思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

なぜ東大出の議員は逮捕されないのか  平野貞夫

2010-08-31 | 社会思想

なぜ東大出の議員は逮捕されないのかーー平野貞夫(元参議院議員)

 リクルート事件から20年以上の年月が過ぎた。ロッキード事件では衆院議長秘書の立場から、国会、官邸、検察の裏側から事件を見てきた。またリクルート事件では、衆院事務局委員部副部長として、国会運営事務の立場で関わった。

 二つの事件を通じて率直に感じたことは、当時の絶対権力であった与党自民党の政争には、検察とマスコミが巧みに絡んでいたということだった。前者は三木首相・中曽根幹事長対田中元首相の権力闘争であった。後者は竹下首相対中曽根元首相の闘いであった。この二つの事件で政治闘争に負けたのは、田中元首相と竹下首相だった。
 ところで、二つの事件とも犯罪立件の可能性が高いのは、中曽根康弘だと思われた。が、いずれも中曽根の国会での証人喚問で幕を閉じた。捜査を事実上終了させたうえでの証人喚問で、捜査のやりかたも政治的解決だとの議論が残った。藤波孝生の立件が、中曽根元首相に身代わりだったと主張する専門家もいるくらいだ。

 「法と証拠に基づく捜査」が検察当局の身上である。果たして、政界絡みの捜査でそれが実行されているかどうか、私は疑問を持っている。いや、一般の捜査でも、その言葉は虚言となっている。

 久しぶりに出演したテレビ朝日系の「朝まで生テレビ!」(2010年1月29日深夜放送)で、東大法学部卒らしいヤメ検弁護士二人を前にして、
「昭和30年以後、衆議員議院が25名逮捕されている。そのうち東大卒はゼロだが、何かあるのだろうか」
と私が発言すると、二人のヤメ検弁護士は血相を変えて、
「国民を惑わすような発言はしないでほしい」
と諌(いさ)めた。私は、
「数年前に、東京地検特捜部から、防衛省関係の疑惑で、どうしても自民党の某幹部(東大卒)を逮捕したいので協力してほしい、と依頼されたことがある。協力したが、上から抑えられたようだ」
と、答えておいた。
その直後のCMのとき、同席していた小林節(せつ)慶大教授が私のところにかけ寄り、
「平野さん、よいことを指摘してくれた」
と評価してくれた。
国家、社会の正義を守るのが、検察の役目である。劣化が著しいわが国家権力実行者につては、こういった角度からの検証も必要である。 

以上は、
昨日ご紹介した良心の国会職員→政治家として知られた平野貞夫さんの著書からの抜粋。『第五章 リクルート事件という虚構』の最後の部分・「なぜ東大出の議員は逮捕されないのか」(217~219ページ)のコピーです。
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日本人の多くが罹っている「東大病」とわたしが呼ぶ精神的な病には、それを産み出すしっかりとした下部構造があるのです。それがキャリアシステムと呼ばれる官僚制度です。わが国が「官僚独裁国家」とか「主権在官の国家」と呼ばれるのは、山県有朋らが中心となってつくりあげた近代天皇制に基づく明治政府の基本政策にその因があるのですが、それが今日まで東大という権威による官僚支配を可能としてきたのです。内容や意味によって生き、公共をつくるのではなく、型・形式・権威によって国民全体を金縛りにする、という支配は、けっして個々人の幸福をつくりません。

東大という権威に基づく官僚主義の金縛りから解放され、日本人の一人ひとりが自らの生を豊かにするには、主権在民の民主主義を原理とする「生き方と政治の変革」が必要なのです。
(一昨日のブログ『ほんとうの知と教育を生むには、「東大病」からの快癒が不可欠です。』もぜひお読みください。)


武田康弘

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