思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

ほんとうに愚かな日本。北方領土の返還など不可能なのがなぜ分からないのか?

2018-11-18 | 社会批評

日本は、沖縄のみならず、首都東京の制空権もアメリカ軍にあるのです。

北方領土を、アメリカ軍の支配下にある日本に返したら、米軍(あるいは自衛隊との共同)が軍事基地にするのは目に見えています。

ロシアの側に立ったら、そんなことをよしとするはずがないでしょう。返還などありえません。返還が不可能な状況をつくっているのは、日本です。

アメリカ軍に支配(日本全土の制空権は占領軍の支配がおわった後も継続)されたままでは、どうしようもないのです。

何の工夫もなく、妥協もなく、ただ北方領土返還を言うのは、言葉を失うほどの愚かさです。ロシアが気の毒(笑)



そもそも1945年にわが国はポツダム宣言を受諾し、無条件降伏したのです。
日本の領土は、本土とその周辺の小島に限定されました。その中にいわゆる北方領土は含まれない、とアメリカが文書に記しています。歴然たる歴史の事実です。アメリカが、ソビエトに対して、参戦の見返りにスターリンに約束したのです。それを覆すのは、通常のやりかたー考え方では不可能です。
とにかく、敗戦で領土が今のようになったのだ、という歴史の事実を踏まえなければ、何も前に進みません。


武田康弘

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17世紀デカルトに始まり、20世紀ハイデガーに終わった「近代西欧哲学」(キリスト教の世俗化)

2018-11-18 | 恋知(哲学)

 「人類思想の3分類と恋知」の3番目(一神教という思想)の部分の説明に「近代西欧哲学」を俯瞰した説明を加えました。

 

 最後は、唯一神への帰依を説くキリスト(神の子)であり、その弟分として生まれたムハンマド(神の教えを伝える者)です。この二つの世界的な兄弟宗教は、ユダヤ民族の国家宗教である「ユダヤ教」から生まれたものです。ユダヤ教の宗教改革として生まれたのがキリスト教であり、その弟分がイスラム教です。この二者の近親憎悪の激しさは、戦い(殺戮・略奪)の歴史=十字軍の長く凄まじい宗教戦争として有名です。

 言うまでもなく、絶対神(創造神)に従い信仰するという思想と、上記の実存思想(アテネのソクラテス・ネパールとインドのブッダ・中国の老子)とは、根本的に異なる考え方です。

   キリスト教会は、ギリシャ哲学を換骨奪胎することで膨大な神学体系をつくりました。スコラ哲学と呼ばれますが、その改革として出てきたのが17世紀のデカルトに始まる近代西ヨーロッパ哲学です。西欧の学問を明治に直輸入した日本では、哲学といえば、この思想を指しますが、それでは一面的な思想の見方になります。神学の改革としての哲学と言えども、デカルトは代表作の「方法序説」の二部で、神の実在証明を書いているのです。

 近代西欧哲学は、本質的にキリスト教の世俗化としての理論体系ですので、スコラ哲学がめがけたもの=人間存在と世界の全体をトータルに解明し叙述しようとする意思を受け継いでいます。そのために、理論は複雑で難解となる宿命をもち、言葉の構築物としての論理の体系となり、カントからへーゲルに至るドイツ観念論でピークに達しました。人間存在と世界の全体をトータルに解明し叙述するというのは、宗教の宣託のようなものでない限り出来えない不可能事ですが、その出来えないことの努力を続けたのが西欧の「近代哲学」だとも言えます。その歴史は、20世紀最大の哲学者といわれたハイデガーが、1966年に行ったシュピーゲル対話で幕を閉じたと言えるでしょう。

  シュピーゲル対話では、ハイデガーは、哲学にはもはや何も期待できないと言い、従来の哲学の地位はサイバネティクスが占め、諸科学が哲学の替わりをする、と主張しました。哲学は無力だと繰り返し述べ、われわれ人類にできることは、何百年後かに現れる「神」のようなものを待つだけだ、と言いましたが、これは、ハイデガーの存在論(人間と世界のトータルな解明)の挫折であり、「哲学の敗北宣言」と言えます。

 17世紀に始まり20世紀に終わったのが西欧近代哲学と言えますが、この西欧哲学(キリスト教という一神教がバックボーンにある)は、ルネサンスの運動で明らかなように、古代エーゲ海文明への憧れに端を発していて、ギリシャのフィロソフィー(恋知)を換骨奪胎してキリスト教神学をつくり、その上に乗ったものでしたから、相当な無理の上に建てられた思想(形而上学)の建造物であったわけです


武田康弘

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