この連休中はボクシングの世界戦ラッシュで、それもKO勝利が多く実にその醍醐味を堪能させてもらいました。
(米国でも”世紀の対決”と評判になった試合もありましたが、対戦した両者はとっくにピークを過ぎており”これがそんなに騒がれる試合なのかなあ”と思いましたが…)
現在のボクシング界は団体も階級も複数化しており、レベルを云々されることも有るのですが、それらを割り引いたとしても内山高志選手や山中慎介選手などは歴代でもトップクラスの実力者だと思います。
ところで最近実に51年!ぶりに世界タイトルマッチの映像を見る機会が有りました。
昭和39年春に行われたフェザー級戦で、この年は私にとり何もかも初めて尽くしだったのですが、生まれて初めてしっかり固唾を飲んで観ていた試合として記憶されているのです。
挑戦者は関光徳。この時点で東洋に敵なしと言われ、実力はありながら王者になれなかった悲運のボクサーとして語り続けられている選手です。今のように幾つも王座が有れば…3階級制覇くらい可能だったかもわかりません。
して、相手のチャンピオンは…(これが悲運の所以です)ウルチミノ・”シュガー”・ラモス。キューバからメキシコに亡命してきた強打者で、唯一の負けは失格負けだけという実質無敵の王者です。しかもリング上で二人も死に追いやっている本物の殺人パンチャーときてます!
私はこの試合を51年前、テレビで見ていて戦慄が走って(寒い夜だったと記憶してますが)寒気を感じ、まるで悪夢にうなされるような気持ちで床に就いた想い出が有ります。…6ラウンド、関はラモスの強打をまともに食って仰向けにダウン!やっとこさ立ったもののさらに追い打ちを食って又同じようにダウン!その瞬間関のコーナーからセコンドが駆け寄り棄権してしまいました…
”関が呆気なく負けてしまった!ラモス!何という強さ、恐ろしさだ!コイツに勝てるヤツは当分居まい!”と思ったものでしたが…(実はこの半年後、ラモスと同じく無敵の新鋭サルジバルに王座を明け渡し、意外な短命王者に終わります。関はこの二年後メキシコでこのサルジバルと激闘を演じます。)
改めてこの試合を観てみると、どうもあの時とは印象が違いました…ラモスは成程いかにも強打者という感じだが、力任せで動きも単調に見えます。ボクシングはやってみないと分からないですが、多分今のトップクラスのボクサーには通用しないと思いました。理由はジャブが少ない、”イン”、”アウト”のメリハリに欠ける、そして何よりスピードが違いすぎる…その点で同じ強打者でも内山選手辺りと違うところです。
ずっと今昔の試合を通して見て、我らの時代の英雄、具志堅用高氏が言っていたことを思い出します。
「ボクシングはヤパシ、シュピードちゅねー!」
それにしても人間の記憶というものは実に曖昧なものですね。
長いこと私の中でほとんど神格化…と言ったらオーバーですが、”こりゃあ、強ええ!”と思っていたボクサーも改めて見ると平凡なボクサーに見えてしまう…(ただ試合中何度も”ラモース!ラモース!”と連呼しているセコンドの声は51年前も今も変わってない、と感じました)
過去は”こうだった、ああだった”と我々はその記憶に基づいて、固定したイメージを作ってしまい、残された記録も当然ながら全く同じものの再現です。
いくら繰り返しても同じですね。
だが…我々の感じ方は違うのです。何度同じものが繰り返されようが、感じ方は決して同じではありません。
過去は変えられるのです。それが悪いものだろうと、良いものだろうと…
私は大のラテン音楽フリークなのですが、昭和39年頃には普通に巷にあふれていたと思います。
アップテンポのマンボと並んで定番だったのがボレロというラテン歌謡です。
日本、いや世界にこれを知らしめたのは、ご存じトリオ・ロス・パンチョスです。
確かこの年に来日して、テレビのミュージックフェア(今もやってるお化け番組)かなんかで観た記憶が有ります。
という訳で…アザーサイド音楽館今宵は…(これは何時聴いても”シュガー”だ)
Trio Los Panchos,”Contigo”
(米国でも”世紀の対決”と評判になった試合もありましたが、対戦した両者はとっくにピークを過ぎており”これがそんなに騒がれる試合なのかなあ”と思いましたが…)
現在のボクシング界は団体も階級も複数化しており、レベルを云々されることも有るのですが、それらを割り引いたとしても内山高志選手や山中慎介選手などは歴代でもトップクラスの実力者だと思います。
ところで最近実に51年!ぶりに世界タイトルマッチの映像を見る機会が有りました。
昭和39年春に行われたフェザー級戦で、この年は私にとり何もかも初めて尽くしだったのですが、生まれて初めてしっかり固唾を飲んで観ていた試合として記憶されているのです。
挑戦者は関光徳。この時点で東洋に敵なしと言われ、実力はありながら王者になれなかった悲運のボクサーとして語り続けられている選手です。今のように幾つも王座が有れば…3階級制覇くらい可能だったかもわかりません。
して、相手のチャンピオンは…(これが悲運の所以です)ウルチミノ・”シュガー”・ラモス。キューバからメキシコに亡命してきた強打者で、唯一の負けは失格負けだけという実質無敵の王者です。しかもリング上で二人も死に追いやっている本物の殺人パンチャーときてます!
私はこの試合を51年前、テレビで見ていて戦慄が走って(寒い夜だったと記憶してますが)寒気を感じ、まるで悪夢にうなされるような気持ちで床に就いた想い出が有ります。…6ラウンド、関はラモスの強打をまともに食って仰向けにダウン!やっとこさ立ったもののさらに追い打ちを食って又同じようにダウン!その瞬間関のコーナーからセコンドが駆け寄り棄権してしまいました…
”関が呆気なく負けてしまった!ラモス!何という強さ、恐ろしさだ!コイツに勝てるヤツは当分居まい!”と思ったものでしたが…(実はこの半年後、ラモスと同じく無敵の新鋭サルジバルに王座を明け渡し、意外な短命王者に終わります。関はこの二年後メキシコでこのサルジバルと激闘を演じます。)
改めてこの試合を観てみると、どうもあの時とは印象が違いました…ラモスは成程いかにも強打者という感じだが、力任せで動きも単調に見えます。ボクシングはやってみないと分からないですが、多分今のトップクラスのボクサーには通用しないと思いました。理由はジャブが少ない、”イン”、”アウト”のメリハリに欠ける、そして何よりスピードが違いすぎる…その点で同じ強打者でも内山選手辺りと違うところです。
ずっと今昔の試合を通して見て、我らの時代の英雄、具志堅用高氏が言っていたことを思い出します。
「ボクシングはヤパシ、シュピードちゅねー!」
それにしても人間の記憶というものは実に曖昧なものですね。
長いこと私の中でほとんど神格化…と言ったらオーバーですが、”こりゃあ、強ええ!”と思っていたボクサーも改めて見ると平凡なボクサーに見えてしまう…(ただ試合中何度も”ラモース!ラモース!”と連呼しているセコンドの声は51年前も今も変わってない、と感じました)
過去は”こうだった、ああだった”と我々はその記憶に基づいて、固定したイメージを作ってしまい、残された記録も当然ながら全く同じものの再現です。
いくら繰り返しても同じですね。
だが…我々の感じ方は違うのです。何度同じものが繰り返されようが、感じ方は決して同じではありません。
過去は変えられるのです。それが悪いものだろうと、良いものだろうと…
私は大のラテン音楽フリークなのですが、昭和39年頃には普通に巷にあふれていたと思います。
アップテンポのマンボと並んで定番だったのがボレロというラテン歌謡です。
日本、いや世界にこれを知らしめたのは、ご存じトリオ・ロス・パンチョスです。
確かこの年に来日して、テレビのミュージックフェア(今もやってるお化け番組)かなんかで観た記憶が有ります。
という訳で…アザーサイド音楽館今宵は…(これは何時聴いても”シュガー”だ)
Trio Los Panchos,”Contigo”