
長万部で発車まで40分の待ち時間がある。
この先終点までは3時間ほどの長丁場が待っているので、これをを利用して名物駅
弁の「かにめし」を求めに駅を出た。

ここ長万部の「かにめし」は、全国に先駆けて作られた「かにめし」の元祖と言われ
ていて、町内には10店近いお店が、駅弁やレストランでの食事に味を競っている。
特に駅弁は、元々ちらし寿司をベースに改良されたものらしく、味付けなどは各社
で微妙な違いが有ると言う。
特徴的なのが蟹の爪の形を表しているシイタケで、その配置は、各社で全く違ってい
て、独自色を出しているのが面白い。

そんなことなら、幾つかの店の物を食べ比べてみたいところだが、その店のほと
んどが国道5号線に面した駅からは少し離れたころに立地していて、とても行けそう
にもないので、駅前にある「かなや」に立ち寄ってみる。

昔からこの辺りの沿線ホームで、駅弁として売られていたと言う1050円のものを
一つ購入する。
先ほど森駅で購入した「いかめし」をつい先ほど平らげたばかりだと言うのに・・・。
ついでに駅の売店で、これもこの町の名物である「アメセン」とお茶を買い込んで
本線を行く小樽行きの普通列車に乗り込んだ。

「アメセン」は、手焼きしたせんべいに、少し硬くした水飴を挟み込んだもので、
せんべいには4つに割れるような切れ目が入れられている。
口に含むと、せんべいの香ばしさに、水飴の心地よい甘さが絡み、なんだか懐か
しい菓子に出会ったような気がする。(続)


