「日本国憲法」は、いうまでもなく社会契約の思想により出来ています。
社会契約では、主権者を市民(シチズン)と規定します。これを主権在民と言います。
その主権者が、互いに対等な権利をもち、互いの自由を承認し合うことでつくるルール社会が民主政治=民主制国家です。
この思想と制度の下での政治家の権力行使は、憲法を順守し、主権者の一般意思に従う場合には正当なものとなります。
その正当な権力には、主権者は従う義務があります。主権者の自由と責任で選んだ彼ら代行者の決定に従うのは、国民の義務なのです。
しかし、今回の集団的自衛権の行使を可能とする法案は、国民の多数と憲法学者のほぼ全員(90パーセント以上)が違憲と判定していますので、それに従わない安倍政府の行為は国家権力の正当性をもちません。
違憲の政府の命令に従う義務は国民にはありません。政府が権力の正当性を失っているからです。いまの事態は、民主制国家では、政府による国民=主権者への反逆とみなされます。
政府の行為に従うことが「公共悪」となり、政府に従わないことが「公共善」となるのです。これが、民主政社会の原理上の結論です。
武田康弘(元参議院行政監視委員会調査室 客員=哲学講義)
写真は、7月15日、国会前で。