思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

何故これが国家機密!?情報公開という原則。

2010-11-07 | 社会批評
テレビで、中国漁船が海上保安庁の船にぶつかる映像を見た人は誰でも、「なんで、これが国家機密なの?」と思ったことでしょう。

近代民主主義による市民国家は、情報公開が原則です。
主権者は市民・国民なのですから、事実を公表するのは、政府の基本的な責務です。
見せるか見せないかを政府が判断し、主権者をコントロールしようとするのは、原理に反します。
民主制とは、主権者が政府をコントロールする政治体制なのです。だから民主主義と呼ばれます。

「知る権利」は普遍的なものであり、非公開とするのは、「市民的常識」に照らして、明らかに公表がまずいという特別な案件に限定されなくてはなりません。これは議論以前の話です。

また、妨害行為を働いた船長を海上保安庁という【官】(行政機関)が拘束することはできますが、
国際関係を考えて、拘束した船長を釈放するか否かの判断を行うのは【政府】(政治)の仕事であり、官(行政機関)にはそのような権限・権力はありません。あれば、民主政治ではなく、官治政治となります。

政府の領域と行政の領域の区別ができない・分からないのは、『日本国憲法』が依拠する「近代民主主義原理」の認識が曖昧だからです。これを明晰に自覚し・身体化しなければ、民主主義国家としての政治はできず、国家戦略など立ようもありません。関係者には猛省を促します。


武田康弘

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コメント in mixi

人生(たび)の途中♪2010年11月07日 14:34

仰る通りだと思います。
昨年の政権交代時、ようやく民主的な政治運営がなされるかと期待したものの、菅内閣になってからと言うもの、自民党以上に官主導政治に見えてしまう残念感が拭えません。

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this boy2010年11月07日 16:20

日本の領海内での当て逃げで公務執行妨害だったというなら
ビデオをすぐさま公開してその事実を公表すべきでした。
船長にはその犯罪行為に対する罰は受けてもらうこと
は必要です。

その後船長を国外追放にするしないはそれこそ政治的判断です。
あの対中国強硬派小泉でさえ、尖閣上陸中国人を即時国外追放
にしたんですから。

何台ものビデオカメラ撮ってるんですから、同時に3台ぐらい
のTVでマルチで映せば改竄疑惑も浮上しないでしょうし、
場所の特定も容易でしょう。

前原は後先考えずに思考停止で混乱を助長させただけ。
挙句にクリントンに尖閣は日米安保の範囲であると言わせ
ようとする米国追従他力本願お妾外交。

全く独立国としての外交の体を為してないですね。
でもここを追及しない右翼もアメリカの手先のような
ものです。

それはそれとして今回のビデオ流出劇は遅かろう早かろう
起こることは十分予想されました。
現代のこのインターネット社会ではこれを統制することは
非常に難しいと思います。
ましてやあんなに何本も複製を作ってるんですから。

そして現場で体を張ってる海保の怒りもあるでしょう。
菅政権が官僚に責任をなすり付けたその怒りが一つに
なってこのビデオ流出という反撃に繋がったのだと思います。

政府に危機管理の考え方もなく、今まで中国とどう対応して
きたのか、今後どうすべきかというシナリオがないままで
前原に任せた菅首相は、全く管理能力がなく、完全に首相
失格です。

どちらにせよ政府にその外交シナリオ、交渉術がないから
領土問題に発展し、中国日本の偏狭ナショナリストの格好
の餌食にされてしまったと思います。

今の菅政権はもはや碇と帆の壊れた難破船状態。
すり寄った官僚にも見限られ、捨てられてもう持たないでしょう。
このエイペックで成果を出せなければ年内さえ持たないでしょう。
政界再編で騒がしい年末かなあ。

これは小沢をここまで貶めた自業自得というか因果応報という
ことでしょうか・・・・。

あの民主党政権誕生は叶わぬ夢だったんでしょうか・・・・・・。

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C-moon2010年11月07日 17:12

係争地での事件の取り扱いマニュアルがあってよさそうなものなのに、何もないのと同然の政府の混迷ぶりに、菅内閣の終焉を見たように感じました。

係争地とはいえ、自国領土を主張するなら、まずビデオの全面公開をすべきだったでしょう。その上で中国と政治的に交渉することが肝要だったと思います。
前原外相の「尖閣問題は1mmも後退させない」という強気の発言が、事件をより複雑化させ混迷の原因となりました。
彼の言動は、国内向けだから可能で、国際的には何の評価も与えられないはずです。ただ緊張感を増やしただけで、解決の糸口さえ見つからず混迷を深めてしまった。

情報公開という基本的な民主国家が取るべき姿勢、行動をあまりにも軽く扱ったために招いた混迷がもたらしたものは大きかったと思います。
ビデオ非公開は、中国への配慮、ということでしたが、こんなかたちで世界中に知られることになり、このことに関する中国の怒りは当然かと思います。

民主主義と公約を蔑ろにするこの内閣は、終わった……と評価せざるを得ません。




コメント (2)
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