なんとも気分のよくなるベートーヴェンです。
リズム感、テンポ感が抜群で、スカッと気持ちよい。
透明で美しい打音。
程よくお洒落。
ゆるぎない構成と流れのよさが両立。
いつまでも聴いていたくなるような生理的な快感があります。
いかめしいベートヴェンではなく、何事をも跳ね返す生き生きとしたベートーヴェンです。
鋼(はがね)ですが、それはバネなのです。
強靭でしなやかです。
フィナーレは、かつて体験したことのない充実感で、豊かさに溢れます。
まるで、新たな人間性の賛歌=輝く市民精神を歌い上げるようです。
そう、これはベートーヴェンのスピリットそのもの。
イルジー・ビエロフラーヴェクの指揮、BBC交響楽団も抜群で、ルイスと一体化した見事な演奏。録音もとても優れています。
ポール・ルイスは、2017年11月、二年ぶりに来日します。
(ピアノソナタ全集も最高です。)
武田康弘