。一日7回食事が取れる。食べたくなければ食べなくていい。料金はクル―ジング代に全て含まれている。アルコール以外は全て無料だ。野外シアターで楽しむ者、飛び込み台からダイビングする者、最近はロッククライミングもできる。家族専用のプール、子供だけのプールもある。企業も客の様々な趣好に合わせる努力をしている。
1時間余りの話を紙1枚に書けない。一言追加すれば、日本人がクル―ジングを敬遠する理由の一つに船酔いがある。しかし、船長200メートル以上は揺れが少ない。16万トンクラスは340メートル、22万トンは360メートルある。客船の大型化で船酔いも解消されると話していた。22万トンクラス世界最大の客船でカリブ海ク―ズ11日間、278,000円~298,000円という広告が11月4日付けの日経{関西版}に出ていたと紹介していた。池田教授は、カリブ海もいいが、アラスカ・クルーズがお薦めだそうだ。これから東アジアクルーズが唯一の空白地ということで現代クルーズが進出してくると話しておられた。世界の東アジアへの大きな流れがクル―-ジングの世界にも現れつつあるのであろう。
講演会のあと、エヴァ―エコ―ルと交響楽団の演奏を聞き、「あさひに光る。。。」で始まる大阪府立大学「学生歌」を歌った。会場を体育館に移して「交流レセプション」があり、それぞれ学部別に用意された丸テーブルでビールで乾杯のあと歓談した。次回来年11月3日のホームカミングデ―には、府立大工学部卒の日産の志賀俊之社長が講師に決まっている。氏がシンガポール社長時代、カルロス・ゴ―ンCEOが社長に抜擢した。
大阪府立大学は、大阪市立大学との統合問題も俎上に上っている。大学に限らない。企業も日本国全体も、日本人がそれぞれの生き残りをかけて、具体的に自分自身を見つめ直す時代に入ったのではないかと思いながら家路についた次第である。(了)