わたしが7月に聴いたジョナサン・ノット指揮の東京交響楽団によるブルックナー交響曲8番には圧倒され、心底感動しましたが、そのライブ録音が12月16日に発売されます。SACD&CD仕様ですが、サントリーホールでの収録なので、わたしの聴いた横須賀での演奏の前日のもの。
この演奏は、マニアックなブルックナーファン向きではなく、音楽に愉悦感を求める多くの音楽好きに贈られる宝物です。
重く聴くのが疲れる精神主義的なブルックナーではなく、たのしい音楽散歩。 豊かな情緒、伸び伸びと気持ちよく、パワフルで爽快、なんとも気分がよく、何度でも繰り返し聞いてしまう演奏です。
いままで聴いたブルックナーでこれほど楽しく嬉しくなる演奏はなく、その意味では、過去最高の名演です。
これは、お勉強のクラシックではなく、愉悦の音楽ですが、過去の誰とも似ていない独創の塊で、ドキドキ・ワクワクします。音は鮮魚のようで、生命感あふれ、聴くことがよろこびです。オケの密度が高すぎないのもブルックナーにピタリ。
ヴァント・ベルリンフィルの緻密で凝縮した疲れる音楽とは対極にあり、過去の演奏では、ヨッフムの神経質さや暗さのない演奏に近いですが、それとも異なり、よりしなやかでエロースにあふれています。それにしても、これからも発展途上のノット・東響のライブを聴き続けれられるのはなんという幸運。幸福。
みなさま、ぜひ、お買い求めください。わたしは、日曜日の「コジ・ファン・トゥッテ」(愉悦に満ちたザ・モーツァルト、最高!)の演奏会場=東京芸術劇場で先行発売されていたのを買い求めましたが、16日(金)には一般発売されます。これほど気分がよくなるブルックナーはありません。
(撮影・武田 サントリーホールで) (白樺教育館で繰り返し聴きました。授業中に中学生にも聞かせました。)
武田康弘