暖冬とは言えど、やっぱり師走は寒い。
空っ風がスカスカ、ヨレヨレの着こなしにこたえる...空も心もどんより...
ホッと一息着きたいところなんだが...
あ、そう、そう...確かこの近くに古びたアーケードの商店街があったはずだ。
平板な道にやっと起伏らしいものが感じられてきた...ゆったりとした坂道。下って行くだけで何だかワクワクしてきた。
橋に差し掛かる。これは何という川だっけ...神田川? いや、も少し小さく親しみが感じられる。カモも人懐っこく、橋の上で眺めている私の方に寄ってくる...。
と、見る間に雲間から夕日が差し込む...と同時に風も穏やかになってきた。
それにしても、都内の川はみんな知っていたと思ったんだが、何故思い出せないんだろう...
橋を跨ぐと段々店も増えてにぎやかになる。さらにワクワクしながら坂上を目指すと、高台に氷川神社がある。氷川神社でいいんだろう...川辺にあって、この階段を登って神殿を望む佇まいはそうに決まってる。
ここで祭られるスサノオノミコトだか牛頭天王は、どこともなく現れる放浪の神様。冷たい川から流れてきて、この地でホッと一息着いたのだろうか?
夕日に誘われるように、ネコたちもどこからか出てきた。日溜まりで寝てたり、飛び回ったり...何て相反することが自然に身に付いているんだろう...。
この社を真ん中にして商店街が開けている。人通りはさほど混んでもなく、まばらでもなく丁度いい。ただ昭和30、40年代ぐらいから時間が止まったようにレトロである。
ここはずっと、駅前再開発とも大型商業施設とも無縁だ。毎年馴染みの風物詩、歳末の活気も今年も健在。
かつての私の優良商店街の三点セット、古本屋、中古レコード屋、セルフでない喫茶店も健在。楽しいi
お気に入りの、入ると床がきしむ音がする喫茶店に入る。アンティーク?...いや、単にオンボロなだけだろう。
ここは何がいいって、いつも聴きたい音楽が流れるのだ。ジャズ、ラテン、タンゴ、60年代ロック...そうみんなレトロだ。こういうのが一定のサイクルで取っ替え、引っ替え流れてくる...飽きないi
そして哲学やら宗教やら文学やら好きな本に読み耽る...さして金もかからずに何という贅沢だろう...だからビンボー貴族趣味はやめられないのだi
こんなありきたりなことが一番得難いのだi 幸せ過ぎて気を失いそうになったこともある。
そんな時はもうジッとしていられなくて、あてどもなくほっつき歩いて、どうやって家へ帰ったか分からなくなってしまうのだが...
ところで...
私はこの街に一体どうやってきたんだっけ? 寒さをしのごうと表通りからここへ入ったまでは覚えているが...
ここの最寄りの駅はどこだ? 普段バイクで移動するからピンと来なくなっているのか?
分けの分からないことを考えているうちに、心地よくなったためか寝込んでしまった。
...
目が覚めたら部屋の中だった。
あの街からどうやって帰ってきたのだろう...
あの街?...何度も訪れている気もするのだが...
私は一度も訪れたことは無い...。
空っ風がスカスカ、ヨレヨレの着こなしにこたえる...空も心もどんより...
ホッと一息着きたいところなんだが...
あ、そう、そう...確かこの近くに古びたアーケードの商店街があったはずだ。
平板な道にやっと起伏らしいものが感じられてきた...ゆったりとした坂道。下って行くだけで何だかワクワクしてきた。
橋に差し掛かる。これは何という川だっけ...神田川? いや、も少し小さく親しみが感じられる。カモも人懐っこく、橋の上で眺めている私の方に寄ってくる...。
と、見る間に雲間から夕日が差し込む...と同時に風も穏やかになってきた。
それにしても、都内の川はみんな知っていたと思ったんだが、何故思い出せないんだろう...
橋を跨ぐと段々店も増えてにぎやかになる。さらにワクワクしながら坂上を目指すと、高台に氷川神社がある。氷川神社でいいんだろう...川辺にあって、この階段を登って神殿を望む佇まいはそうに決まってる。
ここで祭られるスサノオノミコトだか牛頭天王は、どこともなく現れる放浪の神様。冷たい川から流れてきて、この地でホッと一息着いたのだろうか?
夕日に誘われるように、ネコたちもどこからか出てきた。日溜まりで寝てたり、飛び回ったり...何て相反することが自然に身に付いているんだろう...。
この社を真ん中にして商店街が開けている。人通りはさほど混んでもなく、まばらでもなく丁度いい。ただ昭和30、40年代ぐらいから時間が止まったようにレトロである。
ここはずっと、駅前再開発とも大型商業施設とも無縁だ。毎年馴染みの風物詩、歳末の活気も今年も健在。
かつての私の優良商店街の三点セット、古本屋、中古レコード屋、セルフでない喫茶店も健在。楽しいi
お気に入りの、入ると床がきしむ音がする喫茶店に入る。アンティーク?...いや、単にオンボロなだけだろう。
ここは何がいいって、いつも聴きたい音楽が流れるのだ。ジャズ、ラテン、タンゴ、60年代ロック...そうみんなレトロだ。こういうのが一定のサイクルで取っ替え、引っ替え流れてくる...飽きないi
そして哲学やら宗教やら文学やら好きな本に読み耽る...さして金もかからずに何という贅沢だろう...だからビンボー貴族趣味はやめられないのだi
こんなありきたりなことが一番得難いのだi 幸せ過ぎて気を失いそうになったこともある。
そんな時はもうジッとしていられなくて、あてどもなくほっつき歩いて、どうやって家へ帰ったか分からなくなってしまうのだが...
ところで...
私はこの街に一体どうやってきたんだっけ? 寒さをしのごうと表通りからここへ入ったまでは覚えているが...
ここの最寄りの駅はどこだ? 普段バイクで移動するからピンと来なくなっているのか?
分けの分からないことを考えているうちに、心地よくなったためか寝込んでしまった。
...
目が覚めたら部屋の中だった。
あの街からどうやって帰ってきたのだろう...
あの街?...何度も訪れている気もするのだが...
私は一度も訪れたことは無い...。