正式には「呉市海事歴史科学館」と言う、お堅い名称である事を当地に来て
初めて知った。JR呉駅からだと大きな商業施設を通り抜け、歩いて5分ほど
の所にあるこの館は、一般的には「大和ミュージアム」として知られている。
と言うよりも、むしろこの愛称の方が定着し知名度が高い。
呉潜水艦訓練センター、潜水艦の体験の後はこの施設の見学である。


開館は平成17(2005)年の4月23日と言う。
ここ呉市には嘗て海軍鎮守府や海軍工廠が置かれ、それにより発展を見た造船
や鉄鋼の重工業が町を支えてきた。それは明治以降の日本の歴史そのもので、
そうした先人達の活躍に触れながら、歴史と平和の大切さを深く認識する場と
して、呉らしさを表現した博物館をと言うことで開館したと言われている。


開館以来の来館者は既に一千万人を越えていて、来館者の年齢幅が非常に広
いのがこの館の特徴だと言う。
これは「戦争」という重いテーマを掲げる館としては、特異な存在らしい。
何らかの形で軍艦などの建造に関わったと言う高齢者から、修学旅行や研修旅
行の児童・生徒・学生や、家族連れやカップルなど多岐にわたるそうで、近頃
では外国人も多いのだそうだ。
中には嘗て乗艦していたと言う貴重な体験を持った方も見かけるという。


オレンジ色のタイル張りのエントランスで来館者を迎えるのは、ギリシア神話
に登場する海神ポセイドン(ネプチューン)像だ。
大海を支配し全大陸に強い影響力を持つという、海と地震の神様である。
また近くには「戦艦陸奥」の主砲身や、潜水調査船「しんかい」など実物が屋外
展示されている。(続)



