思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

『柳 兼子伝』の著者ー松橋桂子さんの碑が完成。郷里の釧路に。

2017-12-30 | 学芸

  今年3月31日に亡くなった作曲家・合唱指揮者の松橋桂子さんは、柳兼子の初の伝記=『楷書の絶唱・柳兼子伝』を著し、兼子研究の礎を築いたことで知られます。

 この書が世に出ていなければ、その後の映像作品も兼子にまつわる書も出ることはなく、また、わたしが全コンセプトを作成した『白樺文学館』の地下音楽室(兼子の歌唱を体験するためのオーディオルーム)も存在しませんでした。

 偉大なアルト歌手で、同時に日本歌曲の歌い方を創造した兼子の業績を詳細に明らかにした本書は、夫であった宗悦の思想と活動を「女性の眼」から照射することで、白樺派の全体像を立体的に見せることとなり、白樺派研究の必読書ともなっています。

 松橋桂子さんの遺骨は、郷里の北海道-釧路のお墓に入りましたが、妹さんは、桂子さんを記念する碑をお墓の隣に建てました。桂子さんが亡くなる直前まで弾いていたグランドピアノを模して、地元の石屋さんが造られた渾身の作とのことです。わたしのblogを参考にしたとのこと、嬉しい限りです。

 桂子さん自身は、派手な事は一切しない人でしたが、死後、残された者の思いを形にするのはよいことで、大賛成です。素晴らしい碑を写真で見て、心がやすまりました。ご苦労様でした。いつか訪ねてみたいと思います。

 それにしても、亡くなる1か月半前に病室を訪ねたとき、動けない松橋さんは、わたしの声を聞くなり、「おお、わが最強の友よ!」とよろこびに満ちた声で叫ばれたのは、その情景と共に深く心に刻まれて忘れられません。

 ☆なお、松橋桂子さんの遺品、柳兼子の資料と清瀬保ニの大量の生原稿などは、『白樺教育館』で整理・保管しています。研究者の方はお申し出ください。閲覧できます。カセット音源はCD化してあります。


釧路の松橋家の墓の隣に建てられた記念碑(2017年12月 撮影・安原明子(妹)さん )


故 松橋桂子さん(白樺教育館で 2011年2月 撮影:武田康弘)

 

武田康弘

 

 

 

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