思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

マスクの危険性=夏場にマスクをすると危ない。

2020-07-10 | 社会批評

https://news.yahoo.co.jp/articles/e956fdf30b1123b852dfbc8dc6f52df7806a7372?page=1

 

東京では連日数十人の新規感染者が確認され、感染拡大が再び懸念される状況のまま、夏に突入しようとしている。すでに気温が30度を超える日もあり、マスクをして外出するのは暑苦しく感じる。これからさらに気温が上がっていけば、熱中症になるのではないかという不安が頭をもたげてくる。

 実際に、中国では学校の体育の授業でマスクをつけたまま運動をさせられた生徒が死亡する事故が相次いでいるという。

 厚労省が各自治体に周知した「令和2年度の熱中症予防行動の留意点について」によると、〈夏期の気温・湿度が高い中でマスクを着用すると、熱中症のリスクが高くなるおそれがあります。このため、屋外で人と十分な距離(少なくとも2m以上)が確保できる場合には、熱中症のリスクを考慮し、マスクをはずすようにしましょう〉としている。

 日本の新型コロナ感染による死者数は956人で(6月26日時点)、一方、熱中症の死亡者数は、厚労省の最新統計によると2018年で1581人だ。ただ、2018年は猛暑で、例年になく熱中症の死者が多く、通常は500~1000人前後である。熱中症の死者のおよそ8割を65歳以上の高齢者が占めている。単純に死者数と年齢層を比べれば、新型コロナ感染と熱中症は、日本人にとってほぼ同じくらいのリスクと言える。

 そのなかで、どちらに重きを置き、どう行動するのが正解か。大阪府監察医で千葉科学大学危機管理学部の黒木尚長教授に訊いたところ、意外な回答が返ってきた。

「マスクで息苦しくなったり気分が悪くなったりするのは、(体温上昇によりさまざまな症状を引き起こす)熱中症ではなく、呼気に含まれる二酸化炭素(炭酸ガス)がマスク内に溜まって、それを吸い込むことで起きる『高炭酸ガス血症』であるケースのほうが多いと考えられます。いわば二酸化炭素中毒で、血中の二酸化炭素濃度が高くなり、これが重篤化すると呼吸困難や昏睡を引き起こします。血液が酸性になったために致死性不整脈を起こし、急死することすらあります」

確かに、ハフィントン・ポストの記事(2020年5月5日付)によると、中国・河南省の才源中学校で15歳の男子生徒がマスクを着けてランニングをしていて死亡したケースでは、父親が〈気温は20度くらいだったはず〉と証言している。気温20度で熱中症になるとは考えにくい。

 熱中症ではないとすると、高炭酸ガス血症は気温や湿度とは関係なくリスクがあるということか。

「季節に関係なく、運動や負荷の高い作業をしているときにマスクを着用することに問題がある。運動中はただでさえ酸素が欠乏しがちなのに、マスクで空気の吸入が抑えられ、かつ、二酸化炭素濃度の高い自分の呼気をまた吸い込むことで、こうした障害が起きる可能性があります。

 熱中症の場合は、本人が体温の上昇に気づかず、その状態が続くことで起きますが、マスクをしていて息苦しくなった場合は、まず本人が気づいて普通ならマスクをはずします。そうして新鮮な空気を吸えば(高炭酸ガス血症は)回復します」(黒木教授)

 気づかないうちに進行する熱中症ほどリスクは高くないが、マスクをして運動や負荷の高い作業をするのはやめるべきだという。加えて、炎天下でマスクをしていると暑さが倍増した感があって耐えがたいし、口周りの汗や唾液で濡れて不衛生でもある。マスク着用をやめてはいけないのか。

「そもそもマスクには(ウイルス感染の)予防効果はほとんどなく、他人にうつすのを防ぐためのもの。知らないうちに当人が感染している可能性があるのでマスクをするわけですが、咳やくしゃみが出そうになったら肘の内側で鼻と口を覆う“咳エチケット”で本来なら十分です。
暑いのに無理をしてマスクをし続け、倒れてしまっては元も子もない。ただ、マスクをしようがしまいが、真夏に熱中症のリスクは依然としてあり、こまめな水分補給や塩分補給、十分な睡眠、外出時の日傘、帽子の着用などに注意すべきであることは言うまでもない。

●取材・文/清水典之(フリーライター)

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