思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

はじめ、新型コロナ死は、ごく少数でしたが、なぜ、昨年になり4.4倍になったのでしょうか? そのからくり。

2022-01-19 | 社会批評

https://www.mhlw.go.jp/content/000641629.pdf

上のpdfは、令和2年(2020年)6月18日付けで、厚労省が「各都道府県、保健所設置市、特別区」宛に出した通達です。

そこには、次のように書かれています(問2の答えとして)
「新型コロナウイルス感染病の陽性者(注1)であって、入院中や療養中に亡くなった方については、厳密な死因を問わず、「死亡者数」として全数を公表するようにお願いします。」

(注1)
陽性者とは、PCR検査でウイルスの遺伝子が見つかった人のことですが、感染者とは異なります。ウイルス学者により見解の相違はありますが、感染(細胞膜を破り体内で増殖を始める)には、少なくとも万単位のウイルスが必要と言われます。日本のPCR検査では2の40乗倍に増殖するため、わずか数個のウイルスで陽性と判定されます。したがって、陽性者が感染者だとは言えません。

この通達が出る前は、患者を診ている医師が、死亡原因を直接判断していましたから、死因判断には妥当性がありましたが、通達後は、医師が判断せず、PCR陽性者は全員が新型コロナ死とされました。

その結果、6月19日後は、新型コロナ死とされる人が増えて、ほんとうの(医師による)死因は分からなくなりました。

したがって、6月19日以降は、死亡者数は、相当な水増しと推定されますが、
それでも、新型コロナの最初の年=2020年(令和2年)の1年間の死者数は、3400名あまりでした。以下は厚労省ホームページです。

令和2年(2020年)
12月31日現在の新型コロナウイルス感染症に関する状況及び厚生労働省の対応についてお知らせします。
国内での新型コロナウイルス感染症の感染者は230,304例、死亡者は3,414名となりました。
また、入院治療等を要する者は34,166名、退院又は療養解除となった者は191,451名となりました。

1.国内の状況について
12月31日0:00現在、検査陽性者230,304例が確認されている。
・検査陽性者(国内事例228,418例、チャーター便帰国者事例15例、空港検疫1,871例)


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これは、毎年のインフルエンザの直接死とほぼ同数で、インフルエンザ関連死の約1万名と比べるとほぼ3分の1です。
ところが、その後2021年(令和3年)となるとPCR陽性者の死亡者数が一気に増え、18433名(2021年だけだと14919名)と前年の4.4倍に跳ね上がりました。どういうわけでしょうか?そのからくりは、次の表を見れば一目瞭然です。
厚労省発表のPCR検査数の推移です。



これは、2020の2月5日より、2021年の12月29日までの約2年間の検査数をグラフで表したものですが、厚労省が都道府県などに通達を出した2020年6月までは、極めて少ない検査数で、感染が疑われる人のみの検査でしたが、よく7月からは検査数が増え、12月31日に向けて10倍にもなっています。2020年のコロナ死者3400名あまりの大多数は、検査が増えた夏以降のものです。

医師が死因を判断するのではなく、PCR陽性者(わずか数個のウイルスで陽性)は、みなコロナ死にカウントした為に、PCR検査数が増えるに従い、コロナ死にカウントされる人もそれに比例して増えたのです。

よく2021年の1年間は、さらに大幅に検査数が増え、前年の数倍になっていますので、陽性者も数倍になっています。ガンや心臓病などで死亡した人も、医師の判断で死因が決まらず、PCR陽性者は全員新型コロナ死とされるために、大幅増の数字になっているのです。一昨年と昨年で新型コロナが強毒性に変異したわけではありませんので、明らかに「厳密な死因は問わず、PCR陽性者は全員コロナ死にしてください」という厚労省の通達に数字を増大させた原因があるというほかありません。


こういうからくりで、新型コロナの死者が多くカウントされています。しかし、それでもインフルエンザ関連死は年間1万人ですから2年間では2万になり、まだそれよりも少ない数字です。死亡原因も解剖するなど科学的に処理されていませんので、誤魔化し(医師による判断ではない)が通用してしまいます。

ウイルスは数が問題なので、何千単位ほどでは、すぐに自然免役で消去されるとのことです。PCR陽性者は大多数が感染に至らず、感染者ではないわけですが、陽性者の死は、医師の判断によらず、すべて新型コロナ死にカウントされる仕組み(厚労省の通達)のために、PCR陽性者は、何であれ、すべてコロナ死となります。これほどデタラメな事はなく、全国の医師は抗議すべきです。

なお、陽性者と感染者は概念が全く違うので、厚労省は、正しく陽性者と発表していますが、NHKは、ニュースでもネットでもすべて陽性者を感染者と発表して、明らかな間違い(意図的な操作?)を続けているのには呆れ返ります。これで公共放送?

武田康弘(元参議院行政監視委員会調査室客員調査員)




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NHKの名誉回復は、まだ。昨晩の「承久の乱」男性中心主義によるすっとん狂な解説(呆)

2022-01-19 | 社会批評

 昨晩のNHK Eテレの知恵泉選「承久の乱」は、従来の歪んだ北条政権評価(明治維新政府の天皇絶対史観による)ではなく、基本的に「正しい」解説で、NHKの名誉回復と言いたいのですが、

肝心の2点がおかしく、残念でもありました。

 それは、後鳥羽上皇側の武士たちが攻めてくるのを待つという多数意見に対して、
京都の官僚出身で鎌倉幕府のご意見番・大官令覚
 大江がそう言ったことは、「吾妻鏡」(あずまかがみ)にある通りですが、大江は、頼朝が雇ったご意見番(役人)であり、最高権力者の政子が決めなければ、決まらないのです。

 番組でも、執権の北条義時は、姉の政子(鎌倉幕府トップで実際上の第四代将軍)に聞いたことは言いましたが、「念のため政子に聞いた」という素っとん狂な解説でした。京都の朝廷のやり方と後鳥羽上皇の性格については、直接会いもし、幾度も煮え湯を飲まされてきた政子は知悉していたのであり、役人の大江以上に知っていたのは当然です。

 吾妻鑑には、明確に書かれています。

「義時が両方の意見(後鳥羽軍を待つ、こちらから京に攻める)を政子に申したところ、
政子が言った『上洛しなければ、絶対に官軍を破ることはできないでしょう。安保刑部丞(あぼきょうぶのじょう)実光以下の武蔵国の軍勢を待って速やかに京に参るべきです』

 それにより、すぐに、わずか18騎で出陣したことは番組でも触れていましたが、それが、執権・義時の長男で、叔母の政子を慕い敬愛する22歳の泰時とその兵であったことは伝えないのも意味不明でしたが、

 この肝心な2点をぼかしたり無視するのは、男性中心主義のイデオロギーを知らずに身に着けている日本の学者やNHKのディレクターだからではないでしょうか。女性の政子を小さく扱いたいという無意識の意識です。日本という国の後進性には毎度あきれ返るばかりです。


 ついでにいえば、もうだいぶ以前のことですが、NHKは大河ドラマで、北条政子をドラマにしましたが(「草燃える」)、
驚くことに第三代将軍の実朝(さねとも)が公暁(くぎょう)に殺害=孫に子を殺されたという悲劇でおわってしまい、第四楽章はカットというありえない話で、視聴者を唖然とさせました。

 明治維新政府が、水戸学による天皇中心の真っ赤な嘘の日本史=北条政子と北条政権を悪に仕立て上げたことが、主権者が天皇から国民にコペルニクス的転回を果たした戦後もまだ色濃く残っていることを示した「事件」でした。原作者の永井路子さんは、第四楽章=承久の乱を書いているのですが(「炎環」1964年光風社刊)、わざわざ四楽章を外した「北条政子」(1978年講談社刊)を書かせて大河ドラマにしているのですから、あまりの酷さに身が震えます。

 800年前の歴史まで改ざんする国が、世界のどこにあるでしょうか。



武田康弘

 

 

 

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