思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

「頭がよい」って? 

2010-12-05 | 恋知(哲学)
わたしは、人間・社会問題において「問題を解決できない」日本の現状は、知の評価基準が偏っているところに最大の原因があると見ています。

欧米に追い付け・追い越せの明治以来の日本人の意識は、欧米出自の「既成の知識」を覚えることを第一としてきたために、「コピー能力」と「パターン知」が頭のよさを計る基準でした。

したがって、評価を決める試験は、答えが一つと決まっている「客観テスト」です。細かなことまで正確に覚える能力の持ち主、出題者の意向通りに考える=なぞる能力の持ち主を優秀だとしてきたのです。

主観性の知(思考力、対話力、決定力、作文力、観察力、想像力、創造力、企画力、問題発見能力、解決能力・・・・創意工夫、臨機応変、当意即妙・・・)の育成への取り組みは、ほとんどゼロに等しく、それを評価する方法も知りません。

「減点法」の客観テストによる評価では、これからの社会に必要な人間の能力は計れないでしょう。主観性の知を育てる「加点法」による評価にしなければ、さまざまな個人のもつ面白さ・有能さは花開きません。個人性の開花は、よろこびの多い、プラス思考による評価でなければならないからです。従来の常識を根本的に変えなければオシマイだ、とわたしは見ています。

ついでに言えば、テストは(暗記の程度を問うテスト以外は)、電子辞書持ち込みで行うべきです。これから求められるのは、問題の本質へと向かう意味論的思考力であり、広義の表現力なのですから。


武田康弘


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コメント


人生(たび)の途中



うわ~。。。いまの教育界が「狭育・狂育」になっていることの証ですね~。。。

就職活動の問題・イジメやパワハラ、セクハラ、アカハラの問題。自殺率急増の問題。

そのすべての、問題の根っこにタケセンさんのおっしゃることがあてはまりますね。

その、歪んだ「頭の良い子像」に支配され、それに合わせようとするから、ストレスが発生する。。。

運よく「勝ち組」になったとしても、常に人を蹴落として歩んでいかなくてはならない状況に、やがて疲弊してきます。

画一的な評価判断基準のモノサシは、心理的に「同調圧力」を産み、「心の過疎化」が進行し、人間の本来あるべきコミュニティーの姿からはどんどんかけ離れて行くことになります。。

平成の日本。。。平和なのか??武器のない戦争なのか???

自殺者は、相変わらず、公表されているだけでも、年間三万人超えです。。。

本当に頭がよい人ならば、この異常性に気がつくはずですよね。。。

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心身全体による会得 (タケセン)
2010-12-06 20:05:32

よいコメント、ありがとう。

生きた有用な頭は、「心身全体での会得」によってつくられるもの。
感じ知ること・想うことから立ち上がる「ほんものの知」の育成が不可欠です。はじめから記号化された勉強に従順に従うのが「よい子」「えらい子」だとされている現状は、知と人間性の根を腐らせてしまいます。

また、ネットウヨクと呼ばれる人たちの言説をみると、極端な言語中心主義の形式論理(=言葉の表層的意味に引っ掛かり、平面的思考に陥る)ですが、かれらもまた現代の「パターン知」教育の犠牲者だといえましょう。なんとか救ってあげたいとは思うのですが..


コメント (2)
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