簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

苔むした色の古道(JR乗り潰しの旅・紀勢本線)

2017-04-17 | Weblog
 まるで坂道への入り口門のように両側に聳え立つ夫婦杉を過ぎると、杉や楠が
鬱蒼と茂る木立の中に、苔むした石段道が緩やかに登っていく。



 那智山を目指す熊野道は、都より凡そ80里、往復すると一か月を要したと言われ
ている。その最後の難関がこの大門坂で、参詣道はその距離650m、石段は267段、
標高差100mほどの道だ。



 雨の多い地域に有って、参道を守るために石畳が敷かれたと言われているが、
山深い地にこれだけの道をよくぞ・・・と思わす石段が続いている。



 石段の脇の苔むした木立の根元には町石が埋められている。
およそ1町(約109m)ごとの道標で、これにより自分がどれほど登って来たのかが
良く解る仕組みだ。



 そんな中更に上っていくと地元の人たちが「児宮(ちごのみや)」と呼び、親しんで
いると言う多富気王子跡がある。

 更に樹齢数百年を超えると言われる杉木立はその数132本余りと言われ、その
ほかにもクスノキも多数あると言う。それらが林立する石段の道を登りつめる。
この道は、「苔むした色の古道」と言われる通り、熊野古道の中では非常に保存
状態が良い古道の一つとされている。



 しかし実際に歩いてみると、石畳や石段にはさほど苔が生している様子は感じら
れない。思うにこれは、世界遺産に指定されたことで俄かにハイキングなどで訪れ
る人が増え、古の姿は知らないが剥がれ落ちてしまったのではなかろうか。
やがて入山制限なんて事態にならなければ良いが、といらぬ心配をしてみたりす
る。(続)





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