思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

ベートヴェン第5交響曲を演奏するにあたり (クルレンツィス)  ウイルスで疲弊する世界に何より必要な生存のためのコスチューム。

2020-04-13 | 芸術
ベートヴェン第5交響曲を演奏するにあたり  テオドール・クルレンツィス
(渡辺正さん訳によるCDジャケットより、抜粋と要約と強調は武田)


 最も大切なのは、いままでの演奏史の常識をすべて忘れ伝統の石棺の外にある演奏家自身の直観という荒野に向けて歩きだすことだ。

 実は、わたしがその困難なプロセスを経て、この音楽を新しい何かとして見聴けるようになるまでに20年かかった。この新しい何かこそが必要なのであり、それは、ベートーヴェンが絶対に求めていたに違いない「最初の衝撃」をもたらすからだ。

 
ベートーヴェンの音楽は、あまりに巨大すぎるし、また大変な愛情と注意と尊敬とが絶対的な黄金比で配分された形式の中で形作られている。それゆえに、それを表現するためのなにものをも(演奏だろうと言葉だろと)まったく必要としていない。

 わたしがこのの録音でただ一つ望んでいるのは、いわゆる「カタルシス」を第5交響曲の音楽的ドラマとして示すことである。
 第5交響曲が示している強烈な意思のすべて、そしてこの途方もないエネルギーのすべては、聴き手を浄化し、その意識と精神の中に一筋の光を投げかけてくれるだろう。
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 新型コロナウイルス騒ぎの今、何よりもみなが必要とする音楽は、このクルレンツィス指揮ムジカエテルナによるベートーヴェンの交響曲5番「運命」です。
カタルシスを味わい体験することで、心身に強い一筋の光がもたらされます。彼がいうように、5番は、生存のためのコスチュームなのです。

武田康弘

 

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5.0 唖然・呆然・感激・感動、世界が変わる!  2020年4月9日に日本でレビュー

タワーレコードで先行予約購入。昨日7回聴き、今日また聴いているーなんということ。
劇的だ! 始原的・根源的な音楽に震える。横に流れゆく外面音楽(カラヤンが象徴)とは対極。
実に気持ちのよい運動性と楔を打ち込むようなベートーヴェンのイデー・精神の強靭さに圧倒されてしまう。
全身が浮き上がるような身体性は快感で、踊り出したくなる。
オケの過度応答のよさは驚異的。
ピリオド楽器の音色は自然でピタリと嵌る。
音量の自在でダイナミックな変化の面白さは無類。
ウキウキドキドキが続き、もうやめられない~~誰か助けて~~(笑)

興奮、興奮、興奮。 細かく書いたらキリがない。
今まで聴いたことのない鋭いアタック、音色の変化、変幻自在な表現の面白さ。
全体はベートーヴェンの強靭無比な音楽イデーが横溢し、確信の強さは、なんとオットー・クレンペラーと双璧だ。
その理念は、これ以上は不可能なほど緻密な音楽と化している。
それに、個性豊かな人間たちによる超絶のオーケストラ、その上手さには舌を巻く。
閉塞する世界に風穴をあけ人間精神の変革を促すような演奏は、まさにベートーヴェンの精神そのものだ!


コメント
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